TSUTAYA DISCAS から借りた『フォー・ウェディング』を見た。
ワーキング・タイトルが製作した
純英国風のスタイリッシュ(?)なラブコメをぼけーっと鑑賞したい気分だった。
ヒュー・グラント扮する主人公とその友人たちは皆独身。
たびたび結婚式で顔を合わせるものの、自分たちの結婚には結びつかず。
そんな中、主人公は理想的な女性と出会うのだが・・・
よくできてるよね。安心して見ていられる。
コメディとしてはとてもベタだけど。
Mr. Bean のローワン・アトキンソンが出演していた。
ワーキング・タイトルの作品ってカラーが分かりやすくて、
『ノッティングヒルの恋人』『ブリジット・ジョーンズの日記』『ラブ・アクチュアリー』
といったところがすぐ思い浮かぶ。
他に何があっただろうか?と調べてみたら、
90年代絶頂期のコーエン兄弟の作品がそうだった。意外。
『バートン・フィンク』『ファーゴ』『ビッグ・リボウスキ』『オー・ブラザー!』
そうか。『オー・ブラザー!』以後、『バーバー』はいいとして、
その後の『ディボース・ショウ』『レディ・キラーズ』が軽めでつまらなかったのは
製作会社が変わったことにより路線変更を強いられたからかもしれない(?)
その後、『バーン・アフター・リーディング』でまたワーキング・タイトルと手を組んだ。
『バーン…』が昔の作品っぽいテイストを持っていたのは、ここに関係があるのかも。
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続いて、『ブロークン・フラワーズ』
ジム・ジャームッシュ監督の2005年の作品。カンヌでグランプリ。
ビル・マーレイ扮する無口な中年の男が、20年前の恋人たちを訪ねて全米を旅する。
4人の女性に会って、彼に手紙を書いてきたのが誰かを探る。
その誰かが彼の息子を産んでいて、今年20歳になる。
一度も会ったことのない父に会うために旅に出た、と手紙には書かれていた。
例によって、1つの主題に対する変奏曲となるような短編を4つ繋いで、オチをつけるという構成。
昔のようなパズル的なオチではなくて、哲学的なオチ。
ひねりが効いていて、なるほどと思わせる。
独特のとぼけた間合いはさらに隙間が多くなって、スカスカ。
昔の作品だとその隙間が直接的な面白さを語っていたのが、
この作品まで来ると何やら深遠な思想(例えば、人生の意味とか)を語っているようでもあり。
それが評価されたのだと思う。
見終わったらジワジワと来るタイプの作品。
かつての恋人たち4人に扮した、
シャロン・ストーン、フランセス・コンロイ、ジェシカ・ラング、ティルダ・スウィントン、
これら芸達者な人たちの競演が見どころなのかな。
他にも、ジュリー・デルピー、クロエ・セヴィニー、と有名な女優がたくさん出てくる。
ありそうでなさそうな人選で、ジャームッシュらしいねえと思わせる。
それにしても、ビル・マーレイだよね。この映画。
何も言わずにただ前を見て座ってるというだけで醸し出される特異な存在感。
それだけで映画をどっかおかしな方向に引っ張って行っている。
とぼけているようで、哀愁も漂っていて。
『ロスト・イン・トランスレーション』も素晴らしかった。
名優の域に達しているよなあ。
『ゴースト・バスターズ』からは地続きなんだけど、余りにも遠くへ辿り着いた。
そしてまだ、旅の途上。
今更僕が言うまでもないが、いい役者と言うのはセリフ回しがどうこうじゃなくて、
あくまで存在感、その役者にしか出ない味のある佇まいにある。
それが、作品(を形作る、ストーリーとかキャラクターといった構成要素)と
絡んだときにどこまでの掛け算となるか。
その掛け算のさじ加減が演出というものであって。
この作品はそこのところが予想通りにいい結果を引き出しているという好例だと思う。