月曜の夜、有楽町のヒューマントラストシネマに『キック・アス』を観に行った。
なんかとても評判がいい。
先日読んだニュースでツウ好みな評論家が軒並み絶賛してた。
で、観たわけですが…
…僕、生まれて初めて、映画観て嬉しくて泣いた。
悲しいとか感動したじゃなくて、嬉しくて。
こんなことありえるのか。
名作でも傑作でもない。荒唐無稽で完成度も低い。
だけど心の琴線をガシッと鷲掴みして離さない。
恥も外聞もなし。
ここまで素直に、映画でやりたかったことをそのまま映像にするなんて。
というかこれまでの映画はどれほど取り澄まして、もったいぶっていたことか。
ニューヨーク在住のアメコミが好きなオタク少年が
なんで人はヒーローにならないだろうかと疑問に持ち、
通販で買った緑のウェットスーツを消て町に出て、活躍の機会を探す。
そんなうまいこといくわけがなく、チンピラたちにボコボコにされる。
しかしその姿が携帯で撮影され、動画サイトに投稿されて一躍人気者に。
本人は至って弱いまま謎のヒーローとして祭り上げられる。
その一方で、マジで悪に復讐しようとしている父親と娘がいて、
日々特訓に励んでいた…
最高なのはこの主人公ではなく、父と娘の方。
ニコラス・ケイジと『(500)日のサマー』のクロエ・グレース・モレッツ。
11歳の娘が派手なアクションでどんどん人を殺していく。
理由は単純で、彼らが「悪」だから。復讐しなきゃいけないから。
父親にそう教えられたから。
紫のウィッグをかぶってヒーローに変身した時の名前は「ヒット・ガール」
敵と対峙した時の唇の歪め方などイチイチ決まってる。
エンニオ・モリコーネ『夕陽のガンマン』のテーマ曲を流しながら、
チェックのミニスカート、白のシャツ、ネクタイというロリータな格好で
敵地に一人乗り込み、撃ち合いを始める。
タランティーノは本気で悔しがったのではないだろうか。
毎度毎度のことだけど、ニコラス・ケイジの笑顔が完全にいっちゃってた。
これまた言うことなし。
パパもまた変身するんだけど、
ごく普通にバットマンな格好というところが最もキチガイだと思う。
それまでさえなかった主人公はもてだした途端、ヒーローやめっか、となる。
そうか、だからこの世にはヒーローがいないのか、と気付く。
最初の殺戮シーンにかかってたガールズ・パンクな音楽が最高だった。
サントラ買わなきゃ。
そんなところです。
続編がつくられるみたいだけど、それはちょっと観たくない。
全てが一瞬限りの奇跡だったのだから。2回目は無理。
ヒット・ガールのスピンオフなら観たいが…
http://www.kick-ass.jp/index.html