スペイン一人旅 その7(7/25:歴史の勉強が足らない)

okmrtyhk2009-08-06


7/25(土)


何度か目を覚まし、7時前に起きて地下のカフェに下りて朝食。ビュッフェ。
ごくありきたりな内容。
ゴツゴツしたソーセージと塩辛いベーコン。トロトロのスクランブル・エッグ。
丸パンとオレンジジュース。コーヒー。


ロビーにインターネットのできるPCが置いてあったので利用する。15分で3.5ユーロ。結構高い。
フロントの横に、公衆電話利用のためのプリペイドカードを売っている部屋があって
インターネットも同様にカードを購入する。
記載されたユーザーIDとパスワードを入力する。
スペイン語のキーボードというのが慣れなくて、
どれが Shiftキーだ?コロンはどこだ?@はどれと一緒に打ったら入力できるんだ?
と試行錯誤しているうちに最初の15分が過ぎてしまう。
Back Space はあっても、Deleteがなかったり。
大文字小文字入り混じったパスワードをすんなり入力できる自信がなくて、
テキストエディタに打ち込んだのを貼り付けようとしたらメモ帳みたいなのがなく、
WORD を立ち上げたらフリーズ。そんな具合。
もう1度カードを買う。
それでやってることはたいしたことなくて、日本で事前に書いておいたブログの更新など。


王宮は9時から開くようなので、8時半に外に出る。
日焼け止めを顔や腕、足の甲など満遍なく塗る。
外は明るいもののまだ肌寒い。


まずは目の前の「Principe Pio」駅で地下鉄の1日乗車券を買う。5.2ユーロ。
サバティーニ庭園が開いていたので、入ってみた。
生垣が迷路のようになっている。
人の姿はほとんどなくて、犬の散歩をしている人や、1人の静かな時間を過ごしにきた人たちなど。


9時になって、王宮へ。隣のサバティーニ庭園との間にある庭を白い馬が歩いていた。
8ユーロ払って中に入る。アルマス広場という四角い石畳の空間が広がっている。とても広い。
王宮は丘の上に立っているようで、広場の端まで行くと、
昨日のモンターニャ公園の丘のようにマドリードの西側が見渡せた。


宮殿の中へ。写真撮影禁止。
地球の歩き方にはこんなふうに説明がなされている。引用します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 フランスのヴェルサイユ宮殿で生まれ育ったブルボン王朝第1代の国王フェリペ5世は、
1734年のクリスマスに消失したハプスブルク王家の宮殿跡に、フランス・イタリア風の王
宮建設を命じる。イタリアの建築家シュバラからサケッティ、サバティーニらに受け継が
れ、1764年に完成した。
 150m四方の建物の中には、2700を数える部屋があり、現在も公式行事に使われている。
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ボキャブラリーというかこの手の知識に貧弱なので何も言えないんだけど、正に王宮。
広間には細密画のような絨毯が敷かれ、
天井のアーチには天使たちが描かれるか、全部ダイヤ?のシャンデリアが吊り下げられているか。
「Hall of Colums」「Throne Room」「Carlos III Drawing Room」「Gala Dining Room」
といった部屋を通っていく。
ゴヤによる肖像画の掛けられた部屋、黄金と思われる玉座の並ぶ部屋。
銀器の納められた部屋にはティーポットに燭台。1m近い巨大な銀の皿。その隣がクリスタルの部屋。
真ん中に地球儀の置かれた部屋。チェンバロの置かれた部屋。ビリヤード台の置かれた部屋。
壁一面に中国的な装飾の施された部屋。
・・・なんか書いててイマイチ。
探していたら、写真を公開しているサイトがあった。これを見たほうが早いです。
http://www.pbase.com/khanh_hwang/palacio_real_de_madrid
こういうところだけは、ガイド付きで見学した方がいいなあと思った。
日本人ツアーが来ていたらこっそりくっついていこうと目論んでいたのに、残念ながら現れなかった。
それにしても、何百年か前に造られて、その頃には王侯貴族がここで実際に生活していたんですよね。
生活というよりも王家としての活動といった方が近いか。
その静かな重み、ある種の怨念のようなものがほんのりと染み付いているようで。
ああ!と思う。ヨーロッパに来るにはやっぱ歴史を勉強してからの方がいい。
漠然と見に来てしまうと一つ一つの価値が分からない。
「きれいなもんだね」「大きいね」で終わってしまう。
プラド美術館もそうなんだけど、
その背後に潜んでいる史実と重ね合わせて見て行かないと面白さが理解できない。


