UK DECAY

最近こまめにCDを売ってると以前書いた。
このままだとパンクする。
コレクター気質の僕としてはどんなものでも持ってたいのは山々なんだけど
どうせこの先も聞かないだろうってのをいつまでも持っててもしょうがない。
毎度毎度フルイにかけているのだが、
だいたいのところ選ばれるのは日本限定ミニアルバムみたいなやつ。
本国ではCDシングルが何種類か出ていて、
そのカップリング(以下、B面と略す)を集めましたっていう。
ついつい買っちゃうんだけど、結局聞かないんですよね。その後。
B面はB面に過ぎなくて、
A面でもなくアルバムにも入ってない曲はやはりその程度のものでしかない。と割り切る。
B面や未発表曲を集めたアルバムが出たらもちろん買う。
単体で発表されるか、あるいはベストアルバムの初回盤の2枚目とか。
で、それさえ持ってればあとはいいやとなる。
そのB面+未発表曲集にさえ漏れた曲はまあ、持ってる必要ないんじゃないか。
よほど思い入れのあるグループのものでも無い限り。


売り払うための選別をしていて気付いたのだが、
この手の日本限定ミニアルバムってUKものばかり。
USものであまり目にしない。
これまでに僕が売ったものとしては、MANSUN, MUSE, REEF, Travis ...
といったところ。おおざっくり言ってその時々の若手ギターロック。
本国ではCDシングルが2パターン発売されるというのは
UKもUSも変わらないはずなのに。
(1枚はリミックスを集めて、もう1枚がライブとかね)


UKだと、初回盤のあとに3ヶ月ぐらいして
4・5曲入ったボーナスディスク(CDないしはDVD)がくっついた
なんとかエディション盤が出ることがときどきある。
ファイナルエディションとか、ジャパンツアーエディションとか。
ひどいときにはそれが何回も
ちょこちょこ体裁(というか曲目)を変えたものが売りに出される。
僕はこれを「リバティーンズ商法」と呼ぶ。
僕は常日頃こういうのひどい話だと思うのだが、この手のやり口もUKばかり。
普通逆だよね。初回盤にDVDをつけたり初回限定盤としてジャケットを変えたりして
初動の売上を増やして勢いをつけるってことが王道。


なぜなんだろう?ミニアルバムもなんたらエディションも。
UKギターロックのファンは熱心な思い入れのある人が多い割には
全体としての規模が小さいということか。
その手の人がついつい買ってしまうから、延々とこれが続く・・・
なんたらエディションの場合は、恐らく、と言うまでもなくこういうこと。
ひとたびそのアルバムの正規の発売日が来たら店の目に付くところに平積みとなるが
そのうち特別扱いはなくなり、ゆるやかに売上ペースは落ちていく。
そこにカツを入れたいがために、再度平積みとせんがために新装発売となる。
初回の発売の時には目にしなかった、あるいは特に興味を持たなかった人も
2回目にはふとした表紙に目に留まって買うかもしれない。
熱心なファンはもちろん、両方買い揃える。


さらにもっと深いことを考え出すと、
なんでこういう商売に頼らないといけないかと言えば
今のUKシーンが全然いけてないってことなんだよな。
80年代後半のマッドチェスターから90年代半ばのブリットポップまで。
あの頃のUKシーンは玉石混交とはいえ華やかだった。
今はあの当時の雰囲気を懐かしがって、
無理やり盛り上がろうとしているようにしか見えない。
期待のニューカマーだのなんだの言って。
盛り上がらないことには売上に結びつかない。


Rockin'on だってレコード会社と一緒になって
なんとかしてシーンを生み出そうとしている。
そんで今の僕にはものすごくつまらないものになった。
レコード会社の売りたいものを取り上げてるだけというか。
それは言い過ぎにしても、
少なくとも編集者が独自の臭覚で取り上げているバンドやシーンは
隅に追いやられていてものすごく地味な扱いだ。
昔から読んでいた僕としてなんだかとても寂しい。
名盤100選みたいな企画も多いし。
またこのアルバムか、と目新しい発見はそこにはない。
とはいえ初級リスナーにとってはガイダンスとして必要なのものなので無下に否定できない。
でもね、紙面から受ける印象としてどことなく「安易」な雰囲気を感じるんですよ。
選ばれるアルバムも基準がもう何十年も変わってないような。
渋谷陽一が敷いたレールが根っこではずっとそのままのような。
確かにそれらは名盤なのは認めるんだけど。
そして僕もそれらのアルバムが好きなんだけど。
でも一言で言うと「旧態依然」というか。
Studio Voice あたりの特集で
ミュージック・マガジンレコード・コレクターズ系のライターが選ぶ100選の方が
よっぽど「今」というものの雰囲気や視点をヴィヴィッドに汲み取っているように思う。


去年からかな、UKはダメだってことばかり書いてる。
なんか僕も次のステージに進んだというか、ある種の物事からは卒業したというか。


いろんなことが、なんだかとても寂しい。