転換点

金曜の夜、仕事を終えてアパートに帰ってくる。
何もすることがない。したいことがない。
家で酒を飲まなくなって、これで2週間。
部屋で一人きり過ごす時間がとてつもなく長い。


酒をほんとに飲まなくなったら。
ああ、これから先の僕はたくさんの時間を持て余すようになるのだろう。
過ごし方を知らない時間は、ジリジリとしか進まないものである。
まるで静止する寸前の瞬間が永遠に引き伸ばされているかのように。


人生は短いのだと思っていた。
1日がどんどん短くなっていって、1年がどんどん短くなっていって。
それは一方向の加速しかないのだと思っていた。


違う、ということがわかった。
気分次第で、物事の捉え方1つで、
人生はこれから先どこまでも長くなりえるのだ。
無為に過ぎ去るだけの時間がこれから先、
僕の行く手にどれだけ待ち受けてることか。


そのことに思い至ったとき、ゾッとした気持ちになった。
たまらなく怖くなった。


そして僕は意味もなく年老いて、いつの日か死ぬ。


僕にはどうすることもできないのだろうか?
いつの間にか、流れに逆らえなくなって。
見失って。
いろんなことを見失って。
諦めて、嘘をついて。
泣いたり、笑ってみたりして。
そういうこと、いつまでも繰り返して。