博多〜釜山 その3(3/18:チャガルチを歩く)


港湾施設の長い一本道を歩いていって、大通りへ。
これをまっすぐ北に進むと釜山駅に出るようだが、しかしここは車両専用。
無愛想な建物の並ぶ中、さらにもう1本先まで行ってもう1つ大通りへ。
こちらは歩道もあり、賑わっている。赤や黄色の飲食店の看板。大きな広告。
当たり前だけどどこもかしこもハングル。韓国に来た。なんだか顔が1人にやける。
ここは大きな地方都市の、郊外の国道沿いを歩いているような感じ。
バスが何台も走っている。学生たちや会社員たちが家路に着く。
おばちゃんが頭の上にお盆を乗せてその上に白い布切れを掛けて歩いている。
ちらりと覗くと、宴会用の大皿料理だった。


一駅の距離はたいしたことなくて、釜山駅前の広場に面した
今回僕が泊まる「アリランホテル」がすぐ見つかった。
1階がファミリーマートと「Angel-in us coffee」というチェーン店のコーヒーショップ。
シティ・ツアーのバスも停まっている。便利な場所だ。
カウンターでは日本語が通じた。鍵を受け取って6階の部屋へ。
値段で選んだので全然期待してなくて部屋の設備はそれなりなんだけど、
無料で使えるPCが置いてあった。インターネットにも接続できる。
これ、ピンポイントで最高。
この状況なので常時Twitterを使いたい、と思っていたところで。
しかし、キーボードはハングルでOSもハングル。
日本のサイトは日本語で読めるけど、URLを打ち込むのに苦労する。
手探りで英語とハングルを切り替えるボタンを探し、
Twitterだとこの辺がログインボタンだよなってところを押す。


お金を崩すために下のコンビニへ。
バドワイザーの500mlの缶を2本買う。3,100ウォン×2。
アサヒスーパードライも売られてて、3,700ウォン。日本のビールの方が高い。
でも日本円に換算すると日本のコンビニで買うのとそう大差ないか。
他に買ったものとしてプリングルスの小さいのが1,500ウォン、
韓国のメーカーのチョコチップクッキーが2,000ウォン。


エレベーターに乗ると掲示が英語、日本語だけではなくロシア語も。
ロシア人も韓国には大勢来るのか。


買ったのを部屋にもっていって、外に出る。
ちょっとした観光兼夜メシということで。
地下鉄に乗って南西方面に3駅先のチャガルチに行ってみる。
切符を買うと1,100ウォン。100円しない。安い。
ホームに立つとちょうどよく地下鉄が来る。
それほど混んでなくて座って行ける。
車内アナウンスは観光客の訪れる主要な駅だと英語や日本語でも流れる。


パッと見の印象として、釜山の若い女性たちはごく普通だった。等身大というか。
ソウルで感じたような得体の知れない、競争感溢れる垢抜け具合がなし。
若者の何人かは iPhone かそれに相当するスマートフォンを使っている。
おばさんたちはほんと韓国のおばさんで、
ポン・ジュノ監督『母なる証明』に誰が出ても主演に抜擢されそう。


チャガルチに着いて駅を出る。
ここは街全体が市場のよう。国際市場と富平市場。
そこに至るまでの道筋はどこも飲食店で
豚足にあわびの茶漬けにチヂミに焼肉、専門店が並んでいる。
伝統的な韓国料理だけではなく、ケンタッキーみたいなフライドチキンの店もあった。
そして通りにはおでん、天ぷら、串に刺した肉、海苔巻きなど、屋台がひしめく。
バイタリティー溢れる猥雑なエリア。
さてどこに入って食べようか?
一軒ホルモンの店で気になったところがあったけど、もうしばらく歩いてみる。
(ここは次の日の夜、訪れることになる)


北の方へ。富平市場に出る。20時を過ぎて、店はどこも仕舞い支度だった。
何種類ものキムチを売る店、唐辛子だけを売る店、
祝い事の席に出すような惣菜の盛り合わせを売る店。
大阪、鶴橋のコリアンタウンの密集した市場を訪れたときのことを思い出した。
古きよき、数十年何も変わってないかのような市場。
南に引き返し、駅の方に向かう。屋台の立ち並ぶ一角に戻って、大きな通りを東へ。
開けてきて、いつのまにか若者向けのしゃれた雰囲気になる。
大きな音で音楽を鳴らす携帯屋、ブランド物の服、ABC-MARTなど。
ここは原宿と巣鴨が隣り合っているかのよう。
しかし、一歩通りの中に入るとバッタもんのヴィトンの財布が売られている屋台。


夜は結局、『Beetle Busan Book』に載っていた「ゲミジブ」へ。海鮮料理の店。
http://www.pusannavi.com/food/1019/
「ナンサッチポクム」というタコのぶつ切りを浅い鍋で辛く煮た鍋料理が有名。
他にも日本人観光客が何組か来ていて、「タコナベ」と呼びながら食べていた。
僕もそれを食べるつもりが
メニューを見ていたらホルモンの鍋があってそっちにしてしまった。
それはそれでうまかったけど。
各部のホルモン、ニラ、ネギ、にんじん、春雨…、煮えたらコチジャンを溶かす。
店員に勧められてチヂミも食べた。
他のテーブルの人たちは鍋の余りでチャーハンを作って食べていて
それが何よりもうまそうだったけど、大皿のチヂミでもうそれ以上腹に入らず。
瓶ビール(「MAX」だったか)が3,000円ウォンでチヂミが10,000ウォン、鍋が9,000ウォン。


地下鉄に乗って帰って来て、風呂を沸かして入って、
バドワイザーを飲みながら NHK のニュースを見たり
『カタロニア賛歌』を読んでるうちに眠ってしまう。