ISIS編集学校 第20期「守」折り返し地点

ISIS編集学校の第20期「守」のコースの受講が始まってから
早くも1ヶ月半が経過しようとしている。
http://es.isis.ne.jp/


編集稽古として週に2つか3つお題目が出題され、回答を返すと師範代が指南してくれる。
場合によっては再回答が何回か続く。
2月上旬までに稽古は38番行われることになっていて、今は第19番。
ちょうど折り返し地点となった。
最初は頭の体操レベルでフィーリングで回答できたのに
段階が進んでいくとどんどん難しくなっていって、
毎回少しずつ展開される編集の「型」や「作法」
(例えば、情報を整理するにあたっての三位一体型であるとか)をきちんと踏まえて
手探りながらも「型」に則った思考をしてみないことには回答できなくなってきた。
日々、四苦八苦。でも、楽しい。


専用のWEBサイトとメールをベースにやり取りを交わす。
教室には僕を含めて全国に住む11人の学衆(生徒)がいて、
稽古を離れた内容のこともチョコチョコと会話をする。
稽古以外にも手を変え品を変え、様々な「遊び」があって、飽きさせない。
こんな面白い「学校」が世の中にあるのなら、もっと早く出会っていればよかった。
会社の仕事以外は、この教室が中心となっている毎日。
他の人の発言を読んで夜更かししたり、朝晩の電車の中で回答をブラッシュアップしたり。


編集学校と言っても、狭い意味の編集、雑誌や書籍の編集者を養成するものではない。
情報の整理と伝達の仕方、物事の捉え方・考え方、
つまち総合的な「知」の技法としての、広い意味での編集を学ぶ場所。
なので、一生使える。身につけたら、一生、向き合っていくことになる。
直接的な目的としては、僕の場合小説を書くのがうまくなりたかっただけなんですけど。


校長は松岡正剛。千夜千冊の。
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya.html
学生時代から言葉、記号、コミュニケーション、物語といった物事に
興味を持ち続けていた僕としては出会うべくして出会ったというか。
昨年、会社の先輩になんかの拍子に
「編集工学って聞いたことある?松岡正剛に興味ある?」って聞かれて
どっかで聞いたことあるなあと興味を持ち、
今年の春たまたま書店で「物語編集力」という本を見つけて読んだ。これがきっかけとなる。
http://www.amazon.co.jp/dp/4478003866/


編集学校の課題として、学衆たちが書いた掌編の歴代の傑作を集めたもの。
「エイリアン」「ドラえもん」「寅さん」「スター・ウォーズ」など
有名な物語の「型」(世界観や人物造型など)を読み取って自分のものとし、
その型に沿って自ら新しい物語を書いてみる。
小説を書く、そのスキルを学ぶというのは学校に通って得られるものなのか?
どこぞのカルチャースクールに通ったところで文章はうまくなっても、小説は書けないんじゃないか?
1人で書き続ける以外にない。
・・・だけど、いつかどこかで、誰かに何かを学びたい。
ずっとそう思っていた僕は「これだ!」と思った。


(しかし、こういうスキルは「編集」の中でもほんの切れ端なのだということを、
 入門した僕は身をもって知ることになる。「編集」は広い。この世界と同じぐらい、広い)


編集学校は初級コースの「守」、中級コースの「破」、上級コースの「離」という構成になっている。
その他にも師範・師範代養成のための「花伝書」などいくつかのコースがある。
会社に、前期19期の「守」を卒門して、今は次の「破」に通っている人がいることを知る。
「今度飲みましょう」ってことで昨日の夜飲んだんだけど、
その第19期の彼女が通った教室の師範・師範代・生徒が集まって、小さなオフ会のようになった。
(編集学校では平安後期の宴会にちなんで「汁講」と呼ぶ)


稽古のこと、教室のこと、その裏話的なこと、あれこれ話せて、楽しかった。
共通の興味・好奇心を持った人たちの集まりなのだから、話が弾む。
初めて会う人たちばっかりだったのに、普段人みしりの僕もすっと中に入っていけた。


ああ、僕はこれから先このネットワークに入っていくのだな、と思った。
高校や大学の同級生のネットワーク、映画サークルのネットワーク、
会社で出会った人たちネットワーク、というか人間関係の輪、つながり。
30を過ぎてこれまで新しいネットワークに加わることはなかったのが、
ここにきて新しい結びつきの中に身を投じることになりそうだ。


「これだ!」と思うものに接することができて、日々が今、本当に楽しい。
学ぶということはいくつになったところで、面白いものである。