青森帰省 2/3

7時半に目を覚ます。
一昨日の新聞(地元紙「東奥日報」)を読むとおととい、
13日は自民党阿部総理と民主党小沢代表がそれぞれ参院選の応援のため
青森を訪れたことになっている。
もちろん、たまたま。
小沢代表は本当は九州に向かうはずだったのが、台風の影響で急遽予定を変更した。
青森が今回の参院選で戦略上重要なエリアに該当してるとかそんなではない。


朝食。トマト、ブロッコリー、キャベツのサラダ。
ホタテをバターで焼いたやつ。前回冬に来た時に食べた鶏肉のハム。


食べ終わって家中に掃除機をかける。


午前中はずっと、「テヘランでロリータを読む」を読んでいる。
前から気になっていた本。ハードカバーで結構分厚い。今回帰省したときに読むつもりでいた。
なかなか面白い。70年代末のイラン革命から80年代のイラン・イラク戦争、そして90年代。
ナボコフ、フィツジェラルド、ヘンリー・ジェイムス。
禁じられた西欧諸国の小説を読むために集まる女性たち。その回想録。
いわゆるイスラム原理主義の支配する、男性原理の抑圧的な社会。
女性たちはみな黒いヴェールに身を包むことを強要される。
イスラムの教えに反するものは何であろうと徹底的に排除される。
アメリカは悪の手先以外の何物でもない。
そんな状況下において、大学で英文学を教えていた著者は
かつての教え子たち=女性たちを集めて週に1度の読書会を開く。
イスラムの教理に照らしたときに退廃的とされる登場人物が出てくる小説は、
それ自体が退廃的で忌むべきものなのか?
イラン革命のさなか、著者は大学にて「華麗なるギャッツビー」を裁判にかける。
糾弾する男子学生と、擁護する女子学生と。


著者の主張は p185 に(恐らく)要約される。
「他者の経験のすべてを経験することは不可能ですが、
 フィクションの中でなら、極悪非道な人間の心さえ理解できるのです。
 いい小説とは人間の複雑さを明らかにし、
 すべての作中人物が発言できる自由をつくりだすものです。
 この点で小説は民主的なものであるといえます。
 民主主義を主張するからではなく、本質的に民主的なものなのです。
 多くの優れた小説と同じように、『ギャッツビー』の核心にも共感があります。
 他者の問題や苦痛に気付かないことこそが最大の罪なのです。
 見ないというのはその存在を否定することです」


ここで言う「見ない」とは他者という存在の持つ多様性を否定することだけではなく、
(そこでは民衆とはイスラムの教えの受け皿に過ぎない)
具体的には女性たちをヴェールの陰に隠して、皆一様の黒子みたいな姿に変えてしまって、
1人の人間として「見ない」ことへの憤りが強く込められているのだろう。

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午後、昼食のために母と外出する。
バスに乗って、沖館の森林博物館の向かいにある「津しま」という和食の店。
昔「芝楽」にいた料理人が開いた店だという。
天ぷらの定食と和牛の鉄板焼を食べる。
ペルーに行ったときの話をする。


食べ終えて外に出る。
この近くに「豊盃」と書くうまい日本酒を売っている店があるってことで行ってみたら日曜定休日。
田酒よりもうまいそうなのだが・・・


母とはそこで別れて、歩いて青森駅へ。橋を渡って新町へ。
LOVINA 一階のお土産屋とアスパムでその「豊杯」を探してみるが、見つからず。
昨日同様またブラブラする。岡田書店がオープン日だったので入ってみる。
ガラッと変わっている。昔の面影は一切ない。
この辺りはおしゃれに再開発されている。
その一方で新町の下っていったほうの寂れ具合はただものではなかった。
どこもかしこもシャッターが下りていてまるでゴーストタウン。
1年前よりも、半年前よりも、増えている。
モスバ−ガーとか民芸品の店だとか残されたところも時間の問題なのではないか・・・
周りがどこも営業してないのに、ポツンと HIS の店舗があったりして。痛ましい。
デパート「松木屋」の跡地が高層マンションになっていた。
東京並にモダンな建築なのに、目の前はシャッターが下りた死に掛けの町。
アンバランスにもほどがある不思議な光景だった。
入居率はどうなってるのだろうか?ってことが気になった。


昨日行くの忘れてた「EVIS」の店に寄ってバスに乗って帰る。
帰ってきてからはまた「テヘランでロリータを読む」の続きを。


銭湯に行く。小雨が振り出す。台風の影響か。


帰ってきてビール飲みながらテレビを見る。
たまたまつけたNHKが海外のトピックを紹介する番組だった。
・仕事を求めてイラクからイギリスへと渡った医師が、
 テロの影響で最近軒並み資格を無効扱いとされ、職を無くしている。しかし帰る場所はない。
・フランスではワインを飲まない人の割合が40%にものぼり、
 サルコジ大統領も酒が飲めないためイメージアップには繋がらない。
 安いワインの台頭もあってワイン農家は苦戦している。
 中国を新しい市場とできないか模索中。


母が先日行った羊蹄山近くの温泉宿の写真を見せてもらう。
駅舎が温泉宿になっているところと、「銀婚湯」ってのと。


その後、母の作ったカレーを食べながら「さんまのからくりTV」を見る。
昔は東京でも見てたけど、最近見なくなった。
また様変わりしてる。でも面白かった。
やたら日本に詳しい外国人の王座決定戦だとか。
演歌歌手を目指す高校生とか。
お父さんが娘に送るメールを添削するってのは前にも見た覚えがある。
ゲストが「タカ and トシ」で、
普段テレビを全く見ない僕は「欧米か」ってギャグを始めて目にした。