スペイン一人旅 その23(7/28:デザートの頼み方)

okmrtyhk2009-08-22


12時半過ぎ。次に向かうはスペイン村
1929年の万博の際に造られた、スペイン各地の風物を再現するテーマパーク。
各地の工芸品・民芸品の製作風景が見学できるようだ。
こういうところならば地方ごとの本格的な食事ができるのではないか?
僕はそう考えた。


地図の上では近い。しかし、道が入り組んでいて、どう進んだら辿り着くのかが分からない。
というか、最初僕は迷うつもりがないと思い込んでいた。
カタルーニャ美術館からはルートは2つ。
?階段を下りて行って、マジカ噴水のある広場まで出て、
 ミース・フォン・デル・ローエ記念館を経由して、反時計回りに西へ
?坂を上っていって、ピコルネル・プールに出て、
 向こうにオリンピック・スタジアムを眺めつつ、時計回りに東へ


この次はオリンピック・スタジアムを見に行くってこともあるし、?とするかと即決。何も考えない。
これが失敗の元になる。


美術館の脇の道を歩いて、野外のエスカレーターを上る。やがて大通りに出た。
巨大な室内プールからは大きな音で館内放送が聞こえてくる。
水泳大会が行われているようで、選手たちの名前が読み上げられる。ここで初めて、ピンと来た。
僕の泊まっているホテルに何組もスイミング・クラブの中学生たちが泊まっていたのは
ここで行われている大会に出るためなのだ。
ホテルのある「Paral lel」駅からはフニクラで1駅という近さ。
そうか、絶対そうだ。


オリンピック・スタジアムがすぐそこに見えて、先にそっち行くかと歩き出すが、
いや、やっぱ後にしようと反対方向へ。
日差しがたまらなくて、街路樹の木陰となるように歩く。
とにかく鮮やかなまでに青空。早くビールが飲みたくてたまらない。


左側に教育会館のような建物を通り過ぎて、右側は丘を下ったところに誰もいないラグビー場。
モンジュイック公園の北の端の、噴水のある小さな広場に出る。
東南アジアから来たと思われるツアーの旅行客たちがなぜかここでマゴマゴしている。
折れ曲がって、東へ。ここからはすぐだ。
緩やかな坂を下っていく。
しばらくしたら地球の歩き方の地図にあるように、スペイン村に折れ曲がる道に出た。
車が何台も停まっていた。(ここで折れ曲がらずそのまま進んだらすぐ目の前にあったのに・・・)
これかな、と思って曲がる。人気のない道を進む。
地球の歩き方の地図を見ていたら、絶対誰もが僕のように曲がるって!!)
はやってなさそうなレストランへと続く坂道が左側に出てきて、気にせず先へ。
この頃からおかしいなあと思い始める。
あんまりこの辺は人が通らないようだ。
橋の下に出て、あちこちに勝手に黒のスプレーでグラフィティがなされてる。
丸い石には顔が描かれていたり。
やっぱ違うと思って、引き返す。
しばらく行くと左手に階段。もしかしてこれ上ると近道かもと考える。
何の根拠もなく。(ここでそのまま素直に引き返していれば・・・)


階段を上るときれいな遊歩道に出て、いや、これでいいんじゃないかと思う。
右手に馬術上。まだ10代前半と思われる女の子たちが白い馬に乗っていた。
左手にスペイン村らしき、建物の数々。
しかし、中に入れない。裏口があったっていいのに!
そのまま歩き続けて、大きな階段に出る。下っていく。またしても噴水のある広場・・・
カタルーニャ美術館の下の広場だった。
ああ、一周してしまった。入り口はどこにあるんだ・・・
結局?のルートへ。
マジカ噴水の近くまで行って、博物館のような建物が並ぶ。
どこかに隠れた入り口があるんじゃないか?
この頃にはかなり不機嫌になって、いろんなものに腹を立てている。
何よりも日差しの暑さに理不尽な憤りを感じる。
仕方なく、歩き続ける。とにかく、歩き続ける。
この暑さ、安息日の金曜に炎天下のドバイを一人きり歩いたときの地獄を思い出す。


