ニューヨーク その19(6月1日)

okmrtyhk2008-06-17


球場はとんでもなく大きい。
このシェアスタジアムってのは元々外野席がない。
でも、急造っぽい外野席がちょこっと三塁側にあった。
外野が無い分収容人数は少ないはずなんだけど、高さは三階まであってとにかく縦に長い。
もしかしたら東京ドームよりも入るのかもしれない。
その球場のすぐ裏に新しい球場を作っている。
「シティ・フィールド」って言うんだったか。
「シティ」はもちろん CITI BANK のこと。
これまた大きそうな球場。


ウォーミングアップやフィールドの整備の間、スタジアムいっぱいに音楽が流れる。
Maroon 5「This Love」の後に、Daniel Boone「Beautiful Sunday」
30年以上離れてるじゃん。無節操というか、かなりありえない組み合わせ。
でも、ま、いっかと思ってしまう。そういう懐メロばっかり。


座って待っていると、腕章をして手にカメラを持った
きれいな女の子から「Are you members of club ?」と聞かれる。
ファンクラブの会員ですか?
違うと答えたら残念そうに去っていく。
アジア系の二人連れが目にとまって、
会報に載せるための写真とかそういうのだったんだろうな。


座席の案内係は髭をはやした50なりかけぐらいの気のいいおっさんで、
チケット片手に席の場所を聞くとそこまで連れて行って、持ってた紙で座席を拭く。
係っつうよりはファン代表がボランティアで働いているような感じ。
試合が始まると誰よりも熱心に眺める。
プレイについて周りの観客が意見を求めると片眉を上げて厳かに物々しく口を開く。
こういうおっさんというか係が各ブロックごとに1人いた。
それぞれの人がそれなりに球場の名物っぽい。


名物で言うと、売り子たちもそう。
日本みたいに学生のバイトじゃない。その道十何年で食ってるかのような。
すごい人はスナック菓子の袋を、遠くの座席まで絶妙なコントロールで放り投げていた。


開始時間は20時と遅い。
なんでこんなに遅いのだろう?
たぶんナイトゲームにしたいからか。
この時期のニューヨークは21時にならないと暗くならない。
18時や19時試合を始めてしまうといつまでたっても暗くならない。
しまらない。デーゲームと一緒。ってことか。


20時が近付いて、「Handheld Fan Night」という文字がスクリーンに映し出され、
一塁側、三塁側ファールゾーンにずらりと並んだ、
ユニフォームを着たメッツ・ファンが一人ずつ紹介される。
ファン感謝デーみたいなもんか。
その後で外野のラインに子供たちがまた一人ずつ並ぶ。
始球式(子供と有名人?と2回あった)。
そして国歌斉唱。歌ったのは Sal Viviano 誰なのだろう?
調べてみたら・・・
よくわからず。ブロードウェイ関係の役者みたいだけど。
オフィシャルサイトは工事中。
http://www.salviviano.com/


歌い終えて、ファンたちが退場。試合が始まる。


・・・実際の試合は、↓ メッツ 6 - 1 ドジャース
http://mlb.yahoo.co.jp/score/?gid=2008060215


ラッキーなことにドジャースの先発は黒田。
日本人メジャーリーガーの試合を見ることができた。
だけど3回に捕まってホームラン2本打たれて6失点、マウンドを降りる。
いいところ何もなかった。


僕らの座った席は3塁側だというのにドジャース側かというとそんなことはなく、
筋金入りのメッツ・ファンばかり。
周りは皆、常連なのか遅れて入ってくると「やあやあ」なんて手を叩きあったり、
「今夜の調子はどうだい?」みたいな話をしている。
そんな感じで前後左右、ファン同士の会話が緩やかにされてて。
こりゃビジターのドジャースは勝てるわけないよね。味方いないんだから。
ドジャースのユニフォームを着たファンって、・・・いただろうか?
球場のスクリーンを使った応援も、ファンファーレが鳴るのも、メッツ相手にだけ。
いい場面になると「Make Some Noise」って出て、歓声と拍手もろもろを促し、
さらにチャンスが続くと「Make Noise」っつって大騒ぎ。
ホームランなんて入ろうものならお祭りですよ。
僕らも立ち上がって見ていたら「おまえらもメッツ・ファンか」って思われて
ハイタッチすることになった。


