「JUNO」

昨日の続き。
インディ・ジョーンズ」を見終わって、次は「JUNO」へ。
駅の反対側へと向かう。渋谷は大勢の若者たちばかり。
晴れ。日差しが強い。30℃を過ぎて、歩いているだけで汗だくになる。
どっかのパチンコ屋の前でちんどん屋が演奏していた。


この辺かなあってとこまで行ってみるが見つからず。
宮益坂を上って青山の方に行ってみたり、渋谷署の方まで行ってみるが
シネマCQNらしき看板はどこにもない。
携帯でネットに接続して探してみようとして
google で「シネマCQN」って打ち込んでも出てこない。
携帯サイトを普段全く見ないので
世の中の仕組みがどうなっているのか、よくわからない・・・
場所がどこなのか住所か地図をみたいだけなのに、
知りたくもないブログばかりがヒットする。
再度書店に飛び込んで「ぴあ」をめくる。今度は住所をきちんと頭に刻み込む。
渋谷署まで来ていたのは全然反対方面だった。かなり歩いて、ようやく見つかる。
お洒落なビルの中にあった。知らなかった。宮下公園の近く。
こっち側ってほとんど来たことがない。


で、「JUNO」ですが。
4ヶ月、3週と2日」を年の初めに早々と見てしまったその後、
これが今年最も見たかった作品だった。
アメリカのごく普通の町のごく普通の高校生の女の子が思いがけず妊娠、
日々をあれこれと思い悩み過ごしながら、無事出産、養子に出すまでを描いた、
ハートウォーミングでウィットに富んだ今風のコメディ。
一介の低予算のインディペンデント映画が
アカデミー作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞にノミネートされ、脚本賞を獲得。
この脚本を書いたディアブロ・コディはブログが注目されて、「JUNO」が初めて書いた脚本、
これから先の仕事としてスピルバーグの企画で脚本を、という稀に見るシンデレラ・ストーリー。
ストリッパーだった頃の回顧録もベストセラーになったんだそうな。
高校生の会話、思考回路をリアルに切り取った会話が素晴らしい。
監督は「サンキュー・スモーキング」の俊英、ジェイソン・ライトマン
この作品で一躍脚光を浴びて、
「ゴースト・バスターズ」の監督アイヴァン・ライトマンの息子
という紹介は今後不要になるんだろうな。


で、再度「JUNO」ですが。


いい映画だった!!


もうなんかよくわかんないけど、
始まった途端ウルウルしだして、エンディングはボロボロと涙が出た。
思いっきり泣いてしまって、
場内明るくなって周りの人に「あの人泣いてた」と気付かれないように
エンドクレジットの流れる間、必死になって涙を拭った。
悲しい話ではない。むしろ、終始楽観的でつつがなくハッピーエンド。
だけどこの「JUNO」って、とても小さな、ささやかなんだけど魔法がかかっていて、
それが最初から最後まで途切れることがなく続いて、それだけで僕は幸せな気分になることができた。
映画の神様が無条件にこの作品を愛してくれて、それがこの僕にもささやかながらも伝わってきたという。
主人公「JUNO」役の、キュートでシニカルで、
だけど極々普通の女の子を演じきったエレン・ペイジを始めとして
出てくる人はみな活き活きとしていて、
それぞれが人間として映画の中の世界を生きていて、その中にこの僕も浸ることができた。
見てる映画と一体化する稀有な瞬間があった。
監督と脚本とキャストがそれぞれの旬な時期を出し合って
普通ありえないようなケミストリーを生み出した、そんな言い方しか今の僕にはできない。
この映画に対して、あれこれこの僕が言うことは無い。
予告編を見てちょっとでも気になった人は、絶対見たほうがいいです。
なんかね、映画がありえないぐらいキラキラしてるんですよ。


4ヶ月、3週と2日」というモンスターが無かったら、
迷うことなくこの映画が今年のNo.1になっていたな。
個人的には「ノー・カントリー」よりも断然好き。
僕がアカデミーの会員だったら、「JUNO」に1票入れた。


思いがけず妊娠してしまったり、大変なことばかり。
だけどどんな世の中だろうと、そこには明るい未来が開けていて、
ほんのちょっとぐらいなら、日々の暮らしの中でも十分に幸福な気持ちになることができる。
結局は映画の中のことだけかもしれないけど、
それをさらっと描いてラストシーンとして切り取って見せた。
心に残る素晴らしい瞬間だった。
(流れている曲も良かったしね)


ジェイソン・ライトマンについて補足。
プログラムを見たら、いいことが書かれていたので引用します。

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JUNO/ジュノ』を監督したジェイソン・ライトマン監督は、
ゴーストバスターズ』シリーズで知られるコメディ映画の名手、
アイヴァン・ライトマン監督の長男だ。
生後11日で父が製作する『アニマル・ハウス』の撮影現場に
連れて行かれたというから、監督になることを約束されたようなものである。
ただ、おバカな娯楽作を得意とする父は、賞レースとはあまり縁がない。
息子が前作『サンキュー・スモーキング』でアカデミー賞脚色部門での
ノミネートを逃したとに、いちばん残念がったのが、父だったという。
そして、今年。アカデミー賞のノミネート発表で、
監督本人も予想外だった監督部門に選ばれた時、
すぐに父が泣きながら電話してきたという。
「僕は父と素晴らしい関係を築いています。
 父は人生の多くを教えてくれました。
 僕は父のような人生を目指しています」

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ジェイソン・ライトマンはまだ30歳(!)の若さ。
今、若手される、例えばポール・トーマス・アンダーソントッド・ヘインズなんかと比較すると
芸術的毒気が全く無くて一見ジミなんだけど、
ここから先、常に目が離せない「気になる監督」の第一線に躍り出たように思う。


ラストシーンで流れる曲のオリジナルを歌った、The Moldy Peaches というグループが気になる。
「JUNO」ではその中心人物だったキミヤ・ドーソンによる
インディ・フォークな曲が数多くフィーチャーされている。
なお、主人公の2人はギターを弾くことができて、演奏しーンが出てくる。
エンド・クレジットを見てるとギターのコーチの名前として、ジェイソン・フォークナーの名前があった。