「愛と追憶の日々」

11月の土曜は毎回出社。誰もいない場所で黙々と仕事して帰ってくる。
夜は必ず、DVDで映画を見た。
普通のときに普通に見るよりも、映画が心に沁みた。
日曜も見るから、これで10何本と見たことになるなあ。


見たい映画を見る。見たい映画を買う。廉価版のDVDで。
そんなわけで自然と70年代・80年代のアメリカ映画ばっかりになる。
「ダーティーハリー」とかさ。今更ながら、とても面白かったなあ。
クリント・イーストウッドって今のアメリカで最も優れた俳優にして、監督だ。
現時点で生きている映画人の中では最も、「アメリカ映画の父」にふさわしい。


先日書いた、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の「家宝」以外に心揺さぶられたのは
愛と追憶の日々」これはやられた。


1983年のアカデミー賞を受賞している。その年の主要な賞をことごとくさらっていった。
作品賞、監督賞(ジェームズ・L・ブルックス)、脚色賞、
主演女優賞(シャーリー・マクレーン)、助演男優賞ジャック・ニコルソン)と5個。
立派な成果だけど、良くも悪くもアメリカ的な
お涙頂戴の大味なホームドラマという印象がどっかにあって、
これまで見てみようという気にならなかった。
いや、結局のところそうなんだけど。でもね、よかったですよ。
いい映画を見たときって始まった瞬間から背中がゾクゾクするんだけど、
愛と追憶の日々」にはそれがあったんですよね。震えたなあ。
最後には、やはり泣いてしまった。


会えば喧嘩ばかりなのに、お互いに長電話しあったり。
まるで姉妹のような、シャーリー・マクレーンの母とデブラ・ウィンガーの娘、30年の物語。
子供が生まれて、大きくなって、夫婦は互いに不倫をして。
そんな日々がコメディ・タッチに描かれる。
母にちょっかいを出す、キザだけどどっかネジのゆるんだ元宇宙飛行士がジャック・ニコルソン
他にも芝居巧者が集まって、一部の隙もない、瑞々しくてたおやかなドラマが演じられる。
アカデミー賞では主演女優賞がシャーリー・マクレーンデブラ・ウィンガーの一騎打ちとなり、
 助演男優賞ジャック・ニコルソンジョン・リスゴーが争った)


なんと言っても、デブラ・ウィンガー
これまで意識して見たことなかったけど、こんな素晴らしい女優だったとは。
デブラ・ウィンガーが主役として一番輝いていた頃の映画だというだけで
「愛と青春の旅立ち」も見てみたくなった。
ロザンナ・アークウェットが初めて監督したドキュメンタリー
デブラ・ウィンガーを探して」を思い出した。
80年代を代表するスター女優の1人だったのに、90年代に入って突如として映画界から姿を消す。
いったい何が起きたのか?
デブラ・ウィンガーは人生に何を求めたのか?
ユニークなドキュメンタリーだったな。


ジャック・ニコルソンは言わずもがな。
この人のハズレって見たことがない。