「X51.ORG THE ODYSSEY」

佐藤健寿著「X51.ORG THE ODYSSEY」
http://www.amazon.co.jp/dp/4860620593


好きを通り越して尊敬するサイトって人にはあるもんで、
僕の場合、x51.org が、そう。
最近ほとんど更新されてないみたいなんだけど、
世界の超常現象に関するニュースをスタイリッシュに伝えてて、かっこいい。
ときどき、しょうもないのが紛れ込んでるのもまた、いい。
例えば、こんなの。日付の新しいヘッドラインから。
テヘラン山岳部で化石化したノアの箱船を発見か イラン」
NASAに侵入した英国のハッカー、米政府のUFO隠蔽工作を主張」
「666 - 06年06月06日出産予定の妊婦の間に不安広がる 英」
「タクシー運転手がコンピューター専門家と間違われて生放送に出演
  → 何となく音楽ダウンロードの未来を語る」


amazon の紹介を見たら、
 「トータル2億5000万アクセス、1日30万アクセス以上」とあった。
 2004年には Blog of the Yeah! を獲得)


その主催者佐藤健寿氏が
X51.ORG THE ODYSSEY」という本を出していたことを知って即入手したのが昨年か。
帯に、「荒俣広絶賛!!」とある。
ずっと読む機会がなくて、先週の出張の新幹線でようやく開く。
そこから先、余りの面白さに一気に読んでしまった。
たまらなかった。
開けちゃいけない扉、というかどこでもドアを開いた。


この手の話、小学校の頃大好きだった。
唯一の関心事と言ってもいいかもしれない。
UFOとか四次元とか古代文明とか。
そんなのばっかり読んでいた。
大きな声では言えないが、「ムー」も買っていた。
今はほとんど興味がない。
わざわざ時間を割いて情報を集めようとはしない。
でも、異星人は宇宙の果てのどこかには存在するんだと思うし、
科学では理屈のつかない超常現象ってやっぱ起こりえるはずで。
大人になってこういう僕みたいな曖昧なスタンスになった人って多いのでは。


で、佐藤健寿氏もたぶん、そういう人で。
熱狂的に信じて擁護してるわけではなく、
こういうの面白くない?なんかくすぐるよねってさらっと提示してるだけ。


本もまた、そんな感じ。
誰もが知ってる有名なミステリースポットを自ら訪ねてみた旅行記
2003年のネバダ州、エリア51と2006年のニューメキシコ州ロズウェル
前者はUFOの残骸・宇宙人の市街を保管しているとされ、後者はUFO墜落事件があったとされる。
2004年にはナチの残党がUFOの開発を行っていたと噂の真相を探るため、
パタゴニア地方、アルゼンチンとチリの境目の町へ。
2005年にはシャンバラ(シャングリラ)とイエティを求めて、ヒマラヤ山脈へ。
これら、有名な場所でありながら行ったことある人ってほとんどいないですよね。
それをわざわざ、興味があるから行ってみるというのが何気にすごい。


結果どうだったかと言うと、例えばエリア51なんかがそうだけど、
入り口まで来て、立ち入り禁止となっていて、厳重に警備されていて、
一介の日本人旅行者にはどうすることもできないまま、
そこから先に進みようがなくて旅があっさり終わるという。
追い求めたものに近づいたような遠ざかったような、微妙な印象を残す。


そこのところがリアル。
対象との距離の取り方が、極めて現代的。
冷めてるんだけど熱くて、熱いんだけど冷めてて。
ブロガー世代、バックパッカー世代の等身大の旅行記となっていて、それがいい。
雪山でイエティに出会うことはもちろんなくて、
観光客向けのイエティの頭の皮を
「これが子どもの頃写真で見た、例のあれか」と眺めるという。


会いに行かなければわからないもの、
自分の目で見なきゃわからないものってのがこの世にはたくさんあって、
いてもたってもいられなくなって、地球の裏側まで旅して、見たまんまを文章に綴る。
目的としたものに直接出会えなかったとしても、それでも「何か」には出会えたはずであって。
だからこそ、これだけの分厚い、写真の多く入った美しい本が出来上がったわけであって。
僕がやりたかったけどできなかったことを実現しているようでいて、
僕はやはり、x51.orgというサイトを、佐藤健寿氏を、尊敬する。


本は旅する間に起きたあれこれのエピソードも載せていて、そういう小ネタも面白い。
シャム双生児や象皮病の標本を集めたタイの博物館の話や、
映画「ターミナル」でトム・ハンクスが演じた、
帰る国を無くして空港に住み続ける男のモデルになったイラン人の話とか。
もちろん、随所にて超常現象に関する博識ぶりも披露される。


なお、サイトそのものはグロテスク、というかゲテモノ的な内容も多いので、
そういうの苦手な人は絶対見ちゃいけないです。要注意。
http://x51.org/

X51.ORG THE ODYSSEY

X51.ORG THE ODYSSEY