サマソニ09 その10(8/8:te 〜 Little Boots)

開演30分前。最前列が隙間があったので入り込む。
にんにくの匂いが気になるが、まあフェス向けにそんなに入ってないだろうと前向きに考える。


te' とはギター2人、ベース、ドラムの4人によるインスト・バンド。ヴォーカルなし。
インストって言ってもジャズ・コンボみたいなのではなく、
一番近いのはハードコア・パンク経由のポスト・ロック
いや、ポストでもなんでもなくて、今、ここにある爆音。
ヴォーカルがない分、曲名やアルバム名が日本語として振るってて。
アルバムのタイトルは順に、
 1st「ならば、意味から解放された響きは『音』の世界の深淵を語る。」
 2nd「それは、鳴り響く世界から現実的な音を『歌』おうとする思考。」
 3rd「まして、心と五感が一致するなら全て最上の『音楽』に変ずる。」
なんとなく文章としてつながっているように思えるのがすごい。


僕が持っているシングル
「美しき旋律も、音を語る言を持たずしては心にも『留』めがたし。」の曲名はこんな感じ。
 1.「美しき旋律も、音を語る言を持たずしては心にも『留』めがたし。」
 2.「大胆は無知と卑劣の子であって、他の資格よりはるかに『劣』る。」
 3.「声をもって、心の底を叩いてみると、どこか『哀』しい音がする。」
 4.「嫌いなものは殺してしまえばいい、それが『人間』のすることか?
   憎ければ殺せばいい、それが『人間』というものではないのかね?」


たったこれだけでもこのバンドが独特の立ち位置にあるのが伺える。


残念ながらギターの hiro(黒田洋俊)が闘病中ということで、
サポートのメンバーでライヴを続けているようだ。
オフィシャルサイトには「悪性リンパ腫」ってあったんだけど、これってつまり癌なのでは・・・


PAのセッティングにはメンバー4人が立ち会う。
一通り終わって、そのままセッション風に短いナンバーを演奏する。
これがいいっちゃいいけどゆるいもので、初めて te' のライヴを見る僕からしたら
「なんだ、こんなもんか」と。なし崩し的に本編が始まったものと誤解していた。
サクッと終わって、4人がいったんステージから去っていく。
その後に始まった本編はとんでもなかった。
ハイテンションというよりはハイヴォルテージでガンガン突き進む。
目の前のもの全てをなぎ倒しながら。
特にドラムがすごい。クールな顔して鬼神のごとく叩きまくる。
1曲叩き終わるごとに立ち上がって、スティックを握ったまま両腕を宙に向かって突き上げる。
あれはかっこいいねえ。見ててこっちも吠えたくなる。
ベースはベースで歌わないけどマイク担当らしく叫んでて、「Oi!Oi!」と僕らを煽る。
ギターは1人がカッティング主体で、一人はアルペジオ
静:美しいメロディーを奏でた瞬間、動:爆音を撒き散らす。
見てると、しなやかな獣がコンクリート・ジャングルを全力疾走しているかのようだった。


MCでは「どうも酒井のり子です」とか「サマソニに出れて、マンモスうれピー」とか言ってた。
リーダーの kono が慌てて両腕でバツを作って、頼むから今日それはやめてと。
なんにしてもこの日のサマソニのあちこちで、酒井のり子の話題ばかりを聞いた。
この日の夜、覚せい剤取締法違反容疑で酒井のり子が逮捕される。


te' が一瞬で終わる。これはいつか、ちゃんともう一度見たいね。
最後の曲ではサポートの眼鏡のギタリストが勢い余って転んでた。かっこいい。


次は Little Boots を見るために SONIC STAGE へ。メッセに戻る。
開演直前に到着したため、即に満員に近い状態。
新世代のエレクトロ・クイーンとして日本での人気も高い。
可能な限り前の方に行ってみる。周りの女の子たちばかり。なんとなく見やすい。


メンバーはシンセが一人と、ドラムが一人。
Little Boots もまた機材を操作する。
サンプラーなのかな、小さい銀色のだったんだけど、
今出してる音に合わせて背面の液晶モニターにそのリズムを表す図形というか模様が表示される。
もう1つ、シンセなのかな。これにタッチパッドみたいなのがついていて、
手の平を近づけるとヒューンと音がして、遠ざけると音が小さくなる。テルミンみたい。
そういうのも時々使ってた。
あと2曲目で、元祖アナログシンセだと思うんだけど、
ボールペンのようなスティックで細長い金属の部分に触れて線を引くと音が出る。
そういうのを首からぶら下げて演奏していた。(音が出ていたようには思えなかったけど)
大人の科学の付録のアナログ・シンセサイザー SX-150 の製品版みたいなものなんじゃないかな。
http://otonanokagaku.net/magazine/sx150/index.html


名前の通りすんごい小さい人で、でも、ブーツは履いてなかった。
紫色のスパンコール入りの衣装を着ていて、左腕は袖あり、右腕は袖なし。


7・8曲やったのかな。
アルバムはなかなかいいと思ったけど、ライヴは・・・、それほででもなく。
笑顔で踊りながら、歌ってはいるんだけどなんか淡々としていた。
でも会場は盛り上がっていた。サビを知ってる曲になると女の子たちが皆、歌う。
将来に期待。


続いて、DANCE STAGE で Birdy Nam Nam と Metronomy と Tom Tom Club の3連発。
ここからは長丁場、最前列をキープしたら絶対離れないつもりでいたため、まずはトイレに行く。
後ろに並んでいた海外からの若い男性が僕に話しかけくる。
掃除のおばちゃんを見て、「That's good working」
「Good Woking ?」と聞き返す。
「Cleaning」と彼は答える。なるほど。
フェスの命は、いかにしてその場をきれいに快適にするかだもんな。


Official Bar で水分補給用にクリスタル・ガイザーを買う。250円。高い。
この後、ビールも飲まず、水も唇を湿らすだけに留める。
ここで買ったクリスタル・ガイザーは結局中身が余って、家まで持って帰ってきた。