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仕事がそれほど忙しくないので、今月もう一日休むことにした。
見たい映画はまだ山ほどあるというのに(TSUTAYA DISCASの登録が300本以上)
編集学校関係のプロジェクトも本格的に始まってしまい。
休みを取るでもしないとたくさん借りた DVD が返せない。


いつも通り6時半に起きて、7時に1本目から見始める。


渚にて』(1959年)
グレゴリー・ペックエヴァ・ガードナーが主演。
晩年のフレッド・アステアと、
『サイコ』ノーマン・ベイツが当たり役になる前の
アンソニー・パーキンスも出演している。
米ソ冷戦による緊張が最も強かった時代の映画。
核戦争により北半球は壊滅状態にあり、
放射能が南半球に押し寄せるのも時間の問題というとき、
メルボルンの軍港にアメリカからの潜水艦が到着するところからストーリーが始まる。
わずかな望みにかけて再度出航するも、
サンフランシスコもサンディエゴも無人の町が広がっていた。引き返す以外にない。
人類最後の日々。パーティーが開かれ、無茶なカーレースに人々が集まり、
その日が近付くと全国民に睡眠薬が配れる。
ネビル・シュートの古典的名作とされる原作はだいぶ前に読んでいた。
『On The Beach』というタイトルも、『渚にて』という邦訳もいい。
受け取る人によって、その時々の境遇によって、様々なことを想起させる。
ある人は陽気なロマンスを思い浮かべるだろうし、
ある人は波打ち際の儚さを思い浮かべるだろう。
ニール・ヤングの70年代のアルバムにもあったな。
日本にも「渚にて」というそのままのタイトルのアヴァン・ポップのデュオがいる。


TSUTAYA DISCAS に返却するために外に出る。コンビニでワカメスープを買う。
猛暑。日差しが鈍器のよう。


アンドレイ・ズビャギンツェフ監督、『父、帰る』(2003年)
ロシア映画ヴェネチア国際映画祭で最高賞に当たる金獅子賞を獲得。
まだ10代前半と思われる兄弟二人、母、祖母の4人が慎ましく暮らす一家に
12年ぶりに父が帰ってくる。
それまで何をしていたのか、なぜ戻ってきたのか、劇中では一切明かされない。
その父が翌日、2人を車に乗せて連れ出す。滝に行って釣りをしようという。
しかし計画は途中で変更され、父の”用事”のため遠くへと向かうことになる。
兄弟、特に弟は突然現れた父に戸惑い、絶えず反発する。
そして起こる悲劇・・・
父は粗野で横暴な人物のようでいて、
寡黙なうちに父として息子に教えるべきことを1つ1つ叩き込もうとしている。
しかしそれが2人には伝わらない。
すれ違った気持ちを抱えたまま、互いにどうすることもできない。
どちらかと言えば父の側に近い年齢になってしまった僕は、
父の立場からこの映画を見ていた。
突如現れて生活をかき乱す異物。
あれが嫌い、これはやりたくないとわがままを言うことで
自らの存在を主張し、対抗せずにはいられない弟。
少しだけ大人になって、子供との境目に立つ兄。
父はそんな二人を甘やかしたくない。ゆくゆくは大人の男に仕向けたい。なのに・・・
見てて何もかもが悲しかった。
素晴らしい作品である。


ご飯を炊いて、キムチとワカメスープだけで食べる。


テンギズ・アブラゼ監督、『懺悔』(1984年)
グルジア映画。スターリン批判的な内容だが、
80年代のグラスノスチペレストロイカの時流に乗ってヒットしたという。
市長という権力の末端にて翻弄される男のキチガイじみた騒動を描く。
無実の罪の人たちに言いがかりをつけてどんどん捕まえて巻き起こる、喜劇と悲劇。
虚実入り交じる演出なんだけど、その幻想的な部分の入り込み方がとてもロシア的。
牧歌的で、ナチュラルにシュールというか。映画の文法がそもそも違う。
なんだかよく分からないのになんだかすごい、と思わせてしまう。
日本に住んでると最も「世界の果て」に思える映画。


朝早くおきたせいか途中どうしても眠くなって、30分だけ眠る。
見終わって、西友へ。ビールやジン、氷にミネラルウォーターを買う。


デルフィーヌ・グレーズ監督、『めざめ』(2002年)
南スペイン。闘牛士ヴィクトールは牛に刺され重傷。
一命は取り留めたものの臓器の移植が必要となる。
ロメロという名の牛はその日のうちに屠殺場へ。
皮を剥がれ、内臓が取り除かれ、肉がそれぞれの部位に分けられ、
目と角が取り出される。骨もまた分類される。
その多くが映画となる舞台となるフランスへと送られる。
一見何の関係もなさそうな5つの家族がそれぞれの部位を手に入れ、
その偶然がもたらしたかのように引き付けられていく。
というかそのつながりが明かされていく。
2000年代初めということもあってか、脚本がパズル的。
でも、それぞれの登場人物の演技はよかったように思う。
80年代テクノ系フレンチ・ポップの Lio が出演していたようだが、
どの役だったのかよく分からず。


ノーマン・ジュイソン監督、『ザ・ハリケーン』(1999年)
デンゼル・ワシントンが無実の罪で20年以上にわたって投獄されていた
伝説のボクサー、ルービン・“ハリケーン”・カーターを演じる。
逮捕されたのは60年代の半ばで黒人差別は依然として根強かった。
目撃者によると加害者は黒人2人 → その頃街にいた黒人2人連れなら誰でもいい
という短絡的な理由(のように思える。映画を見る限り)。
証拠は後からどんどん修正され、捏造される。
真犯人を捜し、見つかって裁判をやり直すとなると
警察や検察や判事のメンツが立たない。だからやりたくない、ではなくやらない。
というか黒人が何よりも嫌い。なんでもいいからさっさと牢獄にぶち込めばいい。
当然、反対運動が起こる。
有名なのはボブ・ディランがアルバム『欲望』にて
その名の通り「ハリケーン」という曲を歌ったこと。
劇中でそのライブのシーンも登場する。
もう1人主人公の少年は偶然その自伝に出会ったことから、
周りの大人を巻き込んで釈放運動を始める。
その結果は歴史となり、映画として描かれるに至った。
ノーマン・ジュイソン監督の名前にどっか見覚えがあるなあと思って調べたら
ジーザス・クライスト・スーパースター』を撮ってるんですね。
あと、『夜の大捜査線


先週同様、青森から送られてきたホタテの煮汁を解凍して、
冷凍のホタテと温野菜を炒める。
久々に片栗粉を買ったので使ってみる。
炒めているところに入れてみたら、ダマになった。
しまった、煮汁に溶いてから入れればよかったと思う。


この日の最後は『特攻野郎Aチーム』の傑作選。
やはり面白い。というか懐かしい。今回見たのは最初のメキシコ行くやつ。
やっぱマードックというかモンキーだな。
映画版はけっこうオリジナル・キャストに容貌をかなり似せてたんだな、
ということに気付かされる。
冒頭でハンニバルが怪獣の着ぐるみを来て登場するのがよかった。


午前1時に眠る。