スペイン一人旅 その12(7/26:リヒター、すれ違いっぱなし)

okmrtyhk2009-08-11


ぐっすり眠る。7時に起きて下で朝食。
スクランブルエッグとソーセージ1本とコーヒーだけにする。


インターネットを15分。
Yahoo!のニュースを見ると、東海地方で大雨。
Wink鈴木早智子がAV出演報道を事実無根と否定。


この日はバルセロナへの移動日。AVEは12:30発。午前中が空く。
まだ7:30という時間。外に出掛ける。
一昨日、マドリード到着日に出掛けたモンターニャ公園にもう一度行ってみようと思う。
サン・ビセンテ坂を歩く。早朝の町は人通りが少ない。
ダイナー的バルのいくつかが近所の人相手に店を開けている。カウンターでコーヒーを飲んでいる。
ほとんどの店は閉じている。
その1つの前で20代後半のカップルが、徹夜明けなのだろうか、座り込んでいる。
通りがかった30代後半の女性がタバコを分けてもらう。


公園前のベンチはゴミがそのままとなっていて、中身の開いた酒瓶が置かれていたりする。
緑色の制服を着た市の清掃局員が一つ一つ片付けていく。
階段を上っていく。芝生のスプリンクラーが作動していて、周りに水を撒いている。
ベンチに寝っ転がっている人は野宿していたのだろうか。厚着をして、荷物がまとめられている。
犬の散歩をする老人、軽快にジョギングをする男性。
他には誰もいない。閑散としている。
公園の外れの方まで歩いていく。早朝のマドリードの町を見下ろす。
静かな、落ち着いた町だと思う。


ホテルに戻ってきて、浴槽にお湯を張ってボケーッと過ごした後、9:30チェックアウト。
現地の旅行会社の方が日本人観光客向けのデスクに座っていたので、バルセロナの闘牛のことを聞く。
日曜なのでやってるはずで、19時か20時頃開始で2時間ぐらい続きますとのこと。
「良いご旅行を」と言われる。


昨日行けなかったプラド美術館の隣の植物園に行ってみようと思う。
リュックサックを背負って、「Principe Pio」駅から隣の「Plaza de Espana」駅へ、
乗り換えて「Sol」駅でさらに乗り換えて、「Atocha」駅へ。10号線→3号線→1号線の順。
地上に出て、プラド通りを渡ろうとすると人だかりができていて、見るとマラソン大会。
ゼッケンをつけたランナーが次々に通過していく。警官が何人か立って誘導していた。
街路樹の並ぶプラド通りを歩く。
日が高くなり始めて、ここでもスプリンクラーが芝生に水を撒いている。
日差しを浴びてキラキラと輝く。


植物園は10時開園で、ちょうど開くところだった。
おじいさんが先に来て待っていて、恐らくここで朝を過ごすのが日課なのだろう。
2ユーロ払って中に入る。
静けさに包み込まれる。すぐ外は道路で車の流れは絶え間ない。
なのに、頭上から鳥の声だとか聞こえてきて。いいなあと思う。
植物は特に見て回らない。
入り口でもらった園内の地図を見たらあれこれ区画に分かれてるみたいなんだけど。


奥にミュージアムみたいなのが建っていたので、行ってみる。
何かやっているようなので、入ってみる。
「Photo Espana 2009」というイベントだった。
スペインに限らず、現代アートとしての写真というフィールドで活躍している人の作品を集めている。
http://www.phe.es/festival/


こちらの会場では、Larry Sultan & Mike Mandel 「Evidence」と
Sara Ramo の2つの作品を展示していた。
僕が入った時点ではまだ準備中だったようで、奥から Windows を起動する音が聞こえてきた。


向かって左側の会場、Larry Sultan と Mike Mandel は共にサンフランシスコ出身。
警察や公共機関での日常風景を撮影するプロジェクトに携わる。
(その作品を集めた題名が「Evidence」)
交通事故を再現しようとしているのか、何らかの人体実験の模様を撮影していたりで、
どことなくシュールな写真の数々。


向かって右側の Sara Ramo はマドリード出身。1975年生まれというから僕と一緒か。
この人は写真というよりは映像系のアート。
その辺の物を利用して、ありえない場所にありえない物を置くなどして、
なんかちょっと変な光景を作り出す。どことなく暗めで静かなポップ。
ある朝目を覚ましたら、いつもの日曜の光景が変わっていた、というような。
写真とビデオが展示されていた。
センスがいいと、何をしても作品になってしまうんだなー。


真ん中の部屋は世界中から集めた山のような写真集を売っていた。
アンリ・カルティエ・ブレッソンに始まり、
ヘルムート・ニュートンアントン・コービン森山大道アラーキー
恐らくスペインの若手写真家のなんだろうなっていう薄手の写真集のシリーズがあって、
いくつか買ってみたくなるんだけど、かい出すとキリがないので我慢する。
替わりに、「Photo Espana 2009」の公式カタログを買う。
小さめのものあったんだけど、大きい方を。30ユーロ。
全部スペイン語だけど、写真さえ眺めてればまあいいかと。


レジ番をしていた若い男性は写真家を志しているのか、
朝イチに飛び込んできた珍しいアジアからの客に話しかけてきた。
マドリードには他にも会場があるってことでそれを説明したかったみたいなんだけど、
ごめん、僕今からバルセロナに発っちゃうんだと。
なんだかお互いに残念な雰囲気になった。


カタログにはゲルハルト・リヒターの名前があって、おっと驚く。
えーだったら見たかった。もっと早く知ってれば・・・
カタログを見たら例によって、
日常生活を切り取った写真にベットリと色鮮やかな絵の具を塗りたくったもの。


そのゲルハルト・リヒター、昨晩ガイドブックを見ていたら
ソフィア王妃芸術センターにも1枚飾ってあるみたいで、「えー見落としてたのか!」と。
ミュージアムを出た時点で10時半。急げば30分ぐらい時間を作れる。
ゲルニカ」をもう1回見て目に焼き付けておきたいということもあり、
再度ソフィア王妃芸術センターへ。
こんなふうに思い立ったらすぐ行動できて、一人で旅行してて良かったと思う。


日曜なのでこの日も無料。リュックサックを預けて中に入る。
ゲルニカ」の前に立って、深呼吸する。細部を隅々まで眺める。
ゲルハルト・リヒターを探す。
2階にも4階にも見当たらず、やはり見逃しではなくてどこかに貸し出してるか、
入れ替えされたかしたようだ。諦めがついた。
これで心残りはなくなった。
後ろ髪引かれることなく、マドリードを発つことができる。