青森帰省 その2

昨日の晩はずっと「アメリカン・ベスト・ミステリ」をずっと読み続けて22時に寝た。
4時に目を覚ましてトイレに行って、8時に起こされた。


朝食を終えた頃、叔父が現れる。
車に乗せてもらって、先日亡くなった叔母の墓参りに行くことになっている。
昨日買ったエビスビールを1缶。
酒を飲まない母がどこで手に入れたのか、大五郎の巨大なペットボトル2本に水を入れて
(「水飲み場から汲んで持っていくのがめんどくさいでしょ」)
車に積んで三内霊園へと向かう。


新城方面に抜ける。
かつて田んぼだったところに新幹線用の高架ができている。
着々と工事が進んでいる。


霊園の中へ。
ロータリーの前に花屋が集まっていて、そのうちの1つで墓に供える切花を買う。
お墓3つ分。
花を入れていた容器がそのまま、墓参り用の水の籠になっていて、柄杓もついていた。


この日もまた、暑い。青空。陽射しが強い。
幼稚園の運動会が行われていた。
この近くの大きな幼稚園なのか、
揃いのジャージとTシャツを着た学校出立てぐらいの若い保母さんが何人もいて、
遊戯や競技のフォローであちこち走り回っていた。
テントの下に赤や白の帽子をかぶった園児たちが座っている。
元気な子はじっとしてられなくて、はしゃいだり隣の子にちょっかいを出したりしていた。
おじいちゃん・おばあちゃんが参加する競技に続いて、年長の園児たちによる鼓笛隊の披露。
運動会の進行のアナウンスが大きな音で鳴り響く。
母と叔父と3人で墓を見つけて、花を供え、ろうそくに火をつけ、それで線香を燃やして、・・・
その間運動会の模様が全て背後に聞こえてくる。
すぐ隣の区画には喪服を着た人たちが集まっていて、つい最近亡くなられたのだろう。


墓に水をかけて、母が持ってきた数珠を受け取って手を合わせる。
叔母が好きだったビールをコップに注いでそれぞれの墓の前に置く。
それを僕が全部飲む。500の缶の残りも。
帰りにまた運動会の側を通り過ぎる。
BGM として Perfume の「ポリリズム」が流れる。


霊園の近くに健康食品や健康器具を売る店が新しくオープンして、花輪が何本も立っていて、
白いYシャツを着てニコニコ笑っている男性がお年寄りたちを出迎える。
車の中からそんな光景を見かける。
空き店舗になったところを借り受けてこの手の商売を始める。
今に始まったことではないけど、青森市内のあちこちで見かける。


本来の予定では新町に出て3人で食事ということになっていたんだけど、
時間は10時、早すぎるということで叔父はそのまま帰ることになった。
僕は上古川で下ろしてもらって、母は家まで。


上古川から歩いて弧線橋を渡って新町へ。
いつもの床屋で髪を切る。
待っている間、「稲中」を読む。
テレビでは枝豆の話をしていた。
枝豆と大豆って作物としては同じなんですね。
大豆が熟す前のまだ若い時期が枝豆。
みなさん知ってましたか?


その後、夜店通りで何軒か店を覗く。
昔隣にアメリカ屋があった辺りの高めの店でイタリア製のスリムな黒っぽいシャツを買う。
もう1軒、Hysteric Glamour を扱っている店で Iggy Pop をあしらった長袖のTシャツを買う。
ここ何年かで生き残っているのはこの2軒とあといくつか。


そういえば昔、夜店通りに短ランとかボンタンを売っていた店があったけど
今はもうなくなっている。
つい最近のことではなく、もう何年も前になくなっているのだろう。
最近の高校生はそういうの着ることはないのだろうか?
僕もその店で1度だけ買った。


以前、freitag のサイトを見ていたら青森市にも扱っている店があることを知って
確かあれは善知鳥神社の周りだったよなあと行ってみる。
シャッター街と成れ果てた新町の通りを下っていく。
この辺りだろうか?と思う辺りを歩くが、見つからず。
そもそもこの界隈は場末の飲み屋街、
常連だけで成り立ってるような小さなスナックの赤や青の看板が立ち並ぶ。
本当にこんなところにあるのだろうか?
何かの間違いだったのか、店を閉めてしまったのか。


成田本店で見かけたコニー・ウィリスの短編集「最後のウィネベーゴ」が読みたくなり、買う。
帰りのバスの中で読む。
最初の短篇「女王様でも」がたまらなく秀逸だった。読み終えて思わず膝を叩くぐらいの。
さすが名手。ウィットがききまくった文章にスパイシーなアイデア、鮮やかなオチ。
巻末の解説を読んだら、ヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞とSFの主要な賞を総なめしていた。
こんなのそうそうないよね。恐るべき作品。


昼過ぎに帰ってきて、コニー・ウィリスの続きを読む。
特に空腹ではなかったので、昼食は食べない。


夕方、銭湯へ。
地方の寂れた銭湯で普段は近所のお年よりばかりなのに
今日は若い父親がまだ小さい子供たちを連れてきていた。


夜、マグロやホタテの刺身。
全国ネットの料理番組に吉幾三が出ていた。
この人も年を取ったなあと思った。


昨日の夜、食べているときに見たニュースで
青森市のプラモデル職人が紹介されていた。
全国でも数えるぐらいしかいない、自作のプラモデルの製作で食べているというプロ。
その人は37歳、軍艦を専門としている。
元は建築事務所に勤めていたということで精密な図面を引き、
市販の部品を元に3〜4週間で大きな軍艦を仕上げる。
ネットで販売していて、来年の春まで予約でいっぱいなのだという。