理論が、全てではない。

こんなことを考える。


お客さんには論理的な人もいれば感覚的な人もいる。


つまり、精緻な数字を集めて一覧表にしたものでないと見向きもしない人もいれば、
印象だけで全てを決めてしまう人もいる。


感覚的な人に対していくら論理的に説明したところで、
本質的な部分で噛み合うことがない。


なのに、お互い、そのことにずっと気付かないですれ違い続ける。
そんで、「あの人とは合わんわ」ただ、それだけ。
僕は社会人になってずっと、その場面ばかり見てきたように思う。


感覚的な人に対処するにはどうしたらいいか?
例えばの話、イメージ、シンボル、メタファーというもの。
使いこなせる人はかなり少ない。
文系の戯言だと思う人も多いのではないか。


僕が属するIT業界ならばなおさら。
論理的に考え、話す訓練は継続してなんらかなされるが、
後者の訓練は皆無と言っていい。


「通じない?もっと論理的に説明しなきゃ」
と考える人だっているだろう。
ああ、これって状況に対するメタファーとかシンボルとして言ってんだな。
ってとき、字義通りに捉えてしまって、最悪なことに、答えを数字で返そうとする。
噛み合うわけがない。


理系の脳がいけない、と言いたいのではない。
逆に、文系だけでもダメ。
理系でもなく文系でもなく。
ビジネスで成功するためにコミュニケーションがどうこうと言ってる
安っぽいノウハウ本が世の中に多すぎる割に、
そもそもの言葉というもの、言葉から生み出されるものを操る能力が余りにも軽んじられている。
そんな気がしてならない。
このことを考えるとき、僕は悲しい気持ちになる。


文法というものがある以上、言語は論理的だと言う人もいるだろうけどさ、
そういうことじゃなくて。
割り切れない、不定形な物を認めるかどうかなんだよね。


いいかげん、とか、思いつき、というのではない、
本当の意味での「感覚的」が必要とされる時代が、すぐにも来ると思う。


結局ね、僕らの仕事は総合的なものなんだよな。
ハードウェアやプログラミングを知っていればそれだけでよいのではない。
プロジェクト・マネジメントを知っていればそれだけでよいのではない。
システムにも接するし、人にも接する。
バランスいい人って、なかなかいない。
もちろん僕も、バランスが悪い。


なんにせよ論理的な論理だけではなく、
感覚的な論理、論理的な感覚とでも呼ぶべきものが、
これからのIT業界のヒューマンスキルとして求められるのではないか。