スペイン一人旅 その20(7/27:東京でねぶたを見る)

okmrtyhk2009-08-19


18:15 となる。
フラメンコに先立ってのディナーが19時からで、15分前には到着していてください、
とバウチャーには書かれていた。
地図を見るとそんな遠くないはずなので歩いていく。


おしゃれな佇まいのお土産屋を見つけて中に入ってみる。
「Barcelona」を中心に文字を配置しただけなのにとても目立つ絵葉書を買う。


「サン・ジュセップ市場」という観光名所が右側に見えて、ちょっとだけ入ってみる。
ゴツゴツと巨大な腸詰を売る店や、プリプリツヤツヤ新鮮な野菜や果物を売る店、カキ氷を売る店。
もっと奥まで入ってみたかったけど、時間がないので諦めて通りに戻る。


ランブラス通りには鳥の鳴きまねをする大道芸人が何人かいた。
この人たちはこの芸そのもので食ってるのではなくて、何かを売るのが目的のようだった。


10分か15分ぐらい歩いて、そろそろこの辺だろうか、
地下鉄の「Liceu」駅を過ぎた先なんだよな、と思いながら歩いていても
ちっとも駅に行き当たらない。
その内にもう1個先の「Drassanes」駅まで来てしまう。
これ、かなり行き過ぎ。バルセロネータのすぐ近く。
やっべー、間に合わないかもと思いながら急いで引き返す。


「Palau Guell」(グエル邸)の標識を見つけて、どうもこの辺のはずだと路地に入ってみる。
地球の歩き方の地図と旅行会社提供の周辺地図。どちらも分かりにくくて店の位置は推測するしかない。
店の名前は「Cordobes」看板がないかキョロキョロしながら歩く。見つからない。
グエル邸が見つかる。しかしこの日は休み。しかも、工事中。
路地の中じゃなくて、大通りに面しているのだろうか、
とそっちに賭けてみたらどうにかこうにか当たったようで。
2階の店へと階段を上っていく。


□公式サイト
http://www.tablaocordobes.com/


なんかちょっといかがわしさがある店。
猥褻って意味じゃなくて、観光客向けに安っぽいというか。落ち着きというか、趣がない。
ウェイターの1人がバウチャーを確認する。
パスポートを持ってるかと聞かれて、持って来てないと答えると、オーケー問題ないと言われる。
フラメンコの時間が来たら隣の部屋に行ってこれを、とチケットをもらう。


ディナーはビュッフェ。
飲み物は、と聞かれてビールと答える。
このビール、料金に含まれていたようで、もっとたくさん飲んでおけばよかった。
こういう店だと高いかもと2杯飲んでストップ。もったいないことをした。
ワインは安いのだとタダ、高級なのだと有料。
それも10ユーロしないものから100ユーロ近いのもあったと思う。


食事にありつく。昼食べてないから腹が減っている。
パエリヤ、仔牛の煮込み、スタッフド・トマト、タラのクリーム煮、ドイツ風のポテトサラダなど。
ウェイターの1人がフライド・フィッシュいかがですかと回ってきて、3切れほどもらう。
まあ、パエリヤを初めとして大味で、悪くはないけど、良くはない。日本で言ったらロイヤルホストか。
隣の部屋への扉をウェイターが開けると
ダンサーが練習しているのか、床を踏み鳴らす音が聞こえた。


店内は大きな団体が2つ。アメリカ人のような気がした。
皆60ぐらいで、引退して悠々自適な生活を送ってる人たちなのだろう。
筒井康隆じゃないけど「農協月へ行く」って感じで大はしゃぎ。
隣に座っている初老の夫婦は2人だけの旅行のようで、
僕に向かって「あなたはグループじゃないの?」と話しかけてくる。
僕は「いえ、違います」ぐらいのことしか言えなくて、自分の英語力のなさを呪う。
それ以上会話が続かない。もうちょっと話ができたら。
聞き取ることはできたとしても、
バルセロナはどこを見ましたか?どこが良かったですか?」とか、そんな簡単なことすら言えない。


他に日本人の母娘が一組。
なんか常連っぽい人たちが一組。
気取ったラテン系の初老の男性は昔フラメンコのダンサーだったのか。そんな身のこなし、腰つき。
ワイングラス片手にウェイターたちの集まっているところに行っては、冗談を言い合う。
この人たちはそもそもフラメンコを見なかった。


20時近くなって隣の部屋へ。
扉の脇に立っていた男性にチケットを見せる。
じゃああなたはあっちの方へと奥を指示され、
そっちに行くともう1人の係りの男性がこちらへと端の席を。
ステージの真横、その2列目。
小さな丸テーブルがあったので便利だったけど、真横って・・・


他のテーブルの人たちもこちらに移ってくる。
団体のおじいさん、おばあさんはもうありえないぐらいのハイテンション。みなで記念撮影したり。
先ほどの常連の初老の男性に向かって、「あなたが今晩踊るんでしょ!?」と
男性はクルッと回って腰を振る。そうするとまたヤンヤヤンヤの大喝采


待っているとシャンパングラスに白ワインが配られる。飲みながら待つ。
することがなくてデジカメの写真を整理する。1人ポツンとしている。


開演直前になって日本人の団体がゾロゾロと。ここでディナーを食べないのは正解だな・・・


場内が暗くなってフラメンコが始まる。
ギタリストが3人出てきて、情熱的な曲を奏でる。
歌い手の女性がステージの前に出てきて、歌う。
団体客があちこちでフラッシュをたいて写真を撮る。
歌い終えて、女性のダンサーが3人と男性のダンサーが2人が勢ぞろいして足を踏み鳴らし、踊る。
男女のデュエットになり、男性のソロになり、・・・
最前列に座っていた団体客の1人が中身の入ったワインのボトルを床に落として大変なことになる。


前半部分が終わって、後半へ。
男性は2人とも長身で、もしかして2mあるんじゃないかってぐらい。
どことなくキザで、やさぐれていて、だけど情熱的で、
悲しみを一身に背負いつつ、最後の最後には優しさを見せる。
なんつうか歌舞伎町のできるホストの中からプラスの部分だけを色濃く抽出したような。
フラメンコの踊り手じゃなかったら人生生きにくそうな。
日本からおばさん連中が見に行ったらキャーキャーと大変なことになっただろうな。
女性のダンサーもまた、情が深そう。
最後の方、フレンチカンカンのような裾の長いドレスを着て、振り回さんばかりに踊る。
長いショールを使ったときの踊り、あの動きは絶対ヌンチャクだ。


闘牛と一緒で、本場アンダルシアに行って見ないとダメだなと思った。
観光客向けのを見てどうこう言うわけにはいかない。
静かな場所で、静かに見たい。
外国人観光客が見たがってるからっていう理由で、東京にねぶた祭りをもってきてやるようなもの。
エッセンスは伝わるかもしれないが、大事な、本質的な部分は伝わらない。


でも、ステージに4人ないしは5人揃って床を踏み鳴らすときの激しいリズムっていいもんで。
そこにかぶさるスパニッシュ・ギターの音。


途中でデジカメのバッテリーがなくなる。


終わってさっさとホテルに戻る。
「Drassanes」からは1駅。
今夜もまた中学正たちが飛んだり跳ねたりしている。
午前0時頃眠る。