青森帰省その2

8時に起きる。
家中に掃除機をかけ終わって、
『バッド・チリ』の残りを読み終えた頃、妹の運転する車で出掛ける。
岩木山の麓、嶽温泉の「山のホテル」で一泊する。


バイパスを南へ。
浪岡の「Myuu」というおしゃれなレストランで昼食。
女性向でベジタリアン
肉や魚が入っていないというカレーを食べる。なかなかうまい。
母の頼んだツナとバジルのピザを数切れもらう。これもいい。
内装も外観も青森の山奥とは思えない、ヨーロピアンな綺麗さ。
オーガニックやヒーリングがテーマか。
いくつか同じような瀟洒な建物が寄り集まって、
輸入雑貨やアンティークな家具を扱っているようだ。


その近くに広がるリンゴ農園を通り抜ける。
家ごとに畑の雰囲気が少しずつ違う。
早いところはリンゴに袋をかけている。


平川市尾上の「盛美園」へ。雨が降り出す。
http://www.seibien.jp/
鎌倉時代にまで遡る名主であった清藤家の24代盛美が、明治時代に造った庭園。
スタジオジブリの新作『借りぐらしのアリエッティ』に
登場する庭のモデルになったとかで最近脚光を浴びているとのこと。
中に入ったら宮崎駿の色紙(2年前の日付だったのでポニョを描いている)
が飾られていた。
他に客はなく、親子3人貸し切りで眺める。
手前に白砂による枯池、その奥に池。
入場券の裏に書かれた解説には
「我が国三名園の一つに数えられ、武学流の神髄を示したもの」とあった。
30分ごとに3分ずつ開く御宝殿の中へ。
ひっそりとした暗闇の中に浮かび上がる黄金の大日如来
壁には日本最大の蒔絵。
続く盛美館の中には日本最古とされるそろばんがあった。


その近くのお茶所「一服庵」で一休み。
元は古民家だったのだろうか。堂々とした構えの家だった。
黒を基調としたしっとりと落ち着きの或る空間。
最近の津軽は侮れないなあ。ここは遠くからわざわざ来る価値があるね。
抹茶かコーヒー。それほどメニューは多くない。コーヒーにする。
器にこだわる店で、あちこちの棚に飾られていた。
出てきたマグカップもこれは何々焼で、と3つとも異なっていた。
母が聞いたら「30年前、○○さんが人間国宝になる前に買ったもので…」
古布でつくられた衣類や小物も売られていた。
お茶請けにハーシーのチョコが出てきた。


雨もやんで、その後はまっすぐ嶽温泉へ。
あれは4年前か。小島旅館以来。山のホテルは隣なんですね。
部屋に荷物を置くと、早速外に出て、嶽温泉一体の入口にあった足湯に入りに行く。
こちらは白濁としてなくて普通の透明なお湯だった。
観光案内所があったので、
来る途中サイクリングロードで自転車に乗ってる人を見かけたが
レンタサイクルはあるのかと聞いてみる。
そしたら奥でテレビを見ていたおじいさんが困った顔をして、
あれは本来遊歩道であって、勝手に自転車を持ち込んで乗っているのだろうと。
僕が怒られたかのような気分になって出てくる。


部屋に戻って温泉に入りに行く。懐かしの白濁の湯。
他に客はなく、ゆったりと一人で入る。
上がって、缶ビールを飲みながら、iPhoneLed Zeppelin を聞きながら
『博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話』を読む。ノンフィクション。
「OED」とはオックスフォード英語大辞典のこと。
完成には何十年も要したわけなのだが、その最後の20年間、
手紙のやり取りだけで協力し続けた謎の人物がいた。
その正体とは…


読んでたら母と妹が帰ってきて、近くを散歩してきたという。
付近の地図をもらう。みずばしょうの湿原があるようで、せっかくだから行ってみる。
夕方、日はまだ出ている。
温泉街を出て国道を渡り、どこまでもまっすぐな道を歩いていく。
ほろ酔いだったからか、それがなぜかとても気持ちいい。
他に人と出会うことはなく、湿原の周りの遊歩道を一周する。


帰ってきて再度温泉に入る。
上がってきて部屋で食事の時間を待つ。
佐渡で山小屋を営む夫婦を紹介する番組を見た。


夕食はもちろん、またぎ飯。猟師風の釜飯。
嶽温泉名物だけど、ここが発祥とのこと。
さすがにうまかった。妹が残したので、2人分食べた。
他に鹿のたたきや鮎の塩焼き。
酒を飲めるだけ飲んで、最後は西田酒造の喜久泉。
メニューに田酒があったので聞いてみたら切らしていて、その代わりにと。


さらにロビーでも缶ビールを飲んで、気が付いたら日付が変わっている。
最後にもう一度風呂に入って、疲れきって眠る。