「Wicked」

昨日の夜は会社のイベントで劇団四季の「Wicked」を見に行ってきた。


今週はお客さんがこちらのオフィスに来て
一緒にテストをすることになっていてそもそもとても忙しく、
行けるかどうかとても不安だった。
それを無理やり遮って見に行く。
夕方そろそろ出ないとやばいって頃合になっても一緒になってPCを眺めてる。
気が気じゃない。
オカムラ君、これって?」「エラーじゃないです!!」
「うーん、いいかなぁ」「はい、じゃ、お疲れさんでした!!」
ってことでピューッと会社飛び出して汐留へ。


「Wicked」はブロードウェイのミュージカルを日本に持ってきたもの。
オズの魔法使い」の前日談みたいな話。
善い魔法使いグリンダと悪い魔法使いエルファバは実は大学の同級生。
最初はたがいに「いけすかない」と反目しあっていた若い2人がやがて友だちとなり、
ハンサムな王子フィエロを間に挟んで、運命に翻弄されていく姿を描く、ってとこか。


プログラムを買って読んでみるとこんなことが書かれていた。
最近のブロードウェイはファミリー層はディズニー作品、
黒人層は「カラー・パープル」で外国人観光客は「オペラ座の怪人」というように
ターゲットとする層を明確にすることで大ヒット・ロングランをものにしている。
「Wicked」はティーンエイジャーの女の子のファン層という市場を開拓することに成功したと。
なるほどなーと思う。
いい題材といいキャストと、演出に振り付けに衣装とあれば当たるわけでもなく
やっぱ何事もマーケティングが根底にあるわけで。


劇場はステージ真上に巨大な銀の竜がいて、全般的に時計仕掛けなデザインのセット。
開演前の幕にはオズの国の地図が描かれていた。


始まる。前半は正直言ってつまらなかった。
歌って踊って当たり前のことばかりで。「だからどうした」
「なんでこんなタルいんだろう?くだらねー」とすら思った。
これって物語の骨子としては魅力的だけど
わざわざ長い話にしてミュージカルにするもんでもないよねと。


それが後半に差し掛かってくると
その「当たり前のこと」がバシバシはまりだして劇団四季の底力が見え出してくる。
実直で心のきれいだったエルファバが策略により
オズの国で「悪い魔法使い」扱いを受けて、どんどん追い詰められていく。
心の奥底に「悪い魔法使い」が本当に芽生えていく。
その様がね。見てるほうも自然と乗せられていって。
いつのまにかのめり込んで見てた。


トータルとしては面白かったと思う。
劇団四季の名に恥じない、良質なエンターテイメント作品。
でもまあ平均点クラスなのではないか。
四季の作品ってそんなたいした本数見てないけど。
ライオン・キングの方がそりゃやっぱ面白いだろうね。


それにしても、ニューヨークのこういうミュージカルをまんま持ってきて
日本人キャストででかい劇場でロングランできるのって四季しかいないわけで、
これは劇団としてすごいなあ、モンスターみたいなもんだなあとつくづく感心させられる。


自分の金では絶対見ないけどね。
会社の金で1年に1度見る分には悪くないなと。
何度見ても思うけど、結局四季の作品は僕の心を1ミリ足りとも動かさない。