今更かつ直前だけど、アカデミー賞を予想する。
今年は何と言っても『アバター』ですね。
この映画をもってして始めて映画は21世紀に入ったと思う。
CGが行き着くところまで行って、3Dメガネをかけてるからというだけでは説明のつかない、
圧倒的な存在感があったように思う。
対抗馬は『ハートロッカー』
未見だけど、今年はこの作品と『アバター』で2分すると思う。
奇しくも『アバター』の監督ジェームズ・キャメロンと
『ハートロッカー』の監督キャスリン・ビグローは元夫婦。
【作品賞】
■アバター(20世紀フォックス)
□しあわせの隠れ場所(ワーナー・ブラザース)
□第9地区(トライスター)
□17歳の肖像(ソニー・ピクチャーズ・クラシックス)
□ハート・ロッカー(サミット・エンタテインメント)
□イングロリアス・バスターズ(ワインスタイン・カンパニー)
□プレシャス(ライオンズゲート)
□A Serious Man(フォーカス・フィーチャーズ)
□マイレージ、マイライフ(パラマウント)
□カールじいさんの空飛ぶ家(ディズニー)
今年から候補が10本に増えたんですよね。
5本に絞り込まれてる方がいいなあ。
【監督賞】
□キャスリン・ビグロー(ハート・ロッカー)
□ジェイソン・ライトマン(マイレージ、マイライフ)
□クエンティン・タランティーノ(イングロリアス・バスターズ)
■ジェームズ・キャメロン(アバター)
□リー・ダニエルス(プレシャス)
この5本が実質的な作品賞の候補だと思う。
【主演男優賞】
□ジェフ・ブリッジス(Crazy Heart)
□ジョージ・クルーニー(マイレージ、マイライフ)
□コリン・ファース(A Single Man)
□ジェレミー・レナー(ハート・ロッカー)
■モーガン・フリーマン(インビクタス 負けざる者たち)
先日『インビクタス』を観た。
実際のネルソン・マンデラがどういう風貌・物腰の人なのかよく知らないですが、
演じるモーガン・フリーマンは似てる・似てない、演技の上手い・下手を超えた
存在感を放っていた。
【主演女優賞】
□キャリー・マリガン(17歳の肖像)
□メリル・ストリープ(ジュリー&ジュリア)
□ガボーレイ・シディベ(プレシャス)
■サンドラ・ブロック(しあわせの隠れ場所)
□ヘレン・ミレン(The Last Station)
ヘレン・ミレンは『クィーン』で獲得したばっかりだし、
メリル・ストリープはもらいすぎ。「また候補か」と思ってしまい、新鮮味がない。
サンドラ・ブロックはゴールデン・グローブ賞を既に獲得しているので、有利かな。
【助演男優賞】
■クリストフ・ヴァルツ(イングロリアス・バスターズ)
□ウディ・ハレルソン(The Messenger)
□スタンリー・トゥッチ(ラブリーボーン)
□クリストファー・プラマー(The Last Station)
□マット・デイモン(インビクタス 負けざる者たち)
『インビクタス』を見る限り、マット・デイモンはない。
クリストフ・ヴァルツはカンヌでも主演男優賞を取っている。
【助演女優賞】
□ペネロペ・クルス(NINE)
□ヴェラ・ファーミガ(マイレージ、マイライフ)
□マギー・ギレンホール(Crazy Heart)
■モニーク(プレシャス)
□アンナ・ケンドリック(マイレージ、マイライフ)
『マイレージ、マイライフ』は票が分かれて不利かな。
ペネロペ・クルスは『それでも恋するバルセロナ』で去年、この賞を貰ったばかり。
『プレシャス』という映画が気になってて、何か一つ賞を取るならここか。
【脚本賞】
■マーク・ボール(ハート・ロッカー)
□クエンティン・タランティーノ(イングロリアス・バスターズ)
□ジョエル&イーサン・コーエン(A Serious Man)
□ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン、トマス・マッカーシー(カールじいさんの空飛ぶ家)
□オーレン・ムーヴァーマン、アレッサンドロ・キャモン(The Messenger)
今更アカデミーの面々がタランティーノに「脚本賞」を与えるとも思えず。
