赤いきつねと緑のたぬき

昼、何食べようかと考えたときに特にこれと言って何も思いつかず、
コンビニ行ってカップラーメンを買うことにする。


あれこれいろんな種類がある。大きく分けて3種類が並んでいる。
?高級そうなこだわり系のラーメン(市場に投入してすぐ消える)
?カップヌードルどん兵衛といった定番
?カップヌードルどん兵衛といった定番の新シリーズ、バリエーション


?の人気っていまだ根強いんですね。
家系のラーメンやご当地ものが「期間限定」という形で商品化されて
次々に新しい商品を見かけるけど、
ヒットしてロングセラーになることはなく入れ替わっていく。
今日は「ごくせん熊井ラーメン」ってのを見かけた。
http://ichigaya.keizai.biz/headline/268/
「ごくせん」って見たことないけど、
日テレが商品開発してセブンイレブンで販売することになっているようだ。


僕が気づいてないだけで、?もロングセラーがあるのかもしれない。
とりあえず僕は代表的な商品名を思い出せない。
「高級そうなこだわり系のラーメン」っていうジャンルのイメージだけが固定して
個々の商品のブランドイメージは曖昧なまま。
それって、要するに例えば「麺屋武蔵」のラーメンをインスタントにしましたというとき、
それ以上のアイデンティティを持ち得ない。
実在の「麺屋武蔵」のリアリティ、存在感に引きずられ過ぎてしまう。
これらの商品がわざわざ「期間限定」と銘打つのは
絶えず新陳代謝をはかりながらでないと命脈を保てないような
首の皮一枚の危ういジャンルだということか。
ブランドとしてではなくてジャンルとして存在していく。
そしてインスタントラーメン業界は言うまでもなく、競争が激しい。
(なお、「ラ王」は当初?の路線でスタートして、ジャンルの先駆けとなるが
 ?への移行を果たした稀有な商品だと思う)


この日僕が買ったのは?の緑のたぬき、でか盛り。
結局いつも、そう。
日清のカップヌードルかカレーヌードルのBIG、あるいはどん兵衛の大盛り、
東洋水産緑のたぬき、でか盛り。
ここに落ち着いてしまう。


(僕はどっちかと言うと100円台という価格帯を守って
 インスタントラーメンとしてのうまさ、完成度を求めているものが好きである。
 300円以上する、インスタントラーメンではなくラーメンそのもののうまさに迫ろうとする、
 そのためには材料もこだわる、というのはどうも苦手。
 どうあがいてもインスタントはインスタント。
 「麺屋武蔵」の店主が「監修」したインスタントラーメンを食べるぐらいだったら
 「麺屋武蔵」のラーメンそのものを食べた方が絶対いい。値段が全然違うとしても)


?系の商品は偉大だよね。
僕らが小さい頃から店に並んでいて、日本全国どこに行ってもあって当たり前というすごさ。
たぶん僕らが死ぬ頃になっても存在し続けるのだと思う。
確固たるブランドを確立し、揺ぎ無い。


以前、MBAの入門書みたいなのを読んだと書いたが、
そこにブランドイメージのことが解説されている章があった。
どん兵衛のようなベストセラーも
あの規模になってしまえば以後永遠に売れ続けるということはなく、
絶えずブランドイメージの更新を続けなくてはならない。
広告戦略を見直し、分かりやすい例で言えば例えばコマーシャルを定期的に変えていく。
これはもちろん、ただ単に視聴者が飽きるから、というだけの理由で変えていくものではない。
商品そのものも細かなマイナーチェンジを繰り返していく。
わざわざ大々的には言わないだろうけど、麺やつゆの改良は当たり前のようになされている。
パッケージも変わっていく。
車の方が分かりやすいかもしれない。「マーク?」という車種はいつの世もあるが、
数年置きに定期的にモデルチェンジがなされる。それと同じこと。
時代の流れに合わせて、広告戦略と商品そのものをアップデートし続けることで
どん兵衛」のイメージが何十年と保たれていくのである。
発売当初のコマーシャルと発売当初の商品のままでいたらいとも簡単に廃れていっただろう。


そしてそのブランドイメージのリフレッシュのため、
?の定番商品のバリエーション系が市場に投入されることになる。
ラインナップを増やすことで選択の幅を持たせてパイの拡大を狙うだけでなく、
話題作りにもなる。


僕は今緑のたぬきを食べているようでいて、そのイメージを食べているのだなあと思った。
・・・いや、違う。
店頭で様々な情報を元に選んだのが緑のたぬきのイメージであって
僕が食べたのは緑のたぬきそのものだ。
イメージだけで腹は膨れぬ。


それにしてもほんと、緑のたぬきはうまい。
緑のたぬきもまた関西と関東でダシを分けていて、関西の方は食べたことがない。
一度食べてみたいものだ。