「漂流教室」

土曜の夜、楳図かずおの「漂流教室」愛蔵版全3巻を一気に読んだ。
ボーナスが出た日に買いに行った。
読み終えて、泣いた。ボロボロと涙が出てきた。
すごいよ、これ。すごいよ。
どうして僕はこれを読まずにここまで生きてきたのだろう。


母と子の物語として、泣ける。切ない。切なすぎる。
土曜の昼、外出して帰ってきたら留守電が入っていた。
母からだろうと思って再生してみたらやはり母からだった。
どうでもいいことが用件として残されていた。
電話した。2ヵ月ぶりに話した。
「元気でやってるか」とか「仕事は忙しい?」とか「東京は暑いでしょう」とか
そういうどうってことない話をした後で、夜、「漂流教室」を読んだ。
読んだ人なら、分かるでしょう?
僕が何を言いたいか。
泣かずには、いられないよ。


途中から子供たちがさ、どこ行くときも肌身離さずランドセル背負うんだよ。
そして殺しあうんだよ。エゴむき出しになってさ。
こいつら殺しても僕は生き残ってやるっていう。
話が荒唐無稽だとか、ご都合主義者だとか、
冷静になって考えればおかしなとこばっかりなんだけど、
そんなこたぁどうでもいい。
それどころじゃないんだよ。
作者の言いたいこと、伝えたいことがこれでもかこれでもかと詰め込まれていて
全コマが息詰まる展開で、僕の首根っこグイグイ引っ張って
地面に蹴落として砂漠に押し付ける。
僕にはその砂の一粒一粒の不快な感触がはっきりと感じ取れた。
主人公たちの絶え間ない渇きを、絶望を、そして最後にたった一つ残された希望を、
僕は共有した。
僕もまた、そこにいた。


70年代の「漂流教室
80年代の「AKIRA
90年代の「ザ・ワールド・イズ・マイン
読まずに死ねるかっていう。


それにしても、人類の末裔たちの変わり果てた姿が切ない。