サマソニ 2008 (3/5) Band of Horses / 髭[HiGE]

汗だくのまま Dance Stageを出て、Sonic Stage へ移動。
次に見るのは Band of Horses というアメリカのインディー系バンド。
ステージの上には6人。
ギターが3人で、ベース、ドラム、キーボード。
ボーカルはギターを弾きつつ、曲によってはハーモニカやスライド・ギターも披露。
ハイトーンで伸びやかな声でスケールの大きな曲を歌う。
アメリカン・ギターロックの王道、その最新系がこのバンドなのだろう。
思い浮かぶのは Neil Yound や The band といったところ。
フォーク、カントリー、ブルース、スワンプ。
そういったのを演奏していた70年代のバンドを今に連れてきて、轟音で演奏させているような。
なので、途中のパンク、ニューウェーヴオルタナは通らない。そういう音。
かといって時代遅れではなくて。むしろ、新しさを感じた。
メンバーは髭を生やしていたり、恐らくみな30代なのだろう。ちっとも若くはない。
紆余曲折や、演奏が認められないといった辛いことも多々あっただろう。
そういう人たちでなければ鳴らせない音がそこにあった。
それぞれの音楽的変遷を経ていまここに至るという大河の流れ。
「俺たちは今が一番いい音を出してんだぜ」ってのがそのまま音の「新しさ」につながっていく。
幸福なバンド。昨年出たアルバムがあちこちで絶賛されたのも当然だと思う。


Band of Horses って名前がそもそもいい。音を完璧に表している。
目を閉じて聞いていると、嵐の荒野を駆け抜ける馬の群れが思い浮かぶ。
このバンドを見て、初めてサマソニという夏フェスが僕の中で始まった。
僕は聞いているうちに自然と体が揺らぎ、首を振っていた。
汗も乾いて、清々しい気持ちになった。


Island Stage にまた戻って、今度は髭[HiGE]を見る。
千葉マリンスタジアムの脇でカキ氷を売っていて食べる。
練乳入りのカキ氷。トッピングにアルコールがあって、カシスを足す。


Island Stage はなかなか人が入っていた。女の子ばかり。
これまでと打って変わって客席の密度が低く、背も低い。見やすい。
1曲目が始まってもみなおとなしくて、こりゃいい感じで見れるなあと思っていたら。
・・・2曲目ではじけたのをやりだした途端、ギューッと前にみな押し寄せる。
で、飛び跳ねまくって。それが最後まで続いた。
初めて見た。前から気になっていた。なるほど、こういうバンドだったのか。
イメージどおりだったけど、やっぱそうか、という。
ボーカルの須藤寿はじめ、キャラは立っててユニークなんだけど、
なんか頭一つ抜けない、抜け切れないというところが逆に魅力になってるという。
例えば、ミスチルスピッツのようになるには大事な何かがごっそり欠けてる。
逆にそこがファンに愛される。
これってそのまま足かせになってくんだろうな。
ひょうひょうとしていてちょっとばかし唯我独尊というスタンスは
よくもダメにもならない。変化しようがない。
ハイテンションになってぶちぎれるか、緩やかにフェードアウトするか。
難しいよね。
須藤寿が曲のところどころで叫んでアジテーションをする。
ドラムのメンバーが曲によっては拡声器を持って叫ぶ。
そういうの全部、僕には良くも悪くも中途半端に感じられた。


とはいえ、最後の曲はよかった。「ステージの神様に感謝しろ」って
ギタースタンドを振り回して打ち下ろして、「ステージを耕すんだ!」みたいなことを叫んでた。
で、ボーカルの須藤寿はドラムに乗って。サイケデリックな展開を迎える。
ライブハウスだとこれがもっと過剰なことになって、分けのわかんないことになっていたのかも。


果たしてこの日のライブは本調子だったのか?
たぶん、破綻はしてないけどやりきれてもいない、そんなところだったのではないか?
見終わった後、ファンの女の子が友達に「ほんとはもっとすごいんだよ!」と語ってた。


最後に。長身のギターの人が気になった。
塾の講師、趣味は囲碁という風貌でありながら、サイケなロックバンドのギタリスト。
曲が終わったらギターを交換したんだけど、見たら全く同じギター。
で、ローディーがネックを拭いていた。汗をかいたのか。すぐ脇で拭かせてる。
そういうこだわりって初めて見た。