Queen Adreena 来日公演

昨日の夜、渋谷の CLUB QUATRO に Queen Adreena のライブを見に行った。


Official Site
 http://www.queenadreena.net/


□今年春の来日時のインタビュー
 http://gekirock.com/interview/2008/03/queenadreena.php
 http://www.hmv.co.jp/news/article/803100098


一言で言うならば、ノイジーでグラマラスなゴスロリパンク?
フロアはそれっぽい人たちばかり。
ラメが入ったり、鋲を打ってたり、全身にピアスの穴開けてそうな。


キュートでセクシーで蓮っ葉な女性ヴォーカルが囁き、叫ぶ。
「叫ぶ」じゃ物足りないね。「咆哮」の方が近い。黄泉の国からの。
ガラスの破片の上を泣きながら転げ回るような。
何よりも伝わってくるのは、なぜ私はロックシンガーとして歌うのか?という業の深さ。
歌うことに出会わなかったら、きっと若くして人生を投げ捨てていただろうな・・・
ドラッグに沈みこんで。
内側から心と体を突き破ろうとするものがあって、制御不能になって。蝕まれて。


場末のキャバレーで歌うロンドン一の高級娼婦。
あるいは、月の裏側から現われたケミカルな夜の女王。
唇を真っ赤に塗って、安っぽい髪飾りを差して。
衣装は薄紫色のビニール袋?スーパーの。それだけを巻きつけて。
真っ白なショーツにハイヒール。
マイクのコードを全身に絡ませて歌う。
余りにもきつく絡んだのか、それとも掻き毟ったのか、
最後の方になると白い腹にミミズ腫れのように赤い傷が何本も残っていた。
生で見るケイティはやはりすごかった。


ベースを務める妹メラニーもまた輪をかけて蓮っ葉で。
ピンクに髪を染めてて。
姉に似て痩せっぽちの体は80年代のプロモーションビデオから抜け出てきたかのよう。
Til' Tuesday 時代の Aimee Mann がさらにふてぶてしくなったような感じ。
普段から言葉数少なくて、口を開いても「OK」と「NO」しか言わなそう。
激しい曲では拳を叩きつけるようなピッキング
スローな曲ではヴァイオリンの弓で弾いたりもした。


白いスーツを着崩したクリスピアンも
腕っ節は弱いけど喧嘩は強そうでかっこよかった。
剃刀のような、高圧電流ギター。


ドラムは何度もスネアを交換してて、機材的に調子悪かったようだ。


「The Butcher & The Butterfly」の「Suck」や「Medicine Jar」をやったのが
個人的には嬉しかった。「In Red」なんかもやってたな。
会社帰りでスーツ。上着を脱いで、ネクタイを外して、コインロッカーの中へ。
いつもの自分ならもっと前で見るのに、
壁際に空いている場所を見つけるとずっとそこにいた。
激しい音に身を委ねることができなかったことだけが心残り。


ケイティの独唱で始まって、本編の終わりもアンコールの終わりも、
ケイティの独唱ってのが美しかった。
アンコールの1曲目はメラニーアコースティックギターに持ち替えて演奏した。

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前身バンドに当たる Daisy Chainsaw の登場は衝撃的だった。
ボロボロのワンピースを着て、花束を握り締めて歌うケイティの写真。
ブロンドの髪は鳥の巣のようにほつれていて。
泥だらけの野生児。
見るからに危険だった。


残念ながら当時は来日公演を見ることができず。


期待してた割には、アルバムはそれほどよくなかった。
バンド全体として、つたなかった。
「Pink Flower」とか、いい曲もいくつかあったけど。


Queen Adreena を初めて聴いたとき、「これだよ!」と思った。
上記の写真を見たときに頭の中で広がった音がそのまま鳴ってた。

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話変わって。


Manic Street Preachers のリッチーが1995年に失踪して、依然行方不明。
インドで目撃されたとかいう話もあったけど。
昨日イギリスの裁判所が死亡宣告を出した、と Yahoo ! のニュースで見かけた。


「2枚組のグレイトなアルバムを作って全世界でNo.1を取ってやる」
という捨て身のビッグ・マウスがかっこよかったよなあ。
あれが1992年。
Daisy Chainsaw のデビューもその年なんですよね。
Suedeもでしょ?
あの頃のイギリスのロックは光り輝いていたなあ・・・

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追記。


病んでいるがゆえに美しいものがあるのだということ。
それに魅せられ続けるのが、ロックなのだということ。