『This Is It』

昨日の夜、『This Is It』を観た。
昨年6月25日に突然亡くなったマイケル・ジャクソン
その死の直前まで続けていたロンドン公演のリハーサルの模様。
リハーサルのためそのダンスも切れ味鋭いわけではなく、抑え気味。
歌もそう。喉を痛めないようにしている。
しかし、その端々で無理のない、気を使う完璧主義者の面と
その根底にあるナイーヴさが垣間見える。
10年ぶりの世界公演とのことだったが、
ささやかながらもそのムーンウォークは健在だった。


僕個人が最も興味深かったのは、ダンサーのオーディションを受けに
世界各地から集まって来た若者たちの興奮に満ちた表情。
「マイケルと踊れるなんて夢のようだよ!」
3000人の中から11人が選ばれたのだという。
合格者が発表される、その奇跡の瞬間こそが「This Is It」なのだろう。


1982年の「スリラー」は7歳でさすがにリアルタイムで、ってことはない。
でもあの墓場のPVはテレビをつけているとあちこちで見かけたな。
ある時期集中して、というのではなくて何年かに渡って。
そのパロディだとさらに長いこと続いたように思う。
あのダンスの真似とかね。


1987年の「BAD」だと小学6年生から中学1年生にかけて。
新聞で洋楽のヒットチャートを見るとアルバムもシングルもずっと1位だった。
(日本の、じゃなくてビルボードだったと思う)
シングルは「BAD」や「Man in the Mirror」など
入れかわり立ち代わり途切れなく首位をキープ。
この頃まさに”King of Pop”だった。
アルバムを持ってたわけではない。だけどその多くの曲を知っている。
股間に手を当てるダンスって当時どれだけ真似されただろう?


1991年の「Dangerous」は高校生のときか。
パンク・ニューウェーブばかりだったから見向きもしなかった。
でも、レンタルから借りてダビングした覚えはある。
「Heal the World 」だけは、
唯一持っているベストアルバム「History」に収録されているで今でもよく聞く。
そこから先のことはあまり知らない。


こんな感じだったので、
マイケル・ジャクソンに特に心奪われることのないまま生きてきた。
でも、その楽曲やイメージは奥底に刷り込まれている。
だから昨年の訃報を聞いたとき、悲しいとは思わなかったけど、
どこかになんか小さな穴が開いた。
ネバーランドは存在しないんだよ、と知ったときのような気持ちに通じる、何か。
どんな魔法も、どんなゲームも、いつかは終ってしまう。
途切れて、消えて、忘れられていく。あの切ない気持ち。


マイケル・ジャクソンの私邸に動物園があって、って有名な話だけど、
動物たちはどこに行ったのだろう?
僕はマイケル・ジャクソンの家族たちのその後よりも、動物たちのその後を知りたい。