昨日は午前中小説を書いたあと、渋谷に出てシネマライズで「ペルセポリス」を見て、
その後デラ君主宰の"Camouflage"のイベント"Last Day of Winter"を O-NEST で見た。
O-NEST は5階と6階でフロアが分かれていて、両方使ってライヴをやるという
まるでサマソニのようなロックフェス。
僕はずっと5階のライヴフロアに陣取って眺めてた。
前方ステージ脇の柵が空いてるのを見つけるとずっとそこでもたれてた。
後でタイムテーブルを見て知ったんだけど、
5階と6階はライヴの時間をずらしていたので見ようと思えば
出演アーティスト全部見ることができた。
僕が見れたのは半分ってことになる。
道理でライヴが1個終わるたびにフロアから人がいなくなって
始まる前になるとまた人が戻ってきていたわけだ。
見たアーティストを順に。
1) Shuta Hasunuma
ステージの上にドラム(スネアとバスドラとシンバルだけ)とベース、ラップトップ。
最初はラップトップだけ。
これがノイジーだけど、平面的で奥行きがなくて。抽象的過ぎて踊れない。
後半、このラップトップの人がドラムを叩いてベースも加わって、
ラップトップは単なる背景のテープとなる。
キーボード主体のフュージョンぽい音。
これって面白い試みではあるけど実験の枠を越えられず。
アート足りえず、ロック足りえず、(僕が思うところでの)音楽でもない。
1つ言えるのは演奏力っうかビートの単調さってことなんだろうな。
キーボード入れて人力ラップトップにすればいいのに、なんて思った。
まだ試行錯誤中の音。
2) kashiwa daisuke
完全一人ラップトップ。
ハードコアというよりは暴力的で強迫的なビートと、
ピアノの音やTangerine Dream ばりの荘厳なシンセサイザーや
フランス語のナレーションと脈絡もなく絡み合う。
踊れる音楽のなんたるかをよく知ってる。
1組目の Shuta Hasunuma では
フロアは座ってる人ばっかりだったのに今回は踊っている人が多かった。
でもこういうラップトップ系の人で評価が難しいのは
これらの音が事前に作りこんできた音源をただ流しているのか、
その場の流れに応じて作っているのか素人にはよくわからないところだ。
この人はラップトップ2台使ってたんだけど、果たして何に使っていたのか。
背景の映像と音がシンクロしていたから1台は映像用だったのかも。
ミキサーはほとんど触らず。
直接的な音そのものの面白さは6組中ダントツだったけど、刹那的。
この音の向かう先は単純に音の奇抜さの勝負でしかなくなる。
3) Ametsub
内向的で天才肌っぽい人。
ラップトップ2台、ミキサー、シンセ。
シンセで弾いた音をループさせて、ミキサーでいじくって、そこにリズムを足していく。
即興的要素が強く、「音楽」的だなあと僕は思った。
言葉本来の意味での「ノイズ」を美しく紡ぎだしていく。
大事なポイントとして、催眠的。身を委ねたくなるような音。
僕は目を閉じて柵にもたれてその日最も体を揺らした。
4) group_inou
1MC+1DJ(ドラムマシンみたいなの2台)
ラップトップというかエレクトロニカでラップってこれまでありそうでなかった。
僕が知らないだけかもしれないけど。
ハッピーでフレンドリーでちょっとコミカル。
音が気持ちいいし、ラップが乗るとさらに気持ちいい。っうかかっこいい。
2人のキャラもいいし、これはブレイクするかも。
終わったら途端にフロアから客がごっそりいなくなった。ファンが多かったのだろう。
5) アセンブラ(竹村延和+Fylue Deau)
トリの i am robot and proud は以前見たことがあるので、
僕としては最も今回見たかったのが竹村延和。Audio Sports なんかでその名前を見かける。
Fylue DeauがCDJとシンセ。竹村延和がラップトップとギター。
ラップトップは3台で1台は映像用、2台は何らかの音源用だった。
地図のような回路図のようなのがデスクトップに映し出されていて、スクロールさせる。
それが出てくる音に関係するようだ。
他にもエフェクターの類のつまみをいじる。
映像のコントロールも自分で行う。
セットアップが終わってもあちこち神経質そうにいじり続け、
予定時刻になってもいつまでたっても始まらない。
DJが曲をかけ終わるのをずっと待ってたのではないか。
始まると最初のうちは取り留めのないノイズを。フロア静まりかえる。
どう評価していいのか分からなくて、戸惑っているのだろう。
僕の目の前で何人かフロアを去る。
竹村延和のギターはデレク・ベイリーのよう。
弾くように叩いて無調のノイズ、
やがて後半からは川が流れるかのような柔らかなフレーズを弾いた。
完全な即興かと最初は思ったんだけど、
アニメーションの映像に合わせて曲が変わっていったので
結構作りこんでいるのだろう。
後半は割と曲の構成がはっきりしていた。
6) i am robot and proud
2年前の夏かな。
"Camouflage"の隅田川クルーズの船で音楽を聞くというイベントで見ていて、これで2回目。
この日の流れで聞くと最もオーソドックスな音。シンプルと言っていい。
音の強度・奇抜さに頼らない。
しかし最もはっきりとした「世界観」が広がっていたように思う。
i am robot and proud としてのアーティスト性というか。
人によっては「どれ聞いても同じ」「演奏が上手じゃない」と思うかもしれない。
でも、そういうのじゃ計れない何かがあるんだよね。カリスマ性というか。
アンコールを1曲披露。
ライヴ会場限定のアルバムを売っていて、買おうかどうか迷ってやめた。
(フロアが冷房効いてて、薄着だった僕は寒くてたまらなくて、すぐにも帰りたかった・・・)