事業創出タスクフォース その1

事業部で「新事業創出タスクフォース」ってのが始まって、
選ばれたというか自ら手を上げたというか行きがかり上そうなったというか
とにかくそのメンバーになった。


SIer として、受注開発べったりだとこの先明るい未来はないんじゃないか?
人月単価で勝負されたら安いところなんていくらでも出てくる、というか、ある。
大規模PJならまだしも、規模の小さいPJなら既にして価格で負けている。
よほどの付加価値や顧客との深い付き合いがない限り取れない。
新しい事業ドメインを見つけて、広げて、
新規事業を立ち上げるぐらいのことしないとダメなんじゃないの?と。


あんまりモノを知らない僕はビジネス用語なりIT業界の用語でうまく説明できないが、
前から同じようなことを考えていた。全然別な角度から。
現場にいると「新規開発か保守開発か」ってとこに区分けされるけど、
僕からするとつまらないのはどっちも一緒。
お客さんの「これ作ってほしい」の言いなり。
「言いなり」は言い過ぎか。こちらでコントロールして導いていくこともある。確かに。
でもそれもやはりお客さんの手の平の上でのこと。
予算とか関係各部署の要望だとかあれこれあって
「なんでこんなもの欲しがるんだろう?」「こうしたらいいのに」
そんなモヤモヤ感がどこかしらに必ず付きまとったまま、
「ま、結局僕らゼネコンだからな」と割り切ってそのシステムを作り上げていく。


受注開発、お客さんありきになると、
「どこをターゲットとするか?」「どこにそのシステムの価値を求めるか?」
ってのがお客さんの中での尺度で全て決まってしまっているので、
つまり、お客さんの中の事業計画で方向性が定まっているので、
こちらが口を挟む余地はない。
よほど上流でコンサルとして入っているのでない限り。
僕らはそれを落とし込んで形にするだけ。
結果、スケジュールとコストとリスクと品質と、その辺モロモロを管理するだけの人たちとなる。
価値創造的な要素は入り込まない。
ほんとは探せばあるのかもしれないけど、
往々にしてタイトなスケジュールになってそれらこなすだけで精一杯となる。


つまらん、と思った。
この先、どうしてもIT業界に居続けなくてはならないのなら、
そういう「言いなりの仕事」から脱却したいと思った。
クリエイティブなことをしたい、生み出すものの価値は自分たちで決めたい、
どこの誰をターゲットにして何を市場に投入するのか、自分たちでしのぎを削ってみたい。


結局それも計画書に基づいて物事が進んでいくのだから
スケジュールとコストとリスクと品質と、その辺モロモロを管理することには変わらなくなる。
だけど、「お客さんの都合」でがらっと何かが変わって
おかしなことになるってことは少なくともないだろう。
というか「お客さんの都合」ってやつを
物事がうまくいかない理由になすりつけることは一切できなくなって、
全てを自分たちで解決していかなくてはならなくなる。全てが自分たちに撥ね返ってくる。
1度ぐらいはそういう緊張感の中で仕事をしてみたい。


というか、これぐらいのことをしなかったら、僕の中で「モノをつくってる」気がしない。
システムをつくるじゃないんですよ。それはただのアウトプットに過ぎない。
本当につくるべきは新しい価値、価値観なんですよ。


でも、今の僕がいきなりそういうことできるわけがないので、
「新事業創出タスクフォース」に入って、計12回のワークショップに参加している。
ゆくゆくは事業計画書を書いて事業部長の前でプレゼンすることになる。
そこまでうまくいくかどうか。途中でふるい落とされるか分からない。というかふるい落とされそう。
これまでダラダラと過ごしてきて、知識ベースの低い僕からしたらとてもハードルが高い。
正直とても怖い。
だけどぼやいていても仕方ないんで、やるしかない。
ここでちゃんとやらなかったら、
僕は一生、しがないアプリ保守担当でスケジュールとコストと品質の管理、
障害対応で夜間呼び出しの携帯が鳴るってところで終わってしまいそうだ。
そんなの嫌だ。金もらっても嫌だ。

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1回目のワークショップが終わって、次の事前課題もまた作業量が多い。
前回の課題は会社、部門、自分の3つのレイヤーで
興味のあることや経験としてあることをキーワードとして抜き出すというものだった。
今回の課題はさらにそれを掘り下げて、ハンパない量のトピックを自分の中から搾り出して
5つの事業テーマを見つけてマッピングするというもの。
作業量が多過ぎて、なおかつ底の浅い自分が早くも露呈して、辛い。


でも、やるしかない。