相対性理論「ハイファイ新書」

一昨日、相対性理論の「シフォン主義」を初めて聞いて「これはすごい!」と打ちのめされ、
以来、寝ても覚めても頭の中では「LOVEずっきゅん」が吹き荒れまくり。
これはもうすぐ聞かなきゃと昨日の夕方、HMVに2枚目の「ハイファイ新書」を買いに行く。
オリコンのウィークリーチャートで7位だって、今。バカ売れ。


で、昼まで寝てて今、起きて、さっそく聞いてみた。


うまくなっていた。残念なことに。
ミドルチューンばっかりで、どれも同じ曲に聞こえる。
普通のバンドになっちゃったなあ・・・
「シフォン主義」にあった、
この世界に対する生まれたての異物感と呼ぶべきものがごっそり抜け落ちた。
どの曲を聴いても、「これ、前、どっかできいたことあるよなあ」と。
ヴォーカルの女の子の声も、単なるロリータ・ヴォイス。
それ以上の表情を見せない。


どうしてここまで急速に「硬直した進化」を遂げてしまったのだろう?
「ハイファイ新書」が2009年1月の発売だとして、「シフォン主義」が2008年5月の発売。
たった半年でここまで?
いや、ナタリーを見たら「シフォン主義」を自主制作したのは2006年11月とあった。
何かで見かけたんだけど、これって結成2ヶ月目の音源なのだという。
ああ、そういう奇跡的な瞬間だったのか・・・


歌詞が、つまらなくなった。
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「テレ東」


伝えたい言葉は I LOVE YOU
口をついて出る I WANT YOU
愛の言葉は I LOVE YOU
君に届けたい I NEED YOU


「ふしぎデカルト


あなたが霊でも わたしはいいんだよ
あなたが霊なら なおさらいいんだよ
わたしが霊でも あなたはいいんでしょ?
わたしが霊なら あなたはどうする?


「四角革命」


四角カクカク革命前夜の 長いあいあい間のロマンス
近いカイカイ開戦前夜に やってくるくる車の行列
兎角カクカク革命前夜は 街のにぎわい恋のロマネスク
奇怪カイカイ開戦前夜は 迫りくるくる狂った結末


「品川ナンバー」


愛してルンルン 恋してルーレット
恋してるんだ 愛してるよ
愛してルンルン 恋してルージュ
越してるんだ 愛のメッセージ


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世間一般的に歌詞はこういうふうに書かれているのをなんとなく学習しました、みたいな。
ミニマルな演奏に、ミニマルな繰り返しの歌詞。
相対性理論というパッケージの純度は高くなったけど、結局それって普通。
記号的な匿名性を狙ったんだろうか?
だとしたら残念だよね。「シフォン主義」の魅力って、
世の中の安易な記号化をすり抜ける野生的なスリル感にゾクゾク来てたのに。
Contrex ハコ買い Contrex ハコハコハコ買い」みたいな突拍子の無さに代表されるような。
そういう無軌道・無鉄砲さって、メンバーにしてみれば恥ずかしかったのだろうか?


歌詞カードを見たら詩も曲もベースの男の人が全て書いていたことが分かった。
もしかしたら2枚目はこの人が書いて、
1枚目はヴォーカルの子が書いていた、そんなことってないんだろうか?
そう思って「シフォン主義」の歌詞カードをよく見てみたら、
「シフォン主義」の方もこの男の人が全て書いていた。なーんだ・・・
うーん。相対性理論はこの人の箱庭ポップに過ぎないのか。


・・・と、ここまで書いておきながら
「ハイファイ新書」も聞くのこれで今日3回目。なんだかんだ言いながら聞いている。
最終曲の「バーモント・キッス」の冒頭の歌詞、これだけはすごくいい。
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わたしもうやめた 世界征服やめた
今日のごはん 考えるのでせいいっぱい
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やっぱ病み付きになりそう。
なんなんだろう、これ。
一見野暮ったい、坂本龍一80年代風の上物のコーティングが
聞いてるうちになぜかしっくり来る。
やっぱ確信犯は確信犯のままか。
判断は、保留。


おまけ。「LOVEずっきゅん」のPVらしきもの。
http://jp.youtube.com/watch?v=sFDCCP5KOZY

ハイファイ新書

ハイファイ新書