コーエン兄弟にしたってそう。
【脚色賞】
□ニール・ブロムカンプ、テリー・タッチェル(第9地区)
□ニック・ホーンビィ(17歳の肖像)
□ジェシー・アームストロング、サイモン・ブラックウェル、アーマンド・ラヌッチ、トニー・ローチェ(In the Loop)
□ジェフリー・フレッチャー(プレシャス)
■ジェイソン・ライトマン、シェルドン・ターナー(マイレージ、マイライフ)
脚本賞・脚色賞は若手の登竜門的意味合いがこのところ強く、
ジェイソン・ライトマンは前作『JUNO』で獲得している。
この監督は最近の若手の中では頭一つ抜き出た才能があると思う。
もう一回脚色賞を取るのでは。
【撮影賞】
■マウロ・フィオーレ(アバター)
□ブリュノ・デルボネル(ハリー・ポッターと謎のプリンス)
□バリー・アクロイド(ハート・ロッカー)
□ロバート・リチャードソン(イングロリアス・バスターズ)
□クリスティアン・ベアガー(白いリボン)
『アバター』の前では何もかもが色褪せる。
【編集賞】
□スティーヴン・リフキン、ジョン・ルフーア、ジェームズ・キャメロン(アバター)
□ジュリアン・クラーク(第9地区)
■ボブ・ムラウスキー、クリス・イニス(ハート・ロッカー)
□サリー・メンケ(イングロリアス・バスターズ)
□ジョー・クロッツ(プレシャス)
とはいえ『アバター』のCGがすごい、3Dがすごいというのは
実は編集とは直接の関係がない。
実写の『ハート・ロッカー』の方が有利か。
【美術賞】
■美術:リック・カーター、ロバート・ストロンバーグ 装置:キム・シンクレア(アバター)
□美術:デイヴ・ウォーレン、アナスタシア・マサロ 装置:キャロライン・スミス(Dr.パルナサスの鏡)
□美術:ジョン・マイヤー 装置:ゴードン・シム(NINE)
□美術:サラ・グリーンウッド 装置:ケイティ・スペンサー(シャーロック・ホームズ)
□美術:パトリス・ヴェルメッテ 装置:マギー・グレイ(ヴィクトリア女王 世紀の愛)
結局のところ『アバター』の魅力は
完璧に構築されたワールドモデルの一言に尽きるのであって
それを現出せしめた功績は大きい。
【衣装デザイン賞】
□ジャネット・パターソン(Bright Star)
■カトリーヌ・ルテリエ(ココ・アヴァン・シャネル)
□モニク・プリュドム(Dr.パルナサスの鏡)
□コリーン・アトウッド(NINE)
□サンディ・パウエル(ヴィクトリア女王 世紀の愛)
観てないけど、衣装がきらびやかですごそう。
コスチューム・プレイの『ヴィクトリア女王 世紀の愛』のどっちか。
【作曲賞】
□ジェームズ・ホーナー(アバター)
□アレクサンドル・デプラ(Fantastic Mr. Fox)
□マルコ・ベルトラミ、バック・サンダース(ハート・ロッカー)
■ハンス・ジマー(シャーロック・ホームズ)
□マイケル・ジアッキノ(カールじいさんの空飛ぶ家)
映画音楽界の大御所ハンス・ジマーが順当に取るのではないか。
【主題歌賞】
□ランディ・ニューマン "Almost There"(プリンセスと魔法のキス)
□ランディ・ニューマン "Down in New Orleans"(プリンセスと魔法のキス)
□ラインハルト・ワグナー、フランク・トーマス "Loin de Paname"(幸せはシャンソニア劇場から)
□マウリー・イェストン "Take It All"(NINE)
■ライアン・ビンガム、Tボーン・バーネット "The Weary Kind"(Crazy Heart)
ランディ・ニューマンはもう数え切れなくノミネートされてるんですよね。
本職はシンガー・ソングライターなんだけど、
実は叔父たちもまた映画音楽の作曲家という一家に育ったサラブレット。
とはいえ、『Crazy Heart』が気になる。
Tボーン・バーネット の音楽はアメリカの知識人層の生理に訴えかける曲を書くと思う。
【メーキャップ賞】
□アルド・シグノレッティ、ヴィットリオ・ソダーノ(イル・ディーヴォ)
□バーニー・バーマン、ミンディ・ホール、ジョエル・ハーロウ(スター・トレック)
