那覇一泊ツアー その2(那覇へ)

17日の金曜日。
1週間の休みを前にして公私共に片付けておくべきことがたくさんあってバタバタする。
そんな中、夕方、携帯に電話が掛かってくる。
同じ人から昼過ぎと夕方、2回。留守電も入っている。
何だろうと思って聞いてみるとJTBからで、至急連絡をくださいと。電話で話す。
明日から明後日にかけて石垣島に台風が接近するのですが、
旅行をキャンセルしますか? 今なら台風という事情なので全額払い戻しできます。
聞くと、明日の朝空港で様子を見てキャンセルすることも可能だという。
だったら明日判断しますということにしたんだけど、
問題なのは僕が今回利用したJTBの神保町店が土日祝日休みの営業形態なので、
明日になって電話しようとしても対応不可だということ。
旅行の案内の中にはその際の連絡先が記載してあるようなので、ま、いいかと思う。
先輩と後輩には相談せず。じゃあキャンセルしようと言い出すとも思えず。
僕自身、ここまで来たからには、と成り行きに任せてみたい気持ちになる。


帰って来て、持っていく物をボストンバッグに詰める。
着替え、ノートPCとシェーバー、まっぷる宮古島石垣島など。
一応念のため水着をもっていく。昼に買った日焼け止め。タワレコのタオル。それぐらい。


翌朝、18日の土曜日。5時起き。
東京は快晴。石垣島の天候には関係がないが。
天気予報で台風の進路を確認する。
まっすぐ西に向かっているようで少なくとも日本縦断みたいなことにはならない。
しかし牛歩のごとくノロノロしていて18日朝が宮古島の南で、19日の朝が石垣島の南。
サーッと抜けていくことはないようだ。


とりあえず荷物を抱えて出発する。
丸の内線で銀座へ、有楽町から山手線で浜松町へ、モノレールに乗り換えて羽田へ。
道中は佐野眞一の『旅する巨人』を読む。宮本常一渋沢敬三に関する評伝。面白い。


羽田空港の第2ターミナル、ANA側へ。
台風情報が出ていてバタバタしている、という雰囲気は全くなし。
那覇行きも欠航していない。なんだ、なんとかなるんだなと思う。
先輩と後輩と落ち合って、手荷物検査を受けて搭乗ゲートへ。
しばらく待って機内に乗り込む。ごく普通に飛行機は離陸する。那覇へ。
石垣島には行けても、台風が来てて明日の波照間島往復は無理かもね、と話す。


ANAの国内線は水かお茶ぐらいしか出なかったんだけど
前の座席の網に挟まれていた冊子を見てみたら、
ANAって世界で初めて機内で生ビールが飲めるんですね。
プレムアムモルツとエビスとあともう一つ、思い出せず。1杯1,000円。
「COEDO」という缶ビールも販売ラインナップにあった。
気になったけど、朝イチではさすがに飲まず。
ANAの独自ブランドか? と思って後で調べてみたら違ってて、
埼玉のプレミアムな地ビールの会社だった。


2時間のフライトの半分以上を眠って過ごす。
最近のバタバタで何かと疲れていた。
目が覚めると窓の外を見る。ああ、あれは三浦半島かと思う。
巨大な地図をスクリーンで眺めているかのよう。
富士山と思われる山が雲の上からてっぺんを覗かせていた。
しかし全体的に赤茶けていて冠雪なし。別な山だったかもしれない。
名古屋かどっかを過ぎてあれは海岸線が平らな場所だったが、
そこを過ぎてから飛行機は本州を離れた。
見渡す限り海、というルートを辿る。
千切れた白い雲が無数に浮かんでいる。
小さなわずかばかりの波が斑点のように青い海を覆う。


那覇が近付いて、眼圧の痛みが左目を。
針で刺すような。目を開けていられなくなる。
最近なかったので油断した。
チラッと目を開けて窓の外を見るとかすかにエメラルドグリーンの海が。


那覇到着。このところ涼しかった東京と違って、やはりまだ暑い。
石垣島行きの乗り換えは1時間後。搭乗ゲートには大勢の人が集まっていた。
欠航・キャンセルの表示もない。
暇つぶしのため免税店でも見るかと歩いていたら、アナウンスが。
JALANAも本日の石垣島宮古島方面は全便欠航となったと。
引き返して搭乗ゲートの表示を見たら確かに欠航。
しかし、椅子に座っている多くの人たちが平然としている。
夕方にでも飛ぶことを期待して、終日キャンセルをするつもりなのだろうか?
実はこれ、隣の羽田行きを待っていた人たちであって、
搭乗が始まったら一斉に立ち上がっていなくなった。
取り残されたのは僕らとあと数名程度。
やばい、と思う。これから先どうしよう?


JTBに電話する。台風で飛べなくなったとき用の
フリーダイヤルの電話番号が記載されていて、そこに掛けてみる。
残念なことに、ここの番号は復路で台風にあったとき専用なのだという。往路は対象外。
つかえねー。軽く苛立つ。
まずは予約を取った店舗に連絡を取ってくださいと言われ、
ムッとして土日休みのとこなんですけどと返したら
一般的にどうするべきかを説明してくれた。
航空会社のカウンターに行って空席待ちをするか、引き返すならば航空券を交換する。
宿は自分でキャンセルの連絡を入れなくてはならない。


電話を切って立ち上がり、まずは搭乗ゲートのANAのカウンターへ。
3階の1番というカウンターがキャンセル待ちの申し込みなので
そちらに行ってくださいと申し訳なさそうに言われる。
だけど明後日20日の分まで即にいっぱいになっているそうで・・・


出発ロビーを出て3階に行ってみたらその1番カウンターは長蛇の列。
スピーカーを持った係員が立っていて、
台風接近に伴う運行情報のお知らせを貼りだした大きな紙が背後に。
ウネウネとした行列は果てしなく連なり、
苛立ちや諦めのどんよりとした雰囲気に包まれている。
どうする? と2人に相談してこれはもう間違いなく、
明後日以後のキャンセル待ちでも危ういんじゃないかと。
石垣島に行かないことには波照間島与那国島もない。
しょーがない帰りますか、ということで意見が一致する。
まあでもせっかくだから那覇で一泊するか。
石垣島与那国島の宿泊先に電話してキャンセルする。
よくあることで慣れているのだろう、どちらもサバサバと応対される。
しかし困ったことに明日の波照間島往復のフェリーが何度電話しても電話に出ない。
留守電にすらなっていない。キャンセルできずに払い戻し不可となったりしないか。
ひたすら気を揉む。


隣の2番カウンターがフライトの変更・キャンセルが可能とのことで
そちらは全然空いていた。
欠航証明書を人数分もらって、乗り継ぎの石垣島へのフライトをキャンセルする。
石垣島与那国島と帰りの東京行きはJALなので、今度はそちらに行って手続きする。
22日の那覇→羽田のフライトを19日に振り替える。空席があって問題なく変更できた。
最後、JTBのカウンターに行って今日一泊するホテルを予約する。
こちらも繁華街、国際通りのホテルがトリプルで取れた。
那覇は初めてですってことでモノレールの駅から近く。
台風によるトラブル価格だったか係員の男性はホテルの人にそんなふうに言ってて、
一泊6,500円となった。
最後にフェリー会社の電話番号を確認する。
手元にあったマップルの記載の通りかと。調べてもらったらその通りだという。
台風で終日欠航となったとき、事務所には誰もいなくて閉鎖されているのかもしれない。
その後何度かけても、次の日の朝にかけてもやはりつながらなかった。


波照間島のフェリー以外は一通り手続きが済んで、気を取り直して那覇へ。