マトリックス

去年から関わっているPJはお客さんが頭のいい人たちで、
システム部門なんだけどたぶんみんな理系。
理論的に説明しないと納得しない。
「そういうのって理屈じゃなくて、たいがいこういうもんでしょうが」
ってな持っていき方を最初にしてしまうと怒られる。


よく求められるのはマトリックスの図。
問題となる事象を2次元の表で書き表してみる。
何を縦軸に取るべきか。そのとき横軸はどうするか。
まずはその見極めが大事。
縦横埋めて仮に出来上がったとしても
「この表は全ての事象を網羅しているか?」って精査が始まって
これができてなかったりすると「君ら何やってんだ?」ってことになる。
お客さんのオフィスではあちこちでこの2次元の表を目にする。
ありとあらゆる物事がこの表のバリエーションで評価されている。
ツールとして確立されていて、
入社してからずっとこれで考える訓練を積んでいるのだろう。


客観的に考えてこの手法は正しい。
・何よりもまず、網羅性の確認になる。
・問題となるポイントの1つ1つをマッピングして図式化することで
 問題を把握/共有しやすくなるということ。
・縦と横で単純に現せないのならば
 それはそもそもの整理の仕方に誤りがあって、
 もう一段間に入れる必要がある、といった筋道の立て方。


などなど。


でも、そもそも理系じゃないし数学に弱い僕としては、こういうのとても苦手。
数学の時間の論理式とかあるじゃないですか。
あれ、皮膚感覚で理解できなかった。意味が全然分からなかった。


じゃあ書けないかっていうとそういうわけではない。
書けますよ、そりゃ。
だけど毎回毎回ものすごく苦労するんですよね・・・
常に違和感を抱きつつ、「こんなんかねえ」と悩みながら完成させる。
頭の中でこういうマトリックスで考える習慣は今さら身につかない。
日本語で最初文章を考えてから、英語にイチイチ翻訳するような感じ。
最初から英語で考えるのではなく。


文系の中でもその際たるものである文学系の僕は
頭の中での物事の整理の仕方について
全然別の方法を取っているのだということを最近になって認識する。
それはひどく単純な方法で、
日誌のような扱いのノートに常に起きたことの全てを書き綴っていくようなものだ。
そして何か質問を受けると、インデックスを辿っていく。
あの頃のノートのあのページに書いたことだな、みたいな。
そのインデックスの群れは宙にモヤモヤと浮いていて、
自分の中ではどこに何があるか明確だが、他人には説明できないし、共有もできない。
タツの周りにあれこれ散らばっている光景を思い浮かべて欲しい。
それは何もかもが僕の手に届くところにあるが、
他人から見てどこに何があるのか法則性が導き出せない。
一部分であれ、それを図示するのはいつも一苦労だ。
マッピングの作業にかなりの労力を要する。


僕に子供がいたら、理系的な感性を身に着けさせたいよ。
詩人の感性も必要だけどさ。
それって実生活に潤いはもたらすけど、具体的な役には立たないわけで。


話は変わるが、文系の夫に理系の妻、理系の夫に文系の妻ってうまくいくのだろうか?
関係ないのだろうか?
文系同士、理系同士の組み合わせよりもうまくいく・いかないの統計ってどこかにないだろうか?
文系か理系かってのはその人の性質・性格に
多大な影響を与えていると僕は常日頃思ってるんだけど。