先日書いたが、ブライアン・ウイルソンの自叙伝を読んでいる。
300ページまで来た。
ドラッグに蝕まれて10何年と豪邸の中で無為な生活を送っていたブライアンは
精神科医ユージン・ランディの更生プログラムの2回目を受けて徐々に回復するが、
酒とドラッグにブライアンよりも溺れて退廃的な日々を送っていた弟、デニスが
酔った上での不慮の事故で死んでしまう。読んでて切なくなった。
天才的な兄と比べれば何の音楽的才能の無かった、荒れ果てていくより他なかった弟。
会社の行き帰りにこの本を読んでたこと以外に、今週、記憶があんまりない。
思い出せるのは、そうだ、東京にしては珍しく雪が降った。
あれは水曜か。雪が降り出して、雨になって、みぞれになって。そういう1日だった。
強い風に煽られて、会社の窓からは吹雪のように見えた。
仕事から帰って来ると久々にビーチ・ボーイズを聞いた。
初期の明るい屈託のないヒット曲よりも
僕の場合やっぱりアルバムで言えば「Pet Sounds」シングルでは「Good Vibrations」がいい。
そして「Surf's Up」を繰り返し聞いた。僕はこの曲がダントツで好きだ。
何か大きくて、深いものがそこには広がっている。
自分の言葉で訳してみることにした。
イメージの連なりだけで何かを伝えようとしている歌。
何を言ってるのかさっぱり分からない。
(歌詞を書いたのは、ヴァン・ダイク・パークス)
訳し終えてブックレットを読んだら訳詩と全然違ってた。特に第1パラグラフ。
「あれー?」って感じ。
ドアーズの「The End」と並んで、ロック史上、観念的に最も難解な詩の1つだと思う。
世間の人がビーチ・ボーイズと聞いて思い浮かべるものから、100万光年かけ離れている。
オリジナルの詩は↓参照。
http://www.lyrics007.com/Beach%20Boys%20Lyrics/Surfs%20Up%20Lyrics.html
かなり意訳です。
「Columnated ruins domino」が何を意味するのか?
ここは後々まで様々な意見が交わされるのだと思う。
僕はどこかで読んだ文章を元に、オリジナルの歌詞よりもはるかに長いフレーズにしてみた。
-
- -
ダイヤのネックレスを首にかけた女がポーンを指した。
オーケストラの団員たちがドラムを打ち鳴らす。
壮麗な顔立ちの男性が指揮棒と共に現われ、盲いた貴族階級にかしずく。
オペラグラスを通して君はオーケストラピットにて振られた指揮棒を見る。
眼下には荒廃した文明社会が広がる、無数の高層ビルが崩れて倒れている。
街をキャンバスで覆って、ブラシで派手に色を塗れ。
君はまだ眠ってるのか?
吊るされたヴェルヴェットの幕が僕を不安にさせる。
シャンデリアのほの暗い灯りの下で僕の意識が覚醒する。
次第に薄れていく夜明けの中で歌が歌われる。
ミュージックホールでは喝采を受けてカーテンコールが繰り返された。
全ての音楽が今、失われた。
ミュートをかけたトランペットが美しい旋律を鳴らす。
眼下には荒廃した文明社会が広がる、無数の高層ビルが崩れて倒れている。
街をキャンバスで覆って、ブラシで派手に色を塗れ。
君はまだ眠ってるのか、ブラザー・ジョン?
鳩が巣をかけた時計台から
時を告げる鐘が水銀の月で照らされた通りに響き渡る。
馬車が霧の中、現われては通り過ぎる。
暗闇の中でランプの火が揺らめく。
「蛍の光(オールド・ラング・サイン)」が歌われて、そこら中に笑い声が巻き起こった。
オペラグラスは持ち上げられ、バラは火にくべられる。
ワインがなみなみと注がれ、僕らは乾杯のためにグラスをぶつけ合った。
束の間の急速を求めて僕らは、別れの挨拶か、死を待つことにした。
この僕の悲しみ。息ができなくなるぐらいの。そして僕の心は失われた。
泣くことができないぐらい強い心を持ってる人間?そんなの嘘だろ?
波が来た・・・
寄せては返す波にサーフボードを浮かべて、身を任せる。
さあ飛び込んで、加わるんだ。
そして若者たちに混じって、君も波の間から顔を出せ。
僕はその言葉を聞いた。
素晴らしい言葉を。
子供たちの歌。
子供たちは、人類の父である。