『僕の彼女を紹介します』『私の頭の中の消しゴム』『プラダを着た悪魔』

猟奇的な彼女』の監督クァク・ジェヨンと主演チョン・ジヒョンのコンビ、2作目。


猟奇的な彼女』は何年か前、話題作だからと言うので余り期待せずに借りてきて見て、
その面白さに唸らされたことがある。
よくできているし、甘酸っぱい感覚がとにかく感性をくすぐる。
彼女:チョン・ジヒョンの魅力にやられる。


その立役者である監督と女優のコンビなのだからということで
この『僕の彼女を紹介します』を見ると、「なんだこりゃ」となる。
これぞ柳の下のドジョウ。中身が全くない・・・
ストーリーもなんだかよく分からない。
今回は婦人警官に扮することになったチョン・ジヒョンのコスプレがいいというだけ。


音楽が 『Knockin'on Heaven's Door』と X JAPAN の『Tears』というところが微妙。

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一方、『私の頭の中の消しゴム』これは傑作だ。
いい、とてもいい。


女は建設会社の社長の娘。男はその現場監督。
身分の違う2人が出会って、恋をして、周囲の反対を押し切って結ばれる。
男は建築士の資格を取り、社会的な地位を得る。
幸せな2人。しかし、女は若年性のアルツハイマー病によって、記憶を無くしていく。


ありがちな話で展開も描き方もものすごくベタなんだけど、
そういうドラマとして見てると確実にツボを押してくる。


韓国映画的なエグさがあちこちにあって、そこが合う人合わない人いるだろうね。
でも、幸せな2人がその幸せを取り戻そうとする姿には
万国共通のストレートさがあったように思う。

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こちらは韓国映画じゃなく、『プラダを着た悪魔


メリル・ストリープ扮する、世界を代表するファッション誌の辣腕編集長の下で、
ファッションには何の興味もなく、ジャーナリストになりたいから雑誌は何でもよかったという
アン・ハサウェイ扮するアシスタントが奮闘する。
学生新聞の編集長をやってましたというアン・ハサウェイの格好がどうにもいけてない。
それが仕事を覚えるうちに見る見る間に垢抜けていく。
颯爽とプラダ(か、どうかは知らんけど)を着こなすようになる。
その一方で学生時代からの彼や仲間たちとは距離が生まれていく。


恋と仕事とファッションと。
そういう領域に生きている人たちが見るべき映画、
あるいは『アリー my Love』とか『Sex and the City』といった
アメリカのドラマにはまっている人が見るもんだと思って
公開時は興味を持たなかったんだけど、なんか評判がいい。
見てみたら確かに面白かった。


テンポの良さと無駄のなさによるものなのか。
とてもこなれている。
洗練されててファッショナブルなんだけど、嫌味がない。
主演の二人、アン・ハサウェイの初々しい存在感と
メリル・ストリープの完璧な演技による老獪な狸っぷりがなせるわざか。
ふわっと軽くて、流れてる空気がいい。


ここ数年の映画でなんか面白いのないですか?
って聞かれたら、当面の間、僕はこれを挙げると思う。