セガールなど

先日、同僚と映画の話をしていたときに
B級映画の代表って何だ?って議論になって、
ティーブン・セガールの「沈黙」シリーズじゃないか、ってことになった。
わざわざ映画館で見たいとは思わないし、DVDを借りるのすらめんどくさい。
だけど、深夜に吹替えやってたらなんとなく見ちゃう。そんなイメージ。


でも、大事なポイントはそこにあるのではなく。
それだったら世の中の多くの映画が該当する。
ティーブン・セガールのB級っぽさって何よりも日本語ペラペラってとこにあるんだよな。
そこが妙に胡散臭い。
映画スターが流暢に日本語喋ってたりするとなんだかとんでもなくがっかりする。
ものすごくぎこちなく、今、スタッフからカンペを渡されましたって感じで
「コニチワ」と言われる方が嬉しい。


日本語ペラペラだと何でかっこ悪いんだろう?と思って記憶を探っていくと、
そうだ、「世界まるごとHOWマッチ」だと行き当たる。
あれに出てたチャック・ウィルソンケント・デリカットのイメージ。
いや、この2人がかっこ悪いってわけじゃないけど。
なんつうかコミカルで。ミスマッチで。
日本語ペラペラ = コミカルな人たちという図式が頭の中に刷り込まれている。


で、そんなコミカルな人が大真面目にアクションをやってるってのがおかしい。
ああ、この人、この映画では寡黙な役を演じてるんだけど、日本語ペラペラなんだよなあ、
アリナミンAのコマーシャル出てたよなあなんてついつい思ってしまう。
(しかもスティーブン・セガールの場合、なんか無駄に格闘技が強いってのが
 さらに輪をかけて胡散臭さを増している)

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神保町で働いていると、大から小まで様々な本屋に出会う。
裏通りには取次ぎの店もいくつか見つかる。
小さな、家族でやってるような取次ぎばかり。


不況だからなのか、昔からなのか、ビニールの紐で一括りにされたエロ本の山ばかり。
童顔の女の子がありえないスタイルでありえないポーズを取っているようなアニメ系のとか。
そんなのが軒先に、妄想のバリエーションの数だけ、並んでいる。


それが倉庫兼事務所の奥に目をやると、エロとは何の関係もなさそうな、
ジャンパーを着た事務員らしき初老の男性が
掃除のおばちゃんらしき女性と黙ってお茶を飲んでたりするんですね。
年季の入ったスチール机の上には電卓と伝票と黒い手提げのカバンが置かれていたりして。
余りにも枯れた佇まい。昭和のまま、時間が止まっている。
他にもいくつかそんな取次ぎの店があって、
最近の僕はこういう光景にこそ「神保町らしさ」を感じる。


エロ本だろうがなんだろうが、彼らにしてみれば日々仕入れては消えていく、
わずかばかりの稼ぎにしかならない「商品」「物件」に過ぎないんだろうなあ。
エロも空しい。
いや、だからこそ、ギラギラしてる。
安っぽい欲望が山積みになって、その辺に放置されている。
その上に括り付けられた、手書きの伝票。
表紙に描かれた女の子が、笑っている。