この前の水曜、仕事が暇になったので休みを取ることにした。
銀座のシャンテ・シネに映画を見に行った。
ここもまた、TOHOシネマズと変わっていた。
見たのは今年のアカデミー賞シリーズ第一弾ってことで
「フロスト×ニクソン」
http://frost-nixon.jp/
ウォーターゲート事件で失脚したニクソン元大統領に
デヴィッド・フロストというテレビ番組の司会者がインタビューを行う。
リチャード・ニクソンが過ちを認めるのか、どうか。
盗聴器を取り付けたことは、捜査を妨害したことは、大統領だったら許される?
そんなわけないだろう。アメリカ国民の多くが釈然としない気持ちを抱えていた。
結果、ニュース番組としては過去最高の視聴率を獲得することになるわけで。
例えて言うならば言葉のボクシング。
伝説のチャンピオン・ニクソンに大して挑戦者フロストはどう挑む?
その舞台裏も合わせて描き出す。巨額な金も動くんですね。
朝7時に目が覚めて、編集学校にAT賞っていうコンテストがあって、
その文章の練り直しに頭を悩ませた後だったので、頭がすっかり「編集」モード。
なので見ててもそのシーンにおいて
何を情報としてクローズアップさせるのか、
何をカットするのか、そんなところに目が行ってしまう。
皆まで言わなくていいものは、絶対皆まで言わない。
何か1つのその場面を代表するものだけで語りきる。
これが鉄則。
話の運びがうまいところに差し掛かると、ムムーと心の中で唸る。
さすがロン・ハワード。熟練の巧さ。
インタビュー番組を素材にして2時間の映画って言ったら相当地味そうじゃないですか。
それがちゃんとメリハリあってエンターテイメントになってるんだから、エライ。
アカデミー主演男優賞にもノミネートされた
リチャード・ニクソン役のフランク・ランジェラの演技がなかなかいい。
単なる「元大統領」「国民を欺いた腹黒い人」ってだけじゃなくて、
何よりもまずアメリカの大統領にまで上り詰めるだけの度量を持った、
清濁合わせ呑む大人物として演じきったってのがいい。
しかも1人の悩める人間としての側面もきちんと漂わせている。
当たり前のことだけど、人間って複雑なものである。
それを佇まいや身のこなし、セリフの運び、その1つ1つで嘘のないようにする。
単なる物まねじゃなくて、フランク・ランジェラ=リチャード・ニクソンがそこにいた。
ニクソンが自らの罪を認めて、1人の人間として深い絶望の淵に下りた、あの無言の表情。
テレビ史上でも有名な場面(だと思う)、あれは素晴らしかった。
フランク・ランジェラよりもよかったというのだから、
「ミルク」のショーン・ペンはどんなによかったというのだろう?
見たくてたまらなくなった。
映画そのものは十分面白かったけど、ところどころあと一歩なポイントもあった。
映画に花を添えるために登場するフロストのガールフレンドってのが、
出ずっぱりだけど、話の本筋からしたら何の重要な役割を担ってないとか。
最後のインタビュー・バトルも盛り上げた割には若干あっさりしてるとか。
ちょっと惜しいね。
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水曜だったので、レディースデイ。
初回はおばさんばかり。
社会派で特に大スターが出てるわけではないので、驚いた。
(ケヴィン・ベーコンぐらい?相変わらずよかったけど)
なんで女性だけ割引の日があるんだろう?と訝しく思ったんだけど、
よくよく考えてみたら、男性だけ割引の日を作ったところで
平日に来れるのはお年寄りと学生だけ。
マスとして見に来てほしい20代から50代は普通、会社で働いている。
レディースデイだと、40代・50代の主婦層を取り込める。
主婦仲間が連れ立って映画を見に行くのではないか。
ってことかな。
会社サボって映画を見に行くサラリーマンのための割引制度も作ってほしい。
サボんなくても、19時台・21時台は見れるわけだしさ。