こういう作品を書こうと思う。
何かに出会うんだけど、それが何なのかわからない。
何かが変わるんだけど、それが何なのかわからない。
得体の知れない不安や恐れ。
だけどそれは常に水面下にあって、決して表には出ない。
なんだか、もどかしい。
いくつかの予感。手探りで物事が進んでいく。
登場人物は2人の男女と、そこに加わるもう1人。
三角形の重心が少しずつ変化していく。
1週間か1ヶ月か、期間を限定した出来事。
だけどその過去と未来が伸びていて、つながっているようにする。
そのスナップショット。大きな流れの中の一滴。
途中から始まって、途中のまま終わる。
何気ない日々のようでいて、それは絶えず変化している。
どこかが。目に見える場所と目に見えない場所。
舞台は現代の東京。
普通の人々。
声。触れることのできるもの、できないもの。
空間とその境になるもの。そこを行き来するもの。
おかしくなってしまった、時間の感覚。
心のどこかに空いた穴は埋められるのか。
自分ひとりではそれはできなくて、誰かがそれを埋める。
その、プロセス。
お互いに何かをそっと差し出す。
気がつかないような、ささやかなもの。
何かが起こる。何かが変わる。
そして日々は続いていく。
それが、生きるということ。
受け入れる。肯定する。
見方を変えたらそれは肯定できるのではないか。
そういう試みを日々繰り返す。
言葉には出さずとも、選び取った行動に現れている。
誰か1人は、そのような人物として描かれる。
しかし触発されて他の2人が安易な”成長”を遂げる、とはしたくない。
変化だけを迎える。
閉じられたものとはしない。
永遠に未完成。
そして、正解はない。
あてもない風が、いつだって吹き抜けているような。