「ディア・ハンター」「クローサー」

前にも書いたけど、年末年始は結局今年もまた青森に帰れず。
休みの間、午前中は小説を書いて午後はDVDで映画を見る生活を送る。
これまた恒例の、母が作って送ってくれたカレーを昼に温めて食べながら。
小説は昨日から新作を書き始めた。


ちなみに昨日は22時に寝た。
昔は休みの日ともなると午前1時ぐらいまで起きていたものだけど。
最近はめっきり早くなった。
起きてりゃ起きてたで酒飲んでるだけでいいことないし、
朝は小説を書きたいから早く起きたいし。
そんなところ。
年末年始だしダラダラ遅くまで起きててもいいか、って気分は無し。
テレビも一切見ていない。


映画は昨日、まずは「ディア・ハンター」を見た。
ずっと昔から気になっていたけど、なんか縁がなくて見ないままとなっていた。
出演はロバート・デ・ニーロクリストファー・ウォーケンメリル・ストリープと豪華。
作品賞と監督賞を初め、アカデミー賞で5部門を制覇している。


これ、すごかった。
久々に100点満点の映画を見た。
人が生きるってことの何たるかがきちんと直球勝負で描かれていたように思う。
どうして学生時代に見なかったのだろう?


3部構成になっていて
ベトナム戦争出征前の結婚式、戦場、戦争が終わってから、
という構造が図式的過ぎる嫌いはあるかもしれない。
そこは好き嫌い別れると思う。分かり安過ぎ、ってことで。
あと、「鹿狩り」ってのがメタファーとしてこれまた分かりやすい。
主人公にとってそれはどういう意味合いを持つ行為となったか?
これ、非常に安っぽい映画になりえたと思う。
しかし雄大なスケールを持つ映像がどっしりと構えていて、
安定感・重厚感で見せきってしまう。


戦場のシーンってほんのわずかなんですよね。ヘリで爆撃ってのとか。
その前の結婚式の1日を描いた方がよほど長い。
不思議な時間配分。しかしこれが逆に効果的だったように思える。
彼らにとって毎日の日々がどういうものだったのかってのを詳細に語った上で
たった一瞬だけ戦場を映す。その方がやはり突き刺さる。傷跡としての生々しさ。
後はひたすら「その後」の話となる。その傷は彼らに何をもたらすのか?


有名なロシアンルーレットのシーンはやはり必見だった。
デ・ニーロがいいのは当然として、
クリストファー・ウォーケンの存在感、虚無に魅入られて、虚無を見つめ続けた顔。
素晴らしい。一世一代の名演技だと思う。
(その後のクリストファー・ウォーケンっていろんなものに出まくって、
 スパイク・ジョーンズ監督の Fat Boy Slim のPVに出てたのを見たのはびっくりでした)


ベトナム戦争映画ってこれと「地獄の黙示録」があればもういいように思う。
どちらも川が重要なモチーフになっているのが気になる。
一方は川を上っていく。未知なるものへと向かうために。
もう一方は川を下りていく。生き延びるために。
しかし、最後の方で友人を助けるために川を渡るというシーンが出てくる。
ここ、分かりやすく象徴的だなあと。

もう一本、「クローサー」を見た。
今年最も聞いた曲 Damien Rice 「The Brower's Daughter」が使われてるってことで。
監督は「卒業」のマイク・ニコルズ。一世を風靡したのってもう40年近く前ですよ。
その後ブランクがあったりして、まだ現役。
でも、フィルモグラフィーを今見てみても、これなんだっけ?ってのばかり。


ジュリア・ロバーツジュード・ロウナタリー・ポートマンクライヴ・オーウェン
この4人が織り成す恋愛ドラマ。
この4人しか出てこないに等しく、そのアンサンブルを見るため(だけ)の映画。
そこに特化して割り切って見るなら、なかなかよくできている。
さすがうまい人たちばかりだ。


良くも悪くもスタイリッシュ。
見る人によって好き嫌い分かれるだろうし、嫌いな人は「こんなのただの御伽噺だ」と思うだろう。
「なんだよ?こんな小ぎれいな家に住みやがって」みたいなやっかみが噴出しそう。


映画はこの4人がいろんな組み合わせでくっついたり離れたりする様子をひたすら描く。
恋愛ってモノはここまで駆け引きが必要で、憶測をめぐらす必要があるのなら
僕なんかからすると非常にめんどくさいものであって、「だったらいらんわ」と思ってしまった。
こういう恋愛関係に憧れる人、特に女性は多いのかねえ・・・?
僕は一条ゆかりの恋愛ドロドロ系の諸作を思い浮かべた。


なんかね、よくできすぎなんですよ。で、その分小さくまとまりすぎ。
元が戯曲だったせいかなあ。役者のアンサンブルを見せるってことにおいては機能的だとしても
一定の枠からはみ出て映画的ダイナミズムを生み出すって瞬間がないんですね。
舞台から映像に置き換えたってだけで。


結局僕にとっては
Damien Rice の歌の素晴らしさを再確認しただけのような。
オープニングに流れるのですが、あの歌が流れているというだけで最高のオープニングだった。

    • -

あと、Boredoms の最近出たライヴのDVDを見た。
2005年のサンフランシスコのライヴ。
Boredoms ってことになってるけど、メンバーは EYEがエレクトロニクス、
ヨシミ・ATR・YO2ROの3人がドラムという布陣。
HIRAと山本精一がいなくて、どっちかっつうとV∞REDOMSのようであるが。


いやー面白かった。ドラム叩いて演奏しているだけなのに目が離せない。
トライバルな楽曲がそもそもいいしね。
それがこんなふうにして生まれてるのかってのが映像で見ることができて興味深かった。
こんなふうも何も、ドラム3台でDJが1人なわけだから見てそのまんまだけど。
なんかどうもドラム3人いて基本的な流れを作ってるのは YO2RO みたいね。
ヨシミがメロディアスなラインを叩くっつうか。ATRは2人の間で隙間をつなげていく。


もう何年も Boredoms 見てないなあ。
新宿にあった Liquid Room で見たときは最高かっこよかった。