「マン・オン・ワイヤー」

昨日の夜、編集学校は突破。
再回答がしばらく続くとはいえ、久々に暇な土日となる。
となるとまずは映画を見に行きたくなるもので。
新宿高島屋テアトルタイムズスクエアにて「マン・オン・ワイヤー」
今年最も見たかった映画のうちの1つ。
ニューヨークの今はなき世界貿易センタービルのツインタワーで綱渡りをした
伝説の大道芸人フィリップ・プティの、その歴史的な挑戦に至るまでのドキュメンタリー。
今年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を獲得。
http://www.espace-sarou.co.jp/manonwire/


独学で綱渡りを体得。
パリのノートルダム寺院シドニーのハーバー・ブリッジと無許可でゲリラ綱渡りを演じる。
そして1974年、長年の夢だった世界貿易センタービルへ・・・
若くて無鉄砲な仲間たちと共に、
どうやって忍び込む?
どうやってツインタワーに綱を渡す?
様々な苦労を乗り越えて決行当日へと至る。
「史上、最も美しい犯罪」とあったけど、確かにそうだろう。


ドキュメンタリーってことになってるけど、素材となるオリジナルの映像は余り残ってなくて、
フィリップ・プティを初めとする当時の仲間たちの回想と、再現映像を中心に構成する。
再現映像は若い頃のプティそっくりな主人公が実際に大道芸や綱渡りを演じてみせて、
いつのまにか映画だということを忘れて、これは実際の記録映像なのだと思ってしまう。


ツインタワーに張ったケーブルを渡っていくフィリップ・プティの姿は確かに、気高くて美しい。
残念ながら映像は残っていなくて、地面からのアングル、屋上からのアングル、
いくつかの写真を組み合わせて形作っていく。
だけどそれだけでも、十分手に汗握る雰囲気が伝わってくる。
第一歩を踏み出そうとするプティ、綱の上に寝そべるプティ、
通報を受けて上ってきた警官たちを背後にして綱の上に立つプティ。
全部で45分、8往復。
人類のなしえた挑戦としては最高峰の出来事の1つ。
そのあらゆる瞬間が特別なものだったことを知るには、写真の方がふさわしかったかもしれない。
静止した光と影、その一瞬に焼き付けられた、孤高の緊張感。


綱渡り、というのがいいんだと思う。
このご時勢、CGを駆使したら爆破にカーチェイス、どんなアクション映画も実現できる。
でも、どんなに技術が発展しても合成できないアクションってものがあるんだよね。
綱渡りをCGやアニメで描いたら、なんと興ざめなことか。
生身の人間が、身一つでその空間に立ち向かうことに魅力があるんであって。
しかも綱渡りって、バランスを取るための長い棒を持って、
細い綱の上を「歩く」という姿がとても神秘的。
綱の上で自転車に乗るとかいろんなアクロバットが世の中にはあるもんだけど、
最も崇高な綱渡りはやはり、ただ単純に「歩く」だけのものだと僕は思う。


テアトルタイムズスクエアは、映画のキャンペーンなのか、
先週の土日と今週の土日と整理番号でクジをやってた。
フィリップ・プティのサイン入りポスターやTシャツが当たるという。
残念ながら僕ははずれ。


当日の綱渡りの模様は、YouTubeの↓で雰囲気が分かるかも。
http://www.youtube.com/watch?v=6ddpV1GvF7E