年末から書き始めた小説もかなりの分量になった。
とにかく先に進みたくて、枚数を稼ぎたくて、
このところ書いた文章は「軽く」なっていた。
何かが違う。僕が望んでいた方向性から思いっきり反れていた。
立ち止まって、深呼吸して、軌道修正しようと思った。
僕が本来書きたかったことを整理しようと思った。
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立ち向かうということ。
自分の人生に立ち向かうということ。
他人の人生に立ち向かうということ。
受け入れるということ。
自分の人生を受け入れるということ。
他人の人生を受け入れるということ。
そしてそれは中途半端な気持ちでは、適うことがないのだということ。
他人とは結局のところ分かり合えないのだということ。
自分とも分かり合えないのだということ。
それでも僕は僕として生きていくのだし、
僕はあなたと共に生きていくことが可能だということ。
日々は穏やかに過ぎ去っていく。
だけどそれはある日突然、分かり合えないという小さな綻びから脆くも崩れ去る。
そしてそういう不安を抱えながら、人は生きていく。
僕は僕が何を思っているか分からなくても、その瞬間を生きていくことができる。
さらにそこから先を生きていくこともできる。
僕はあなたのことが分からなくても、
あなたが今この瞬間何を思っているのか、何を考えているのか、分からないとしても
僕はあなたのことが好きだと言おうとするのだろう。
分からないがゆえにあなたのことを欲しいと思うだろう。
例えそれが言葉にならなかったとしても構わない。
届かないとしても、伝えなければならない。
人という生き物は、何よりもまずそういうことのために生きている。
好きだとかいうだけじゃなく。誰かに何かを伝えるために。
だったら、「死」とは何なのだろう?
なぜ人は死に魅せられるのだろう?
あの時僕は僕で死を望んだし、あなたはあなたで死を望んだ。
別々な場所、別々な時間で。交差することも無く。
僕はあなたに出会い、今、この瞬間を生きている。
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そこには世界の果てが広がっている。
雪で覆われた大地。見渡す限り何もない。
僕は1人きり、その雪原を歩く。