■ジョン・ヘンリー・ゴードン、ジェニー・シャーコア(ヴィクトリア女王 世紀の愛)
こういうのは歴史ものが有利。
【録音賞】
□クリストファー・ボイズ、グレイ・サマーズ、アンディ・ネルソン、トニー・ジョンソン(アバター)
■ポール・N・J・オットソン、レイ・ベケット(ハート・ロッカー)
□マイケル・ミンクラー、トニー・ランベルティ、マーク・ウラノ(イングロリアス・バスターズ)
□アンナ・ベルマー、アンディ・ネルソン、ピーター・J・デヴリン(スター・トレック)
□グレッグ・P・ラッセル、グレイ・サマーズ、ジェフリー・パターソン(トランスフォーマー リベンジ)
録音賞と音響編集賞は戦争もの・戦場ものが印象に残りやすい。
【音響編集賞】
□クリストファー・ボイズ、グウェンドリン・イェーツ、ウィトル(アバター)
■ポール・N・J・オットソン(ハート・ロッカー)
□ワイリー・ステートマン(イングロリアス・バスターズ)
□マーク・P・ストッキンガー、アラン・ランキン(スター・トレック)
□マイケル・シルバース、トム・マイヤーズ(カールじいさんの空飛ぶ家)
それで言ったら、『イングロリアス・バスターズ』も
録音賞と音響編集賞も戦争もの・戦場ものなんだけど、
アカデミーにはすかれないと思う。
【視覚効果賞】
■ジョー・レッテリ、スティーヴン・ローゼンバウム、リチャード・ベンハム、アンディ・ジョーンズ(アバター)
□ダン・カウフマン、ピーター・マイザース、ロバート・ハブロス、マット・エイトケン(第9地区)
□ロジャー・ガイエット、ラッセル・アール、ポール・カバナー、バート・ダルトン(スター・トレック)
『アバター』のためにあるような賞。
観てないけど、『スタートレック』は子供のおもちゃに見えるのでは。
【外国語映画賞】
□Ajami(イスラエル)
■瞳の奥の秘密(アルゼンチン)
□The Milk of Sorrow(ペルー)
□A Prophet(フランス)
□白いリボン(ドイツ)
このところ、ドイツとイスラエルは常連のように思う。
南米対決になるんじゃないかな。
【長編アニメーション映画賞】
□コララインとボタンの魔女 3D
□Fantastic Mr. Fox
□プリンセスと魔法のキス
□The Secret of Kells
■カールじいさんの空飛ぶ家
うーん。作品賞その他にもノミネートされているし、これじゃないかな。
【短編アニメーション映画賞】
□French Roast
■Granny O'Grimm's Sleeping Beauty
□The Lady and the Reaper (La Dama y la Muerte)
□Logorama
□ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢
この辺りから全く分からず。名前で選ぶ。
アニメにおける優しいグランマものって一定のファン層がありそう。
【長編ドキュメンタリー映画賞】
□ビルマVJ 消された革命
□ザ・コーヴ
□Food, Inc.
□The Most Dangerous Man in America: Daniel Ellsberg and the Pentagon Papers
■Which Way Home
政治的なものって評価が割れて難しいんですよね。
【短編ドキュメンタリー映画賞】
□China's Unnatural Disaster: The Tears of Sichuan Province
□The Last Campaign of Governor Booth Gardner
■The Last Truck: Closing of a GM Plant
□Music by Prudence
□Rabbit a la Berlin
【短編実写映画賞】
■The Door
□Instead of Abracadabra
□Kavi
□Miracle Fish
□The New Tenants
よく分からんので、この5本のうち
タイトルだけで最も観たくなったのを選んだ。