サマソニ1日目 その3

The Stranglers を見るため、Sonic Stage へと移動。
ここは隣のエリアにてエアギターやカラオケの大会が行われていた。
スポンサーの1つ、サミーによるスロットコーナーまであった。
結構人が集まってて熱心にスロットやってた。
気持ちは分かるが、何もサマソニまで来てスロットやんなくなっていいじゃん・・・


ワイルドターキーのブースを見つけて、ターキーソーダを飲む。

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「The Stranglers」
ロートルだし見たらがっかりするんじゃないかと思って
最初は見ないつもりだったのが、気付くと最前列近くに陣取っていた。
登場した時に思わず「ウォーッ」って叫んで
その日一日で最も腕を振ってヘッドバンギングした。
高校時代あれだけ夢中だったロンドンパンクの唯一と言っていい生き残りが
1度も解散せずにずっと続けていて、今、目の前で演奏してるのだから、
もうそれだけで熱い気持ちになる。
演奏はそりゃストーンズとは雲泥の差だけど
パブロックとして見たら現役最高峰なんじゃないの?


曲目は「Peaches」「Nice'n'Sleezy」「Golden Brown」「Always The Sun」など。
懐かしい曲が次々に出てきて最後は「No More Heroes
残念ながら「Something Better Change」はやってくれなかった。
(もちろん、「Strange Little Girl」も)


「Nice'n'Sleezy」は3曲目だったかな。
あのイントロを聞くと「ウォーッッッ!」と叫んでた。
かっこいいよなあ。やっぱ。
演奏そのものはドラムとキーボードの2人はさすがに年で涸れてて。
定年退職後に趣味でやってますぐらいの腕。
最近の若い音楽とは全く無縁に昔取った杵柄だけでやってます的な。
それでも聞けちゃうのだから
いかに曲とアレンジがしっかりとした核を持っていたか。ってな話で。


一方ジャン・ジャック・バーネルのベースはいまだバキバキで。
脱退したヒュー・コンウェルの替わりとして
何代目かの Baz Warneのギターと歌もよかった。


いやー見れてよかった。
僕が最も好きなのは The Clash だけど、
アルバムとしてかっこよかったのは The Damned だし、
音楽的には The Stranglers だった。
他のパンクバンドが10代末か20代初めの若さに任せた
「くだらねえ」「つまらねえ」的な幼い初期衝動だとしたら
一世代上の彼らが持っていた破壊的な気持ちってのは
社会から本当にはみ出しそうになっていた者たちが持つ
孤独さややりきれなさの現われだった。


僕は今でも、彼らの初期の曲、
特に「Something Better Change」を聞くと凶暴な気持ちになる。
あのささくれだった、乾ききったキーボードの音。
僕が愛してやまない、あの当時の音の最高峰
Gang of Four の「Entertainment !」に匹敵しうるのは、
あの焦燥感に並びうるのは、初期の PiL と
The Stranglers の何曲かだけだと思う。


僕らの世代が後追いで知るにも最後の方だったのかなと思ってたんだけど、
そんなことはないようで結構観客が集まってて、若い女の子も割と見に来てた。
熱心にビートに合わせて飛び跳ねてた姿が印象的だった。パンク好きなのかねえ。

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同じく、Sonic Stage で「INTERPOL
期待してたバンドの1つ。
The Strokesを除けば、昨今の NY では頭1つ抜きん出たバンドだと僕は思ってる。


Locksley のように皆トラッドな服装。NYのはやりはトラッド?
周りの観客は女性ばかり。かっこいいもんなあ・・・


この辺りのバンドから、大物感が漂いだす。
安心して見ていられる。当たりハズレなくなるというか。


僕は好きだという割りに昔のアルバムは1枚しか持ってないし、
そのアルバムを聞き込んだわけでもない。
最新作が出たばっかりだけど、発売された月に買い忘れてそれっきり。
それってつまりバンドの曲や演奏やメンバーのキャラが好きなのではなくて、
バンドそのものの持つ雰囲気や佇まいが好きってこと。
だからライヴを聞いていても、いいも悪いも
この曲をやってどうこう、やらなくてどうこうってことはなくて
「ああ目の前にいるんだなあ」ってことで満足してしまう。
そしてそれ以上の感動はとりあえず不要となる。
で、ここから先が明暗を分けるんだけど、INTERPOLの場合
「それ以上の感動」を与えてくれそうな何かってやつはステージの上になかった。
どの曲も同じに聞こえた。
いや、それぞれの曲が他の曲と違うってのはその場にいた瞬間は感じていたことだけど、
後になって思い出して見ると全てが同じ印象しかない。
描く風景は微妙に違うにせよ、陰影に富んだ水墨画を淡々と上品に描き続けているような。


それでも僕はこれから先もこのバンドについて良い印象を抱き続けるのだと思う。
不思議なことに。
金を出してまでしてこのバンドのライブを見るってことはもうないのだろうけど。