スペイン一人旅 その4(7/24:美女が口を開けて眠る)

okmrtyhk2009-08-03


時間が来て、乗り込む。
搭乗券は切り取られず、二次元バーコードを当てるだけ。
帰りのフライトでは搭乗券ではなく、
プリントアウトした書面の二次元バーコードをピッと当てている人もいた。
本格的に e-ticket の時代になるんだなあと思った。


ルフトハンザは機体も機内も濃紺とチーズのような黄色でデザインが統一されていて、かっこいい。
でもエコノミークラスは各座席にモニターがないとか、前時代的。
ゲームができないし、音楽や映像のチャンネルも選べない。
ANA主体のコード・シェアリングだったらそういう機体だったかも。


早速食事となる。
ビールを頼んだら、もちろんドイツビール。「Warsteiner」これは嬉しい。
コンチネンタル航空みたいにアルコール有料とはならず、気前よく飲ましてくれる。
小壜で2本飲んで、その後は白ワイン。
メニューはチキンを頼んだら、
鶏肉のピカタ(ミラノ風)、ラタトゥイユ、トマトソース、スパゲティ。
あとはかっぱ巻きに果物(キウイ、ブドウなど)。
韓国に行ったときには機内食にキムチが出たのだから、
ドイツの航空会社だったらソーセージとじゃがいもがいいなあと個人的には思う。


ハバロフスクからシベリア上空を進んでいく。
本を読んで、ところどころ寝て過ごす。
「川は静かに流れ」が止められなくて、一気に読み通す。
ミステリーとしてどうこうというよりはこの小説、物語としての雰囲気のよさにあるのだと思う。
その後「プラナリア」へ。モラトリアムな女性たちを主人公とした連作の短編集。
表題作が神がかり的に素晴らしい。短編小説のお手本のよう。


3人掛けの席の真ん中となる。
右隣は恐らく大学教授で、フライトの間ずっと英語の論文に赤入れをしていた。
ドイツの学会で発表といったところだろうか。


左隣はモデルのように美しい女性。長身で白いパーカーを着て、胸元にサングラス。
時々爪を噛む。ソフィア・コッポラの映画に出てきそう。
最初のうちはiPodで音楽を聴きながら携帯で誰かにメールを送ってて、
チラッと見えた待ち受けの画像には友人たちと、アメリカかヨーロッパの大学の卒業式。
黒のガウンを着て学帽をかぶっている。
その後読み始めたのが「Vivi」で、日本語ペラペラなのか?と驚く。
それが何かの弾みで見えたパスポートが日本のもので、ということはハーフなのか。
驚く。全然日本人には見えない。うーん。何をして暮らしている人なのだろう。
まあそれはさておき、このきれいな人がフライトの間中ずっと寝てるんですね。
人間どうしたらここまで豪快に寝続けられるのだろうと感心するぐらい。
飛行機慣れしてるんだろうなあ。単なる長時間の移動手段でしかない。
時々目を覚まして、また眠る。窓に枕を当てて寝てみたり、姿勢を変える。
そのうちに僕に寄りかかるようになる。澄んだ甘い匂いがした。
寝相によっては口が開いてたり。
モデルのようにきれいな人が口を開けて寝ている姿を見るのって
生涯これが最初で最後かもな、と思う。
デジカメでこっそり撮ろうかな、これって犯罪に当たるんだろうかと真剣に悩む。


フランクフルト到着。
携帯の電源入れっぱなしにしていたら、DoCoMoからメールが届く。
海外での利用に当たって、みたいな内容。
試しに mixi に接続してみたら海外利用設定がなされていないとエラーが出て、設定をする。
そしたら普通に mixi が見れて、メールのやり取りもできるようになった。いくつかメールが届いた。
今、乗換えでフランクフルトにいますと返信する。
(この後、旅行中、会社に写真を送ったりで一日に2・3通のメールのやりとりをしていたんだけど、
 これってかなり割高なパケット代になるんだろうな・・・)


飛行機を降りて、入国審査があるかと思いきや何もなくて素通り。
乗り換えの掲示に従って歩いていたら、Passport Control があった。
入国と出国を一緒に兼ねるということなのだろう。便利。アメリカも見習ってほしい。
係官は僕を見て「コニチハ」と言って、パスポートを返す際には「アリガト」と言った。
僕も同じように「コニチハ」「アリガト」と返す。


国際空港なので世界的に有名なブランドの店ばかり。
Hugo Boss, Swarovski, TUMI といった並び。
小さな広場に、ピカピカ磨かれた水色の車が置かれていた。
ベンツのロゴマークが入っていた。


ドイツの空港はやはりどことなくなんとなく
ドイツ的イメージそのままの雰囲気が漂っていた。
機能的なデザインの追及というか。
すれ違う男性みな、ガタイがいいように感じられた。
スネアドラムが叩かれたらその場で行進を始めそう。


CAMELの提供する喫煙ブースが並んでいる一角があった。
利用者はそれほどいなかった。
ヨーロッパってほんと喫煙者が少ないみたいね。
その後マドリードでもバルセロナでもでも吸ってる人全く見た記憶なし。


フランクフルト空港の絵葉書を買う。0.95ユーロ。
(しかし残念なことに日本に帰ってきて、これが見つからない)


マドリード行きに乗る。
成田−フランクフルト間はジャンボジェットだったけど、
今度の機体は一回り小さくなる。通路を挟んで左右に3人掛け。
乗客は半分ぐらいだろうか。空席が目立つ。機内アナウンスがあって、何人かが席を移動する。
1つ空席を挟んで僕の隣に座った女性は40過ぎなのだろうか、
胸元の開いたとても派手な格好をしていて、髪は赤紫に染めていて、
大きくて真っ白な犬のぬいぐるみを抱えていた。
何に使うのだろう、お土産なのだろうかと思っていたらそのぬいぐるみを枕にして眠った。
スペイン語で何か僕に話しかけてきて、通じないと分かると残念そうにする。
しかし、頼まれて僕は機内食のペットボトルの蓋を開けたりする。


機内食が出て、ここでもドイツビールを飲む。
スパゲティを揚げたものなのか、じゃがいもなのか、
トマトソースのかかった不思議な食べ物が出た。


機体は何度も乱高下する。
なんとなく、アバウトな操縦のように感じられる。
滑走路に着陸した瞬間、陽気なラテン系の人たちが拍手をする。


ヨーロッパの携帯の着信音としてたぶんデフォルトで設定されている
「テレレーレ テレレーレ レー」というやつ、
あれがスパニッシュ・ギターで演奏されているのを耳にして、
ああ、僕はスペインに来たのだなと思う。


飛行機から降りて、腕時計を現地時間に合わせる。
麻薬捜査犬を連れた係員が歩いている。


入国審査はなし。地球の歩き方を見てみると、
シェンゲン協定実施国」間での移動に当たっては、入国審査は行わないとのこと。
いきなりふらっと出口へ。
パスポートにスペインのスタンプが押されないことになって、ちょっと残念。