応援はサッカー見たく「オーレーオレオレオレー」も歌われたし、
スタジアムのスピーカーからは「We Will Rock You」も流れた。
個人の応援では手作りの応援ボードを持って通路を歩き、
アピールする中学生や高校生の姿が見られた。
ものすごくかわいい女子高生2人組が「ESPN」(スポーツ専門のケーブルテレビ)
を頭文字とした応援メッセージのボードを持って歩いてて、
あちこちのおっさんから冷やかされてた。
なんでこんなかわいい女の子がメジャーリーグのファンなのだろう?
日本じゃ考えられない。


打者が一巡するまでは、スクリーンで選手のトピックが1人ずつ紹介された。
「今年5月にデビューしたばかり」「リーグトップの出塁率で・・・」
スタジアムの観客を飽きさせないような工夫があちこちにあった。
(その後は普通に写真と名前になった)
テレビで見るのと違ってスタジアムで見てると
どうしても淡々としたものになってしまうからねえ。
各イニング攻撃が終わると趣向を凝らしたイベントが行われる。
テレビ中継だとCMになっている時間。
・球場に来ている今日が誕生日のメッツ・ファンを紹介。
・本日の野球用語解説。
・ダンスコンテスト。共に素人の、ノリノリのおっさんと恥ずかしがってるお姉さんとが
 ステージに上がってどっちがいいか投票するという。
 そりゃもちろんお姉さんに決まってますよね。
カップルや夫婦にカメラが向けられ、
 スクリーンに映し出されたらキスしなきゃいけないというコーナー。
 これ、定番らしくてみんな普通になれてる感じでチュッとキスをする。
 自分たちが映ってることに気付かなくて周りから指摘されて、
 慌ててキスしたり。ほほえましい。
・このバリエーションで、カメラを向けられた小さな子供がスマイルするというのもあった。


そして7回表の攻撃が終わったら、恒例の「私を野球に連れてって」が歌われる。
いやーこれを生で見ることができてよかった。今回の旅行の収穫の1つ。
Sal Viviano がもう1度登場して、最初に「God Bless America」を歌って、
次に「私を野球に連れてって
これ、全員起立してみんな歌ってた。ほんとに。
全員が全員ってわけじゃないけど、歌う気のある人は誰でも。大合唱になった。
家族4人で来てたユダヤ人(黒い帽子をかぶっていた)たちはこれを歌い終えて、夜も遅いからと帰った。
まるでこの歌を歌って野球に敬意を表するのがマナーとして当たり前、
何事も始まらず、終わることもないかのように。
(このユダヤ人親子もまた常連で、周りのごく普通の、
 ビールをゴクゴク飲んでる常連たちともにこやかに談笑していた。
 地元の野球チームのファンというものは人種も民族も超えるんだねえ)


7回の裏が終わって、僕らは球場を後にする。この時点で22時半近く。
?号線に乗って GCT まで戻って、23:20の New Heaven Line に乗れたとしても
着いたら午前0時を回っている。
僕はいいとしても、同期は明日会社だ。
同じことを考えている人は多いみたいで、球場から駅まで人々が列を成していた。
それにしても9回の裏まで見てる人ってどうやって帰るのだろう?
そりゃ地下鉄は走ってるだろうけど。スタジアムの近くに住んでいるのか。
そもそも、次の日仕事じゃないの?


Rye で下りて、母に絵葉書を出したいということで無理言って郵便局へ。
朝、絵葉書は書いたものの切手を買う機会がなく、1日中持ち歩いてて投函できなかった。
夜も郵便局そのものは開いていて、自動販売機で切手を買うことができる。
タッチパネルでエアメールを日本宛で、と選択していく。
$0.94 となる。100円もしない。安い。
プリントアウトされたシールを貼って投函する。


次の日の朝、同期と一緒に New Heaven Line に乗って GCT へ向かうことにした。
朝は切符買ってる余裕ないかもしれないと駅で切符も買っておいた。
家に帰りついたのは0時半過ぎか。


お互いすぐ寝ればいいのに、同期がお茶漬け食べようと言い出して、
おなか空いてない僕は食べなかったけどお茶は飲んで、奥さんも降りてきて
そこからまたあれこれ話し始めた。
結局寝たの2時近く。
明日仕事だと言うのに・・・


そういえばバッターが打席に立つとき、それぞれテーマ曲が流れるんだけど、
Joe Jackson 「Steppin' Out」が流れた選手がいた。いいね。
ニューヨークをテーマにした名盤の表題曲。
シングルになって全米トップ10に入った。