人類の進化の歴史について考える

4回目の氷河期の末期から今の姿に近い人類というかヒトが生まれて、
今までに1万年という時間が流れている。
これを長いと見るか、短いと見るか。
中学か高校のときに歴史の時間で習って以来ずっと忘れてたんだけど、
このことについて書かれているのを最近たまたま見かけて
「あ、そうだったのか」と再認識した。
「たった1万年なのか」と。
この年になってようやく、ピンと来た。


狩猟を中心とした生活から農耕や牧畜を中心とした生活へと移行し、
新石器時代が始まる。これが1万年前。
そして紀元前3000年頃から4大文明が形作られていく。
つまり、文明の端緒についてから今に至るまで最大でも5000年しか経過していない。


20歳を過ぎてからは1年なんてあっという間。
1年がこんなに短いのならば、5000年だって一瞬じゃないかと思う。
「ついこの間」ぐらいの。
地球が誕生してから46億年。そういうスケールで考え出すならばなおさら。
手塚治虫の「火の鳥」なんてのを読むともっとイメージが沸く。


そうだよなあ。
今ここでどれだけ悩んだり、喜んだりしたところで
一瞬の儚い出来事なんだよなあ。
自分の中ですら、儚い。
その日その日、その時々であれこれ感情を抱いたとしても
例えば1年という基準で考えればやはり、一瞬の出来事に過ぎない。
1万年なんて持ち出すまでもない。


一時の感情に左右されてせせこましく生きているよりは
もっとのんびりしたっていいはずなんだよな。
感情の起伏はあっても、いたずらに左右されない。


でも結局は「てめーむかつくわ」って心の中で悪態をついてばかり、
なかなかスケールのでかい人間にはなれない。
悪態をつくというだけで、
それを他者との関わりの中で具体的な改善へ導く行動に出ることもない。
口には出さず、顔にも出さず、そっと押し殺すだけ。


今から1万年前の人たちも
「てめーむかつくわ」って感情を時として持ったのだろうか?
嫉妬や殺意や得体の知れない憂鬱感を抱いたりしたのだろうか?
もし、こういうネガティブな感情を彼ら/彼女たちは持っていなかったというのなら、
今の人間たちがこういう感情に陥りやすいのはそれもまた1つの進化なのだろうか?


逆に考えた場合、もしかして今からさらに1万年後の人類の間において
僕らには想像もつかないような感情が生み出され、分類され、共有されているのではないか?


例えば、感情のそれぞれは脳内で分泌される
いくつかの化学物質の組み合わせの量に過ぎないとしたとする。
科学技術の発展によりその詳細なマッピングが可能となり、
その時点での人類が日常的に抱く素朴な感情というものは
マトリックスのうちの半分も使用してなくて、
残り半分を人工的に体験できるようになったとしたら。
それが身体的に心地よいものであるのならば安易なドラッグが出回ることになるだろう。
嫉妬や殺意や得体の知れない憂鬱感を一瞬にして消し去るような安定剤もすぐ手に入るのだろう。


なんか結局、なんとなく、
「てめーむかつくわ」って感情に陥ることがあほらしくなってくる。
どちらにせよ、人類の、あるいは個人の長い歴史の中では一瞬だけの出来事。