8/28

早く起きるつもりが、全然起きられなかった。
目が覚めたら10時になっていた。


ジャ・ジャンクー監督、『長江哀歌』(2006年)
原題にもある「三峡」にてダム建設の長期プロジェクトが続いている。
川沿いの建物が日々取り壊されていく。
いくつかの町は即に水没している。また新しい町が水没していく。
この沈みゆく「奉節」という都市に、外から男と女がそれぞれ現れる。
男は16年前に別れた妻と子供に会いたいがために、
女は2年間音信不通の夫を探すために。
男は下流で働いているという別れた妻が戻ってくるのを待って、
町に住み着き、解体現場で働く。
この三峡の風景が何よりも素晴らしい。破壊され、手放される生活の風景として。
そこに根付く、ちっぽけな人々のむせ返るような生の息遣い。
先日ジャ・ジャンクー監督の特集上映があったようだけど
これは予定を合わせて見に行くべきだった。大画面で見るべきだった。


この日もまたご飯を炊いて、キムチとワカメスープ。


あんにょん由美香』(2009年)
『あんにょんキムチ』が話題となった、松江哲明監督のドキュメンタリー。
2005年に亡くなり、今や伝説となりつつあるAV・ポルノ女優、林由美香を追う。
韓国の監督が日本で撮ったポルノ作品に林由美香が出演していたことをきっかけに、
その映画に関わっていた人、林由美香の周りにいた人に話を聞く。
カンパニー松尾は撮影で訪れた清里のカレー屋「ヴィラ・アフガン」まで車を出し、
(このベーコンエッグカレー、まじでうまそうだった)
平野勝之は『由美香』で一緒に北海道の峠を登った自転車旅行を再現する。
『由美香』懐かしいな。中野武蔵野館で見た記憶がある。
ドキュメンタリー映画としてはたいしたことないけど、
カンパニー松尾平野勝之
この2人が出てくると僕は「ハハー」とひれ伏したくなってしまう。
あと、いまおかしんじ監督の『たまゆら』を見てみたくなった。


編集学校の作業に着手。
気がつくと夕方になっている。


夜、フランクフルトとウィンナーを茹でてオリーヴオイルで炒めて食べる。
缶ビールを飲む。途中おなかいっぱいになって残す。
スティーヴン・ソダーバーグ監督の最近の作品を2本続けて観る。


インフォーマント!』(2009年)
マット・デイモン主演。企業の内部告発がテーマ。
そつなく撮られてはいるものの・・・、
以前ソダーバーグに心酔していた僕としては厳しく見てしまう。
話としては『エリン・ブロコビッチ』の裏返しのように思うが、
あの作品に感じられた勢いがない。
というかその後のソダーバーグは
エリン・ブロコビッチ』で確立したスタイルを
再生産しているだけのように感じられる。


さらば、ベルリン』(2006年)
ジョージ・クルーニーケイト・ブランシェットが主演。
トビー・マグワイヤも出ている。
第二次大戦後の、戦勝国によって分割されたベルリンが舞台。
きらびやかなモノクロ映像で描く。
やはり、そつがない。薄っぺらい。
映画としてなにか大事なところが空洞になっていて、
その穴はソダーバーグの中で年々大きくなっていくようだ。
虚無、というのではない。
チョコレートのかかったアルミホイルを噛んでいるかのよう。


23時半に眠る。