スロウライダー「クロウズ」

土曜、和歌山出張から帰ってきて、荷物を置いて新宿へ。
スロウライダーの解散公演「クロウズ」を見に行く。
http://www.slowrider.net/


解散しちゃうんですね。遂に。
突然そのことを聞いて、「あ、そうなのか」と。
なんかちょっと感慨深かった。
旗揚げから8年。「え?そんなに長かったの?」と驚く。
3作目の「ホームラン」から見始めて、それ以来全部見てる。
途中迷ったり、吹っ切れたり、出てる人が入れ替わったり、
劇団の変遷していく姿を見守ることができて、興味深かった。


「クロウズ」は最終作にして、ここ何作かにあった迷いのようなものがなくなって
いい意味で整理されて洗練されて、分かりやすかった。
頭1つ抜け出る糸口が見えたというか。
それだけに残念に思う。


近未来のとある島が舞台。病原体が蔓延してて、感染したらゾンビになる。
県庁の職員がハンターを連れて、駆除にやってくる。
ゾンビとは言ってもそんなまがまがしいものではなくて、
手足がギクシャクしつつも結構普通の「人」たち。
その辺の打算的で移り気な人間たちよりもよっぽど人間らしい。
防腐剤を打つことで、延「命」することが可能。
あるいは、生きている人間の肉を食べるか。
ゾンビたちは発作的に人間を襲いたくなるが、
人間たちと共存していくためのイメージアップ向上のために堪えている。
そんな中、主人公の青年はゾンビに噛まれ、自分もゾンビとなってしまい・・・


テーマがすっきりはっきりしててよかった。
生きるとはどういうことなのか、どうあるべきなのか。
じゃあ死ぬって?
生と死の間に、中途半端な中間段階を与えられて、ゾンビたちは途方にくれる。
そんなゾンビたちのことを、生者たちは決して理解しようとしない。


脚本がうまくなったなあと思った。
言葉遊びやレトリック、ストーリー展開のレイヤーの話じゃなくて。
なんつうか普遍的な物事を描き出したっていうか。
主催の山中君の今後がとても気になる。


それにしても何で解散なんだろ。
・・・ま、いろいろあったんだろうな。団体が長いこと続いていれば。
団体を維持していくことそのものが目的になってしまい、
疲れたかつまらなくなったのかもしれない。
自分たちの演劇が、
スロウライダーという箱に収まるように作られていくようになったとか、そういうこと。
そしてその枠組みが小さく感じられるようになった。
たぶん、そういうことなのだろう。


それとは別に、長年見てるので、下衆な勘繰りはあれこれあるけど。
1つ言うなら、このところ何作か劇場は新宿のシアタートップスで、
そこから先大きな劇場に移ることはなかったし、
同じ規模の別な劇場に移ることもなかった。
結局、なんらかの膠着状態にあったんだろうな。


スロウライダーの作品を3つ選べとなったら、
「ホームラン」「西瓜糖の日々」そして今回の「クロウズ」


話変わって、金持ちのパパの娘役の人が
これまでのスロウライダーとからしたらかなりの異彩を放っていて、
いや、なんつうか、かわいいわけですよ。普通に。しかもなかなかうまい。
初期の頃は男しか出てこなくて、
5・6作目にして女性キャストが初めて登場して驚いたっていう。
で、話戻ってこの子はどこかの小さな劇団の女優なのだろうか?
いまどきの劇団にはこういうかわいい子がいるのか?
と思って調べてみたら、テレビに出てるほうの女優だった。
http://ameblo.jp/ayako-omura/

    • -

日曜は、会社出て仕事した後、コタニさんの出演する芝居を見に行った。
TINY ALICEにて、「dub valentine〜だれも興味のない ひげのおっさんの頭の中」っていうやつ。
「ジャパン・エンターティンメント・アカデミー第一回舞台公演」となってて、
なんかそういう新しい養成所の発表会のようだ。


バレンタインとミュージカルをテーマにした4話のオムニバス。
脚本にばらつきがあって、面白かったのとそうじゃないのとあった。
脚本は1人の人が担当してたけど、恐らく、この養成所に脚本家コースがあって、
そこから4本集めたのではないかと勝手に推測する。違ってたらすみません。
だって、笑いのテイストとレベルがまったく食い違ってるんだもん。


これ、ラッツ&スターの所属していた音楽事務所にて立ち上げたということで、
その縁であの桑野信義が特別出演。結局、桑マンが一番うまかった。
最後の舞台挨拶が一番面白かった。芝居のネタよりも。


何人か、いい感じの役者(というか研究生)がいたね。
2話に出てきた3人はどれもよく、あと、4話目の革ジャンの人。