スペイン一人旅 その13(7/26:昼食抜きは何の罰なのか?)

okmrtyhk2009-08-12


地下鉄ではなく、鉄道の方の「Atocha」駅へ。
とても大きな建物で、中に入るといきなり熱帯植物園。
スプリンクラーが霧のように水を撒いている。とてもユニークな駅。
待合室が2階にあるようなので、エスカレーターで上がっていく。
手荷物検査を受ける。
11時半過ぎに到着して、出発は12:30で1時間近く暇になる。
椅子に座って、リュックサックを抱えながらヘミングウェイの短編集を読んで過ごす。
12時発の他の方面の列車が8番線で改札を行っている。
どうも直前にならないと何番線となるか分からないようだ。


30分前になってようやく、バルセロナ行きの改札が始まる。
1番線の入り口に旅行者が続々と集まっている。
ホームでは飲み物を売ってないかもねと2階の売店でコーラを買う。
2.5ユーロ。ハイネケンが同じ値段だったので、だったらとビールにする。
そうか、アルコールに税金がかかってないんだ。
1番線で改札を済ませてエスカレーターで1階に下りていく。
僕が乗るのは7号車で、ホームのだいぶ先まで歩く。
7号車の前に立っていた女性の係員にチケットを見せる。
ニッコリ笑ってこちらにどうぞと言われる。
客車に乗り込む。広くてゆったりしてて、
2等車だというのに日本だとグリーン車ぐらいの居心地のよさ。
これ、1等車だとどんなすごいことになるのだろう。


乗車率は半分以下ぐらいか。海外からの観光客らしき人が多い。
12時半になって時刻通り発車する。
僕はハイネケンを飲み始める。ヘミングウェイの続きを読む。


駅の周辺はまだゆっくり走っていたけど、
ある地点を過ぎてからはぐっとスピードを上げて、早回しのように早くなった。
7・8階建てのレンガ色や砂色のマンションが続いていたのが、
いつのまにか背の低い草や木々が生えているだけの荒野となる。
時々、どこかの都市に差し掛かったのか、遠くにマンション群が見えてすぐ消える。
単調な景色が延々と続く。牧草地になったり、白茶けた土に戻ったり。
渓谷に差し掛かって、「お、素晴らしい景色」とデジカメの電源を入れようとすると過ぎ去ってしまう。
そういうのを何回か繰り返して、あほらしくなってやめる。
頭上のモニターではピクサーが作ったかのような 3D の犬のアニメ。


バルセロナまでの途中、ちょうど真ん中の地点にあるサラゴサの駅に到着する。
コンクリート打ちっぱなし、木目と赤を組み合わせた外壁を持つ部屋が連なる。
ここもまた、ユニークでおしゃれな駅だ。
ここで何人か降りていく。サラゴサで下りるっていうのは観光客ではなく地元の人のように思う。
サラゴサアラゴン州の州都。


AVE(スペインの高速鉄道)について調べていたときにどっかで見かけたサイトにて
2等車でも食事が出ると書いてあったので、これで一食分浮くと期待していた。
だけどサラゴサを過ぎても出てくる気配なし。
もしかして時間によるかもしれない。
バルセロナまであと30分という頃になって、柔らかいグミのようなキャンディーを1つもらっただけ。
昼食抜きで腹が減る。


15:11 バルセロナ、サンツ駅に到着する。
駅を出る。日差しが眩しい。マドリードよりも開放感を感じる。
地下鉄3号線の「Sants Estacio」駅から、乗り換えなしで「Paral lel」駅へ。
1日乗車券を買う。5.2ユーロだったマドリードよりも高くて、5.8ユーロ。
駅の階段を下りていくとき、行方不明の子供のポスターを見かける。
マドリードと比較して治安が悪そうな印象を受ける。


バルセロナの地下鉄の駅は、常に次のが到着するまでの残り時間を表示している。
残り30秒ぐらいになると到着する。遅れない。
だいたいにして日中ならば5分おきで次のが来る。


「Paral lel」駅の改札をくぐって、外に出る。
ここは元々、荒廃しかかった、ガラの悪い地区なのかもしれない。ゴミゴミしている。
上半身裸で筋肉隆々のスキンヘッドの若者が自転車に乗って通り過ぎる。
あるいは上半身裸で全身刺青の若者が、同じく上半身刺青だらけと思われる女性と連れ立って歩く。
鼻ピアスは当たり前。鼻にピアスじゃなく、鼻輪のような。
地球の歩き方を見たら「ヴィクトリア劇場」と書いてあったのが、「アポロ劇場」に変わっていた。
これがまた非常に安っぽい劇場で。何か上演されている気配全くなし。
ゲームセンターとか娯楽施設に変わったようだ。
地元の映画館がある日ポルノ専用になったかのような。


ホテルを探す。見つからなくてゾッとした気持ちになる。
マドリードで泊まったホテルが4つ星だとしたら、今度のは2つ星。グッとグレードが下がる。
裏通りなんだろうなあと歩いていくうちに見つかる。大きく「HOTEL」と書かれた看板が。
そっけないドアが1つだけあって、鍵がかかっている。中に入れない。
こりゃ困った・・・
頭上からは騒ぐ声がして、どっかの窓から上半身裸の若者が数人体を覗かせてラリッて騒いでる。
なんなのだここは。正直、ここに泊まりたくないなあと思う。
日本で前払いしていなかったら絶対他当たったな・・・
表通りに回ったら普通に入り口があった。ちょっとだけホッとする。
チェックイン。部屋の鍵は毎回、フロントに預けてくれと言われる。
マドリードのホテルはカードキーだったけど、こちらは正に、鍵。
部屋は駐車場から回ったところにエレベーターがあるからとのことで、
言ってみるとほんとにそうで、安っぽいことこの上ない。


泊まることになった2階の部屋は僕の人生で最も格下の部屋だった。
エアコンがなく(次の日、暖房だと思ったのがそうだったと発見)、ドライヤーがなく、冷蔵庫がない。
冷蔵庫はマドリードのホテルにもなかったけど。
一人用のベッドで部屋はとにかく狭い。後は申し訳程度に机が置かれているだけ。
バスルームもそっけない。高級な監房のよう。
テレビもリモコンがなくて
ベッドに寝そべって眺めるのにちょうどいいように頭上に据え付けられていて、
これをイチイチ手を伸ばしてチャンネルを変えなければならない。
安く抑えようという選択だったから仕方なかったんだけど、
僕も30半ばだし、これからはもっといいホテルに泊まってもいいのではないかと思った。
後々強く感じたこととしては、冷蔵庫は絶対あったほうがいい。


ドタバタと子供たちが騒いでいる音が階段や上の階から常にしていて、うるさいことこの上ない。
ここに3泊か・・・