ミース・フォン・デル・ローエ記念館に出る。人口の真四角の池が、涼しげだった。
これが何なのか結局分からなかったんだけど、この記念館の入り口すら見つけられず。
自分が呪われてるように思えてきた。


緩やかな坂道を登り始めて、「Poble Epanyol ↑」(スペイン村)と書かれた標識を頼りに、
半ばフラフラになりながら歩いていく。
観光客を乗せた真っ赤なバスが背後から通り過ぎていく。バスに乗ることを覚えればよかった・・・


ようやく入り口が見つかる。入場券を買う。8.5ユーロ。
カタルーニャ美術館とのセットの券が13ユーロと割安だったことを知って、また腹を立てる。


結局1時間はあるいただろうか。そのうち、45分は無駄に歩き回った。
もう、中に入っても見て回る気力なし。
一応ブラブラと歩いてはみる。
真ん中に広場があって、その周りをレンガ造りの路地が取り囲んでいる。
路地のどの家も2階建てだっただろうか。玄関がアーチとなっていて、2階にテラス。
教会のような建物もあったな。
様々な店があった。売っているだけで、実際に作ってるところは見られなかった。
銀の鎧兜を売る店。世界各地のお面を集めた店。古びたチェスの駒を売っている店。
モービルの店、扇子の店、ワインの店・・・
入り口でもらった地図を見たら、それぞれの店がブロックとなって固まって、
それぞれの地方を代表していた。
カタルーニャアラゴン、アンダルシア、カスティーリャ・ラ・マンチャ・・・
さすがの僕も疲れ切って全てを回る気力なし。
レストランに入ってとにかく昼を食べようと思う。


でも、あれこれ回ってみてどれも安っぽいんですね。観光客向け。
10ユーロちょっとの値段で、プレートにソーセージとフライドポテトが乗っているような。
ここまで来てそういうのはちょっとなあ。あるいは、いまひとつぱっとしないパエリヤだとか。
探し回ってるうちに一軒、格上のレストランが見つかる。
入ってみる。ランチコースが12ユーロと安い。
前菜とメインとデザートを選ぶ。
僕はガスパッチョとミートボールのトマトソースがけ、フレッシュジュースとする。
ジュースはオレンジかグレープフルーツが選べる。


この店がウェイターの男性と女性が1人ずついるだけ、
なのに客はひっきりなしに来て、全然回っていなかった。
ある家族は入って席に着いてもメニューが渡されず、
だいぶたってメニューが渡されたときには怒って出て行ってしまった。
途中から普段着のジーパンにTシャツの男性がヘルプで来てあれこれこなすものの、それでも間に合わず。


出てくるのに時間はかかったけど、ガスパッチョもミートボールもうまかった。
スペインで食べた中では一番おいしかったと思う。
問題はフレッシュジュース。
いつまでたっても出てこない。デジカメの写真を整理する以外に何もすることなく、30分待つ。
14時半を過ぎる。
当初の予定では、13時ぐらいには食べ終え、オリンピック・スタジアムを見て、
ゴンドラに乗ってモンジュイック城まで行って、
15時にはケーブルカーでバルセロネータまで行くつもりだった。
この分だと一通り回って17時頃か。
カテドラルを見て、ピカソ美術館まで行って、
最後「CCCB」に入れるだろうか?20時には閉まってしまうだろう。


もういい。フレッシュジュースはいらない。
ウェイターを捕まえて、大声で「Check Please」と言う。
ごめんごめんって感じでウェイターは、「ジュースはどっちがいい?オレンジと・・・」
僕は遮って、「You are too late ! I have no time !!」
(なんとなく late の使い方が文法的に間違ってそうだが)
ビールを2杯飲んで、7%の税金がかかって、18.56ユーロ。20ユーロ札を置いて出て行く。


スペイン村を出る。小心者の僕は、歩きながら悪いことしたなあと思う。
もしかして、実はヨーロッパってデザートって言わなきゃ出てこないのかなあなんて考える。
自動的にコースが進んでいくのは日本だけなのかも、とか。
「あのアジア人、メインの皿の後ずっとぼんやりしててデザートを求めないで、
 突然時間がないって言って出てった。なんだったのだろう?」って思ってたかも。