那覇一泊ツアー その6(喜納昌吉&チャンプルーズ)

沖縄プロレス」を出て、さて本格的に飲むかという時間帯
とはいえせっかく沖縄に来たので沖縄民謡を聴きたい、となる。
そういえば喜納昌吉のライブハウス「チャクラ」があったなあとそちらへ向かう。
まさか本人が出てきて毎晩演奏するとは思えないが・・・
参議院議員を終えてからも政治家としての活動が忙しいだろうし。


1階の入り口は喜納昌吉出演ってことでババーンと宣伝してて、
それがなんだか逆に安っぽい。
エレベーターに上って3階へ。
入ってみるとライブハウスというより地方のスナックって感じ。
暗いというのではなく薄暗く、ちょっと不安になる。
奥に入ってみると正にそうで、スナックテーブルとスナックソファー。
そのまん前にステージ。ちょうど空いてて、ステージ真正面の席となった。
ライブチャージが1,500円で、+1ドリンクオーダーとなっている。
生ビールを頼んで飲む。ミミガー、島らっきょう、海ぶどう


他に客はまばらで、さらに不安になる。
もしかして沖縄にとって喜納昌吉ってのはもはや距離のある存在なのか。
年を経てその音楽が分かりにくいものになってしまったのか、
政治家としての活動が近寄りがたくしているのか。
普通の人々にとって沖縄の音楽ってのは
オーソドックスな古典芸能をアツく演奏するか、
モンゴル800かりゆし58のようなパンク系インディーズ、
BEGINのメロディー系のような若手の音楽、このどちらかでしかないのかもしれない。
かつて「ウチナー・ポップ」と呼ばれた、例えば
りんけんバンドとかネーネーズってのは沖縄の人にとってどういう存在なのだろう?
俗世間の時流に乗るつもりのない喜納昌吉
「時代遅れ」になって、忘れられようとしているのかもしれない。


ステージは1日に5回あって、
週末の3回目、21時の回に喜納昌吉&チャンプルーズが出演するという。
あ、もしかして終わったばかりか。
でも聞いたところでは今日は都合により元々出ていなかったとのこと。


三線の男女と歌い手の女性の3人組がステージに立って、
沖縄民謡を演奏する。うまい。やはりうまい。
歌い手の三羽(カスタネットみたいなもの)も神業のようだった。
詳しくないので曲名は覚えてないんだけど、
歌詞や曲名の意味を解説、例えば
宮古島の言葉は沖縄本島の人にもなかなか分かりにくくて、といった話が挟まる。
県外から来た人たちへのサービスのために「涙そうそう」「島歌」も歌われる。
涙そうそう」はこうやって生で、他の人が歌うのを聞いても、ほんと名曲だなあ・・・
曲によっては僕らは合いの手を求められたり、その場でカチャーシーを。
お客さんの中に今日誕生日だという人がいて、
三線でハッピーバースデーの歌が歌われる。


30分ほどで終わって、スクリーンには喜納昌吉が関西のテレビ局の
『となりの人間国宝さん』という番組出演したときの様子が映し出されている。
このライブハウスの中でチャンプルーズをバックに、
という場面で先ほどの3人の方たちが映っている。
少なくとも三線の女性は喜納昌吉の妹だったのでは。
チャンプルーズってどこまでがメンバーで
どこまでがサポートだったり音楽仲間なのかゆるやかなところがありそうだけど、
今の3人は広い意味で捉えるならばチャンプルーズだったのか。


休憩後、この日最後のステージへ。
キーボード、ドラム、アコースティックギターマンドリン、バイオリンという編成で
スタンダードナンバーとして「好きにならずにいられない」と「枯葉」を披露。
マンドリンが先ほどの三線の男性で、バイオリンが歌い手の方。
残りのメンバーはどう見てもチャンプルーズだよな。
この2人だけとなって、バックの演奏のテープを流しつつ
また三線と歌い手に戻って沖縄民謡などを披露。
BEGINの「島人ぬ宝」や民謡の「安里屋ユンタ
何の曲だったかご当地ソングでサビの「オキナワヨイトコ」の部分を
お客さん一組ずつどこから来たのか歌う前に聞いて、当てはめていくというものを。
「トーキョーヨイトコ」というように。
そして、喜納昌吉の「花」はお客さん全員がステージに上がって大合唱。
〆はそのままカチャーシーで踊りましょうとなる。
踊るのが苦手な僕はトイレに行って
その後ライブハウスの壁にたくさん貼られた
喜納昌吉と各界の著名人とで撮影した写真を眺めた。
たくさんありすぎて覚えてないんだけど、Coccoの写真があったように思う。
一枚だけ印象に強く残ったのが、父・喜納昌永や恐らく祖父だろうか、
沖縄民謡の重鎮たる錚々たる面々3名が三線を抱えて並んでいて、
その右端に若き日の喜納昌吉がギターを抱えて写っているというもの。


ライブハウス限定で選曲・発売されている喜納昌吉のベストを買うかどうか迷う。
ハイサイおじさん」に始まり、「花」に終わる。
3,000円と高く、結局買わない。CD-Rで作ったような安さがどこかにあって。


終了後、席に戻ると先ほどの三線の方が僕らの席で後輩や先輩と話していた。
気さくな方で、僕が青森出身だと話すと
「残念なことにチャンプルーズは青森行ったことないんだよね。是非青森に呼んでよ」と。
チャンプルーズは全国回っているようなイメージをもっていたんだけど、
秋田とかあの辺りは訪れていないのだという。
おすすめのビーチはどこですか?と聞いたら、
遠くでよければ自然のだと(忘れてしまった…)
人口だと近いのはキラキラビーチかな、と教えてもらった。


もう何年とここでは毎日のように、日によって出演する人たちが変わりつつも
県外の素人の客のために「安里屋ユンタ」が演奏され、
涙そうそう」「島歌」「島人ぬ宝」が歌われ、「花」の大合唱とカチューシーなのだ。
大変だよなあと思う。そこに音楽の喜びがあるのだろうか、ないのだろうか。
毎日同じような曲目を判で押したように演奏する。
だけど客の中にはとても楽しそうにする人だっているだろうし、
沖縄民謡って生で聞くと素晴らしい! と思う人だっているだろう。
複雑だ。


午前0時近く。店を出て、遅くまでやってる店を探す。
予想に反してどこもかしこも店はしまっている。
沖縄の夜は遅いってのはここ国際通りには当てはまらないのか。
黒人の客を集めたクラブが通りに2軒と安手のチェーン店がいくつか営業しているだけ。
そのうちの1つ、ディスコ?(クラブ?)の系列店に入って
オリオンビールが1杯100円、その他のフードもものによっては380円。
泡盛「残波」をボトルで頼んで、水と氷を。
豆腐チャンプルーやラフテー、グルクンの唐揚を食べる。


午前2時頃まで飲んで帰ってくる。
コンビニに寄った際に、酔ってたこともあって
ふと目に留まった『沖縄の伝説散歩』という小冊子を買う。


シャワーを浴びて部屋に戻ったら先輩も後輩もテレビをつけたまま寝ていた。
テレビと照明を消して眠る。