たそがれる

okmrtyhk2009-11-07


転職活動を始めて2ヶ月。
あれこれ思うところがあって「もういい!」と投げ出すことにした。
ピークの時期に入っていた。
面接が週に4つも5つも入ってその調整だけでも大変で、仕事も穴を開けつつあり。
編集学校での物語製作も重なって、いろんなことがどっちつかずで破綻しかけていた。
でもここまで来て諦めるってのは不甲斐ないことこの上ない。
辞める辞めないをずっと繰り返してきて、ようやく踏ん切りがついたというのに。
去年は集合研修の場で「こんなのやってられない!辞める!!」と宣言したというのに。
それが今回、こういう結論に達するのだとしたら、ほんと今の僕はかっこ悪い。
1社先日受けた面接の結果待ちのところがあって、そこだけは残しておく。
他は面接を断る。直近のものは自分で断りの電話を入れた。


不景気で転職市場が冷え込んでるってのもあるけど、
入りたいと思う会社はことごとく僕にとっては未経験の領域で、
面接を受けていても力不足を感じた。
僕みたいに職種を絞らず手広く受けるもんじゃないね。
移りたい職種があったら、
1年か2年前からじっくりその方向に進むための準備をしなければならない。


昨日、当初の予定では面接があったので会社は休みを申請していたんだけど、
断りの電話を入れて1日空いた。
ほんとならこの日、部門の、
半期に一度の前期を振り返って後期の目標を発表するイベント。
もちろんバックれる。
サボって1日、たそがれて過ごした。
疲れきって、ささくれだって。何もしたくなかった。
映画が見たくなって、温泉に入りたかった。


朝起きて、日比谷へ。
みゆき座で「ロック・パイレーツ」を見る。
隣の宝塚の劇場は平日午前中だというのに女性客の行列がすごかった。
「ロック・パイレーツ」は1966年・67年のイギリスを舞台にした映画。
海賊ラジオ局の違法DJたちを主人公に据えた賑やかなコメディー。
映画としては全然たいしたことなかったが、
ストーンズ、フー、キンクスに始まってこの当時のロックが次から次にかかって
もうそれだけで嬉しい気持ちになる。
ストーンズの「夜をぶっとばせ」を大きな音で聞いてニンマリする。
ああ、僕は何よりも音楽が好きなのだ。


昼、新橋まで歩いて、ゆりかもめに乗ってお台場へ。
DECKS のお台場小香港に行って、最近ご無沙汰だった陳麻婆豆腐で食べる。
それにしても平日の DECKS の閑散っぷりは悲惨だ。


メディアージュへと歩いていく。
修学旅行の中学生たちがはしゃいでいる。
海外旅行客たちがあちこちで写真を撮っている。
フジテレビの社屋は今でも人気があるようで、続々と観光客が中に消えていく。
お台場をプロムナード公園に沿って歩いていく。
船の科学館が見えて、国際交流会館、日本科学未来館の脇を通り過ぎて、
テレコムセンターの前で曲がって、大江戸温泉物語へ。
遠くに Venus Fort の観覧車が見える。


大江戸温泉物語も不景気なのか、普段なら2,900円の入浴料がこの時期、1,900円と値下げ。
浴衣に着替えて男湯へ。
前に来たのはPJのメンバーと、あれはもう4年前になるのか。
あの頃は楽しかった。
露天風呂に入る。
お湯に浸かってこれからのことを考えるつもりが、何も考える気になれずただただボケーッとする。
あと1社残ってるところと今の会社とどっちを選ぶか、それぐらい。


早々に上がって、「広小路」に並ぶ屋台村の1つに入って、生ビール2杯と枝豆、焼き鳥。
ここでもまたボケーッとする。
一人温泉、一人生ビール。


飲み終えて時間があったので、足湯へ。
大学のゼミの集まりなのか、学生たちがはしゃいでいる。
彼ら・彼女たちが子供に見える。
ドクターフィッシュっていう昔話題になった、足の古い角質層を食べる魚。
これ試してみたかったけど、もちろんお金がかかる。1,500円。
あかすりもタイ式マッサージも一番安くて3,000円から4,000円ぐらいして、
お金のない今、どれも無理・・・
ボーナスの出た後か。


大江戸温泉物語を出て、プロムナード公園に沿って来た道を引き返す。
15時半だというのに夕暮れの光。
DECKS まで行って、マンション群の間を抜けてレインボーブリッジへ。
この辺りのマンション、裕福な人たちが多いんだろうな。
マンションの1階も高そうな飲食店が並ぶ。
高級食材の店とフレンチやイタリアンの店しかない島に暮らす
中の上と上の下階級たちの生活を描く小説を書きたいと思った。


レインボーブリッジって歩いて渡れるってのを何年か前に聞いて
以来ずっといつか暇があったら、と思っていた。
それを遂に実行。簡単なことなのに何年もかかった。
ノースルートとサウスルートとがあって、前者は東京湾側を後者はお台場側の風景が広がる。
僕はまず、ノースルートを歩いてみる。
夕方の東京湾。東京タワー。その奥に六本木ヒルズのタワー。
丸の内の高層ビル群。隅田川を挟んで反対側は勝どきのビル群や佃島のマンション群。
歩きながら、大きな風景に圧倒される。
東京の風景。僕がもう20年近く住み続けてきた、東京の風景。
夕暮れの光に染まる。


途中でサウスルートに回って、首都高速の屋根の下の歩道へ。
歩いている人はまばら。三脚を片手に、望遠レンズを胸に、写真を撮っている人を見かける。
こんなところをジョギングしている人がいる。
渡りきって芝浦側の橋桁にある「芝浦アンカレッジ」という展望台へ。
ここで7階の高さから2階に下りて、終了。全長1.7kmとなる。
入口という出口は、これまで働いていた芝浦ふ頭のオフィスの目と鼻の先にあった。
なんだ、会社帰りにすぐ行けたんだな、と気付く。


17時近く。田町まで歩いて、京浜東北線で有楽町へ。
世の中は今日休みじゃないということを思い出す。
日比谷線で六本木へ。
六本木ヒルズで「アンヴィル!〜夢を諦めきれない男たち〜」を見る。
チケットを買って、時間があったので青山ブックセンターへ。
映画や美術の本を眺める。
また戻ってきて、シアターの中へ。
80年代初め、画期的なメタルバンドだったアンヴィル
しかしその後泣かず飛ばず。それでも続けて今や30年以上現役。
ヴォーカルとギターの「リップス」は小学校に給食を運ぶ仕事をしながら、
それでも夢を諦めない。もちろん、現実は厳しい。
今の自分が見るととても泣けてくる。「はぁ」とため息をつく。


見終えて、大江戸線で代々木へ。
下りて新宿まで歩いていく。
紹介会社の方から電話が掛かってきて、今回の経緯を話す。


帰ってきて、しばらくぼんやりして、眠る。