那覇一泊ツアー その8(美々ビーチ)

この日最後の予定として、波之上ビーチに行く。
歩いたら1時間もしないで着きそうだけど、バスの路線もよく分からないし
めんどくさいからタクシーで行くかとその辺に止まっていたのを捕まえる。
運転していたのは60ぐらいのおっちゃん。
波之上? と聞いて渋る。ほんとそんなとこ行きたいの?
波之上は橋だの何だのできて狭くなっちゃって蛙が遊んでるような場所だよ。
行ってもみんながっかりしてすぐ他所に行きたくなるから、タクシーが並んで待ってんだよ。
時間があるなら、なんなら遠くの美々ビーチかパラダイスビーチに行くのを勧めるけど。
ここから30分で2,500円ぐらいかかるけど、お客さん、どう?
2,500円超えたらメーター切ってあげるから。
人がいいのか、カモにされてるのか。
ま、波之上ビーチにこだわりはないので糸満市の美々ビーチにする。


帰りのタクシーは? 何なら待ってるけど。
でも17時までが勤務でそこを超えるなら同僚のタクシーを呼ばなきゃならないから、
できれば16時半ぐらいに戻ってくるようにしてもらえるとこちらとしては助かるんだけど。
美々ビーチはレンタカーか自分の車で行くような場所だからタクシーなんて一台も待ってないんだよ。
そうですね、そうさせてもらいます、となる。
14時半に着いて、16時までいてそこから荷物を預けている県庁前まで戻る。
途端運転手さんがとてもありがたがる。
今日朝の5時から乗ってて昼を過ぎて売り上げがたったの5,000円。
会社と折半だから3,000円にもならない。タバコ買って昼メシ買ったらなくなってしまう。
お客さんたちのおかげでようやく1万円超えられるよ。
聞いてみたら、那覇というか沖縄はどこに行くにもレンタカーかバスなので、
タクシーは全然儲からないのだそうな。
僕が思ってたことと違ってた。
電車がないから車の運転をしない人は観光の足にタクシーを使うんじゃないかと。
そうじゃないんですね。そもそもそういう人は沖縄に来ないか、
ツアーで来て大型バスで移動してしまう。
ふーん。そういうものなのか。


タクシーは空港方面へ。スタジアムの前を通り過ぎる。
パイナップル・パークというのがあった。
http://www.nagopain.com/
ここはなんとパイナップルが無料で食べ放題なのだと言う。
(なので金のない学生が食べに来る)


道が混んでいる。
最近アウトレットモールができてからこの辺り混雑しているって話で、
超えたらスイスイ進むようになった。
海辺が広がる。エメラルドグリーン。
沖縄の人たちからしたらたいしたことないのかもしれないけど、
東京から来た僕らからしてみればどこもかしこもきれいな海に見える。


美々ビーチに到着する。
砂浜へ。運転手さんはビーチバレーの大会が行われているかもと言ってたけど、
ネットには遊んでいる子供たち以外に人影はなく。
ビーチは水着姿の人たちでほどよく混んでいた。
売店でオリオンの生ビールを買って波打ち際に下りていく。
サンダルを脱いで波に足首を浸す。今年最初で最後の海。
というか日本でビキニ姿の女性を見るのは果たして何年ぶりだろうか?


ハブクラゲ注意」と書かれた看板を見かける。
刺されたら痛いんだろうなー。
沖縄の獰猛なものは全て名前にハブがつくのか。
(クラゲのようにほんわかとしたハブが山奥に生息しているのだとはさすがに思わない)


防波堤に至る桟橋を歩いていく。
橋の上から海を見たら、透き通っている。群れを成す魚の姿が見えた。


歩いていると大きな音を立てて頭上を飛行機が横切った。
飛行場が近いだけあってけっこう大きい。
ベンチ代わりに並べられた、長方形に切り揃えられた岩の上に横になる。
台風がまだ遠ざかっていないのか強く吹き付けてくる風にさらされて目の前には青空。
左側からビーチで遊ぶ人たちの賑やかな喚声。右側から寄せては返す波の音。
ジワジワと照り付ける日差し。
風がもう少しだけ穏やかだったら、永遠でもいいような瞬間。


ビーチに戻って、売店の木陰の席にて16時になるのを待つ。
先輩がビールを飲む。
両肩に刺青を施したヤクザが、売店に文句をつけるのを横で聞く。
ビキニ姿の妻と娘の買おうとした何かが気に入らなかったらしい。


タクシーが待っていてくれた。
確かに他にタクシーの姿はなし。
県庁前へと引き返す。
ハブを呼び物にしている観光施設があって
昔はハブとマングースの対決をやってたもんだけど
最近は動物愛護団体からなんだかんだあってやらなくなったという。
どっちが強いんですか? と聞いたらそりゃ断然マングースだと。
もう1つ聞いた話。昔は那覇から車で30分のところに遊郭があって、
ガラス張りで遊女が待っているような店が100軒はあった。
15分で5,000円も取られちゃうんだよ。
でも摘発されて今は3件ほどしか残っていない。
国際通りも夜、静かなもんでしょう?
昔はもっと賑やかだったけど数年前に
18歳の女の子が火事で焼け死んでから取締りが厳しくなっちゃったんだよね。


タクシーは県庁前に到着し、2,100円だったのが2,000円に負けてくれた。
次来るときはガールフレンドを連れて来るんだよ、と言われる。


コインロッカーから荷物を引き上げて、モノレールに乗って空港へ。
さらば、那覇
JALのカウンターで前日予定変更したeTicketを見せて、搭乗券に引き換える。
17時に着いて、フライトは18時50分。
暇になる。いったん自由行動にして、
18時前に集まって沖縄そばの店に入ってそばを食べる。
コーレーグースをたくさん振り掛ける。


夕暮れ時に、シルエットになった航空機が滑走路に着陸するのを見た。


飛行機に搭乗する。
『旅する巨人』の続きを読むが、疲れて眠くなる。
起きたときに飛行機は房総半島を横切っているところだった。
キラキラと光る無数の点の集まり。東京ほどゴテゴテしていない。
玩具のようだった。
ディズニーランドの観覧車が派手な色をして回転していた。
お台場の観覧車も。飛行機はそのすぐ目の前を通過する。


着陸して、モノレールに乗って帰ってくる。
後輩と消化不良だねと話す。
那覇で観光するならレンタカーは欠かせないというのと、
そもそもの離島という目的が果たせていないというのと。
来年また、挑戦することになりそう。