Au Revoir Simone Japan Tour 2007

デラ君の告知で Au Revoir Simone というグループの日本公演のことを知る。
ニューヨーク出身の3人組。ジャンルはかなり強いて言えばエレクトロニカ
3人とも楽器はキーボードで、ヴォーカルも取る。
僕はそれまで知らなかったんだけど、なんかピンと来るものがあって見に行くことにした。
2日月曜の夜、場所は渋谷の O-NEST
出は4組(Yacht / Montag / The Vivians / Au Revoir Simone)で、
フロアとラウンジで DJ もあり。デラ君は DJ として参加していた(ようだ。結局見れなかった)


■Yacht:
マックのラップトップで曲を流して、
後はマイクで1人きり歌うという唖然とするぐらい簡素なステージで
歌い、叫び、マイクを振り回し、飛び跳ね、踊る。全くオリジナルな振り付けで。
たぶんベッドルームで毎晩練習しているような、10歳の子供がMTVを見て真似しているような。
曲は宅録系エレクトロ・ディスコ・ポップ。
これがなかなかわかりやすくピコピコしていたりキャッチーでベタベタ。
最初キワモノ?と思ったんだけど、笑っていいのかどうかわからない。
周りの観客もキョトンとしていた。熱唱しすぎて痛々しい雰囲気も漂い・・・
だけど曲が進んでいくうちに、自然と暖かいムードで受け入れられていったように思う。
フロアに出てミラーボールに向かって念じたら、回転し始めたってところが最高でした。
(ま、ただ単にライブハウスの人が気を利かせて回しただけだけど)


アメリカの宅録系ってこんなのばかりなんだろうか?
実は結構いたりして。
ピコピコした音を作って部屋の中で一人でシャウトして飛び跳ねてる。


■Montag:
この人も1人。だけど楽器が増えた。
ちっちゃいキーボード2つにタンバリンにシンバルにバイオリンに、その他様々なガジェット。
曲も歌もポジティブでピースフルな感じ。
楽器の編成からして分かるようにカラフルでドリーミーなおもちゃ箱ひっくり返し系。


■The Vivians:
3ピースの純然たるロックバンド。
ギターをジャキジャキ鳴らしててそこだけいいとこ行ってんだけど、
それ以上のものはなかったな・・・
やむにやまれぬ理由があってロックを聴き続けている
32歳のおじさんの心にはこういうの響かないわけですよ。
当たり前すぎて。イージーで。


女性の熱狂的なファンが多かった。
The Vivians だけを見て帰っていく着飾った女性たちがチラホラといた。
(彼女たちは公演終了後、バックステージに呼ばれて消えていった)
雑誌の取材なのか、写真を取っている人たちも何人か陣取ってて。


恐らく Vivian と思われる女性のモノクロの写真を
ドラムセットの周りやスピーカーに貼る、というのがセンスいいと思われるのかもしれない。
あるいは、ギターの無口でワイルドそうな長髪がセクシーなのだろう。


ギター以外の演奏はたいしたことないな。
最初の方、ギターがモニターから聞こえなかったようで曲の途中からギターを弾くのやめて
シールドの交換をした。このときのベースとドラムの演奏の張りのなさと言ったら。
ギターがまだ来てないんで2人だけでスタジオで練習してます、って感じの。


きれいな女の人たちに受けてるからやっかんでると言われたらそれまでですが。


Au Revoir Simone
http://www.jetsetrecords.net/columns/interview/71
http://aurevoirsimone.com/


O-NESTに入ったらラウンジがあって、物販コーナーとなっていた。
Au Revoir Simone の CD も売られていて、店番として座ってたのはなんとメンバーの2人。
この前出たセカンドを買ってサインしてもらった。
3人全員じゃなくて ERIKA だけだったけど。
(ANNIE はサインしてもらおうとした瞬間、ふらっといなくなった)


演奏は3人だけ。ステージ右側から順番に、
ERIKA  キーボード2台とタンバリン
ANNIE  キーボード2台+もう1台小さいやつ、おもちゃのマラカス 
HEATHER キーボードとドラムマシーン、おもちゃのグロッケン


HEATHER が操作するドラムマシーンでバックのリズムをコントロール
そこに3人のキーボードとヴォーカルを加えていく。
メインのヴォーカルは ANNIE と HEATHER で、メインのキーボードが ERIKA となる。
サウンドの鍵は HEATHER が握っているように思う。


音も曲も佇まいもとにかく、キュート。
曲の間に「キャーどうしよー」系のたわいもないおしゃべりをしたり、
たどたどしい日本語を話したり。
3人の衣装はサマードレスというのかな、夏の木陰でバスケット広げてるような普段着。
落ち着いた色使いの。清楚で慎み深いっていうか。
若草物語の少女たちがそのまま大人になったような感じ。


曲の雰囲気は
ソフィア・コッポラの「ヴァージン・スーサイズ」の世界を音にしたような、
どの曲もそのままサントラに使えそうな。
フレンチポップ、テクノポップ、ソフトロックなどなどいろんな要素を
カラフルなマーブルチョコにして弾いているような。


爪の先までとことん、ガーリー。
今年32のおじさんからすればほんとたまんないねえ。
そういうミモフタモナイ感想が真っ先に出てくるよ。
「女の子」という存在の持つきれいさ、かわいらしさ、美しさの「幻想」を 100% 体現してる。


夢のような時間でした。
アンコールの2曲目は僕が最も好きな「Hurricanes」だったのもまた、嬉しく。
アンコールでは「そうだ、おもいついた!」って感じで ERIKA が、
The Vivians がステージに残していったドラムセットからシンバルを HEATHER のところに運んで、
HEATHER がそのシンバルを曲の要所要所で叩いて。
メンバー3人とも気に入ったようで、次のツアーからはいくつか叩き物が増えてるかもね。


最後に。
メンバー3人とも背が高くて、
ERIKA と ANNIE は僕よりも高くて、180cm 超えてるんじゃないか?
そこのところが不思議な魅力を生み出しているように思う。
いい意味での、近寄りがたさというか。
本人たちはおもちゃのようなかわいらしいものが好きでも、
本人たちそのものはおもちゃではないんだよね。