9時半になって、鐘が鳴るのを聞く。
(10時にも鐘が鳴った。そのときにはマヨール広場にいたんだけど、ちゃんと聞こえてきた)


王宮を出て、アルマス広場には「Real Farmarcia」王室の薬局もあった。
壁一杯に白磁の壷が並ぶ。それぞれに札が貼られていて、それぞれ調合されたものが違ったのだろう。
一番奥の部屋は「錬金術の間」だったみたいで、天秤や蒸留器のようなものが飾られていた。


10時近くなって日差しが強くなる。
お土産屋で、お客さんのリクエストだった扇子を買う。18.5ユーロ。


外に出て、昨日歩いたマヨール通りを逆に辿っていって、プエルタ・デル・ソルの地下鉄「Sol」駅へ。
地下鉄1号線に乗って、3つ目の「Atocha」駅へ。
ここにプラド美術館、ティッセン・ボルネミッサ美術館、ソフィア王妃芸術センターと
マドリード3大美術館が集まっている。
まずはプラド美術館へ。


駅を出て、黒人男性に「Excuse me, excuse me, sir」と話しかけられるが、無視する。
たぶん何のいいこともない。


通りを渡って、街路樹が涼しげなプラド通りを北に5分ほど歩く。右側には柵の向こうに植物園。
噴水の側を通って、プラド美術館のベラスケス口から入場。
行列ができていて、窓口の女性2人が何やらもたもたしている。
コンピューターの使い方が分からないとかそんな感じだった。
8ユーロ払って、入場。


□美術館の公式サイト。
http://www.museodelprado.es/


見終わった後で買った小さなガイドブックを見ると、
「はじめに」として美術館の紹介がなされている。引用します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
プラド美術館は、1819年11月19日、王家の絵画コレクションを相続したフェルナンド7世
により開館されました。スペインを統治した歴代の王の多くは、美術品の収集に極めて熱
心で、そのコレクションが美術館の所蔵品の中核をなしています。スペインの国有となっ
た直後の1872年には、宗教画を主とする作品がラ・トリニダード美術館より追加され、さ
らに充実した所蔵を誇るようになりました。(中略)その元々の性質上、当美術館は、絵
画の歴史を詳しく概観していただくことを目的とするような百科事典的な美術館ではあり
ません。むしろ、スペイン王室のセンス、ひいてはスペインの歴史や思想の変遷を大いに
象徴するものです。とりわけ、エル・グレコ、ベラスケス、ゴヤ、ボス、ルーベンス、テ
ィツィアーノといった史上卓越した画家たちの作品を知るためには、必ず訪れるべき美術
館であるといえるでしょう。(後略)
コレクションにおいて最もよく代表されているのは、質的にも量的にも、スペイン絵画で
しょう。次にフランドル絵画およびイタリア画派が続きます。これは、何世紀かにわたる
この国の美的および政治的関心の反映といえます。フランス美術も、特に18世紀、ブルボ
ン王家によるスペイン王位継承後に際立った存在となっています。一方で、コレクション
が形成されていった時代において、スペインとの関係が疎遠となったオランダ、ドイツ、
英国の作品は、そう多くはありません。
収められている絵画の優れた質と、ヨーロッパ美術におけるその歴史的、芸術的卓越性に
より、プラド美術館は世界の最も重要な美術館のひとつとなっています。同時に現代美術
にも大きく貢献してきました。開館以来、それまではほとんど知られていなかったスペイ
ン画派の作品の価値が認められるようになり、たとえば、ベラスケスの芸術は、マネや初
期のフランス印象派に影響を与え、また、エル・グレコに関する知識を有していたからこ
そ、ピカソはその初期作品を生み出すことができたのです。ゴヤも、20世紀における多く
の芸術家にとって、必ず参考にされる画家となりました。(攻略)
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長くなったけど、つまり、
ここは15世紀から19世紀始め頃までのスペイン絵画のコレクションが充実していて、
それが他にはない格調の高さをもたらしてるんですね。
スペインを代表する3巨匠、エル・グレコ、ベラスケス、ゴヤ
この3人を見るならやはりプラド美術館に来ないとってこと。
ボッシュルーベンスピーテル・ブリューゲル(父)はフランドルの画家なので、
スペインだけじゃないよ、というアピールでもある。
確かに、この時代、16世紀から18世紀までの時代にこだわって見るのなら、
全世界的にここプラド美術館が最もよいのかもしれない。
そのエッセンスでムンムンしてる。
その雰囲気のよさ、まとまりのよさは特筆に価するかも。